1. 生涯と背景
鷹村守の個人的な背景、成長過程、そして彼をボクサーの道へと導いた主要な出来事について説明します。
1.1. 幼少期と家庭環境
鷹村守は1969年7月7日生まれで、建設企業「鷹村開発」の社長の次男として誕生しました。彼には兄の卓(すぐる)、姉の京香(きょうか)、弟の渡(わたる)がいます。幼少期から人並み外れた身長、体力、腕力を持ち、非常に好戦的な性格であったため、喧嘩ばかりの日々を送っていました。父親の奔走がなければ少年院行きも免れなかったとされる事件を起こしたこともあります。
兄の卓はラグビー部のスタンドオフとしてプロ入りが期待されていましたが、彼のチームが試合に敗れた際、心ない観客が卓を野次ったことに激怒し、鷹村は野次を飛ばした約20名を殴り倒すという事件を起こしました。この事件が原因で彼は実家を追放されることになります。その後、15歳未満ながらも働きながら中学校を卒業しました。
1.2. 鴨川ボクシングジム入門
実家を追放された鷹村は、アパートで一人暮らしをしながら高校に通い、路上での喧嘩が日常となる生活を送っていました。しかし、ある時鴨川源二と運命的な出会いを果たし、鴨川ボクシングジムで練習を開始し、プロボクサーのライセンスを取得します。高校3年生の時にはボクシングに専念するため、高校を中途退学しました。
彼は世界王者となった後も転居した様子はなく、散らかったアパートの部屋には大量のごみやアダルト雑誌が散見されます。押し入れにはボクシングの試合のビデオが大量に収められており、一歩が時折利用することもあります。鷹村は話題性に富んだ人柄であり、試合の集客率も非常に高く、2階級制覇の頃からはテレビ番組やCM、雑誌への出演も多くなり、高額のファイトマネーやギャランティーを得ているはずですが、その使い道は不明です。唯一、Brian Hawkブライアン・ホーク英語戦前に注文した世界王者奪取記念の銅像は、ファイトマネーを全て使って作られたとされています。世界チャンピオンになってからは、試合後に一人旅に出ることを趣味にしています。
1.3. 性格と対人関係
鷹村は「理不尽大王」と称されるほどのいたずら好きで、悪知恵に関しては頭の回転が非常に速いです。彼はまるでそのまま大人になったガキ大将のような人物で、青木を筆頭に鴨川ジムの仲間や関係者が彼から受けた被害は数え切れません。たとえ反抗されても力ずくで押さえ込んでしまうことが多々あります。デリカシーに欠け、他人のコンプレックスも平気で笑いのネタにし、時には周囲に配慮した言動をしたり、やり過ぎを反省したりすることもありますが、日頃の行いの悪さから裏目に出てしまうことがほとんどです(ただし、家族に対してはそのような態度を取らず、対立関係にあった兄の卓にも軽い小言で済ませる程度です)。下ネタが大好きで、無茶な女遊びをして写真週刊誌に報じられたこともあります。しかし、ボクシング仲間が逆境に置かれている時には手を差し伸べるなど、基本的には後輩思いの一面を持っています。
鴨川会長に対しては、普段は「会長(じじい)」と呼んで軽口を叩いたり、悪ふざけの末に怒鳴りつけられたりしていますが、自身をボクシングに出会わせてくれたことに大きな恩を感じており、自身を鍛え上げ、洗練させてくれた彼に深い信頼を寄せています。そのため、試合の度に壮絶な減量を強いられてもそれをやり抜き、減量中に苛立つことはあっても、鴨川や仲間たちには愚痴や弱音を一切吐きません。現役時代の鴨川会長が世界タイトルに手が届かなかったことを知っており、自身が獲得したばかりの世界ベルトをすぐに鴨川に渡すこともありました。傷害事件の末に警察に没収されてしまった鴨川の杖の代わりを誰にも言わずにこっそり購入してきたり、心の中では高齢で先の長くない鴨川を何かと気遣っています。将来的には6階級制覇を達成し、6本のチャンピオンベルトを鴨川にプレゼントしたいと考えているようです。鴨川もそんな鷹村を本人のいない場所では「孝行息子」と発言したり、鷹村と一歩のおかげでジム入門者が増えたこともあり、ある程度の暴走には目をつぶり、好きなようにさせています。
一歩、青木、木村がボクシングを始めたきっかけは鷹村との出会いであり、彼らがボクシングを続ける上で大きな原動力となっているのは鷹村への憧れです。毎回のように青木たちに理不尽な要求を突きつけても好かれ続けるのは、その実績もさることながら、類まれな強さと時折見せる男らしい気遣いや優しさゆえです。特に一歩に対しては理解があり、一歩をボクサーとしてしか見なさず、彼を利用しようとする人間(特に宮田)に対しては関わらないように忠告することもあります。
傲岸不遜な性格で誰に対しても対等な物言いや態度を取りますが、ダジャレの師匠と仰ぐ板垣の父に対してだけは唯一敬語を使い、挨拶にまで伺うほど心酔しています。
昔からの馴染みであり、一歩とのスパーリング後に鴨川ジムを離れた宮田一郎のことは、今でも気にかけています(ただし宮田の方が先に鴨川ジムに入門していたため、宮田が先輩にあたります)。純粋に一歩と宮田の決着を誰よりも心待ちにしていた一人でもあり、高いレベルでの勝負を見たいという自身の願望から、本来敵方である宮田のcounterカウンター英語を「質が軽い」とあえて指摘し、的確なアドバイスを与えることもありました。宮田もまた鷹村の眼の異常を疑い、一歩を動かしてまで心配するあたり、兄弟弟子として心の奥では深く繋がっていることが示唆されています。
兄の卓とは同じような性格であるためしばしば衝突しており、卓は守に対して「存在自体が迷惑だった」などと発言していますが、一方で互いに認め合った関係でもあり、卓は弟のボクサー引退後の生活を案じ、密かに子会社のポストを用意していました。しかし守が世界チャンピオンになってからは、彼の生きる場所がボクシングであることを悟り、以前の考えを捨てて見守るようになりました。姉の京香と弟の渡は、実家から離れて暮らす守のことを心配しつつも熱心に応援しています。父親も守の世界戦が決まった時には笑いながら話していたとされます。
鷹村はsister complexシスコン英語であり、年上の美人が好きです。山口のことは当初は単なるsex friendセフレ英語としか見ておらず、彼女に張り倒されることも少なくありませんでしたが、紆余曲折を経てKeithキース英語戦では彼女にキスされるなど、関係性が進展したことが示唆されています。
2. ボクサーとしてのキャリア
鷹村守のプロボクサーとしての活動と業績、そしてその過程で直面する挑戦に焦点を当てます。
2.1. ボクサーとしての特性
鷹村守の身長は185 cm、リーチは189 cmです。本来のスタイルは、身体能力と格闘センスに任せ、ガードを下げたinfightインファイト英語が主体でした。鴨川源二が路上で喧嘩をしていた学生時代の鷹村に初めて出会った時点で、すでに日本チャンピオンクラスの実力の持ち主だったと言われるほどの天性の強打と無類のタフネスを持っていました。鴨川は鷹村と出会った頃を「磨く必要のない原石」と称しています。これに加え、鴨川によってout-boxingアウトボクシング英語を叩き込まれ、boxer-fighterボクサーファイター英語へと進化しました。元WBC世界ミドル級チャンピオンのMiguel Zaelミゲル・ゼール英語は、鷹村を「野性と科学の融合であるボクサーの理想像」と称していました。
デビュー戦ではインターハイ優勝選手に1分以下の時間で勝利し、全日本新人王も順調に獲得しました。日本タイトルマッチまでダウン経験がなく、全勝KO勝ちという驚異的な記録を誇っています。
本来はヘビー級の体格ですが、作中の時間軸においては日本で同階級が設置されていないため、主にミドル級を主戦場としています。このため、試合の度に平常時の約90 kg近い体重からミドル級~ジュニアミドル級まで、約20 kgもの壮絶な減量を強いられます。作中では何度か減量を達成するものの、コンディション不良に陥ったことがあり、Maurice Westモーリス・ウェスト英語戦ではあわや敗北寸前まで追い詰められたこともあります。特にBrian Hawkブライアン・ホーク英語戦の際は、計量2週間前からほぼ完全に絶食・断水し、ひたすらロードワークを行い、12月の寒さの中でわずかな汗を絞り出しました。日本における重量級の選手数の問題もあり、多くの対戦相手が逃げ出してしまい、試合が決まらないこともしばしばあります。世界を舞台にしてからは、鴨川ジムの資金力のなさから本来の階級で満足に試合を組めないことも多いですが、本人は減量について鴨川に文句を言うことはありません。この時期には、スパーリングで日本ランカー3人を同時に相手しながら軽い一撃を受けただけで圧倒的なKO勝ちを収めるなど、もはや人間のレベルを踏み越えていると評されるほどの強さを見せています。
決まったSunday Punchサンデーパンチ英語は持ちませんが、鴨川の指導により急所に力の集中した的確なパンチを放ちます。ミドル級でありながらフェザー級の宮田一郎がついていけないと言わしめるほどの素早さを持ち、ランニングでは一歩ですらついていくのがやっとです。スタミナも常人の比ではなく、炎天下での練習では付き添いのトレーナーの方が先に音を上げるほどです。
普段いたずらばかりに使っている悪知恵は、ボクシングの試合では相手を的確にやり込め、勝負どころを見極める駆け引きに役立っています。試合観戦中のコメントではボクシングに関する含蓄の深さを見せ、時には鴨川でさえ気付けていない点まで指摘するほどです。他選手の試合を観戦する際に、意外な展開に目を剥くことはあっても、選手の強さそのものに驚愕することは稀で、汗一つ流さずに冷静に周囲への解説を行っています(唯一の例外は自身がジュニアミドル級世界王者になる前の、伊達英二対リカルド・マルチネス戦でリカルドの強さを目の当たりにした時のものです)。
12ラウンドフルで試合した日の夜に「Bar Mayweatherバー・メイウェザー英語」内で、階級こそ違えど現役ボクサー3人(千堂武士、間柴了、冴木卓麻)と、元ボクサー2人(伊達英二、沖田佳吾)の計5人を相手に大乱闘を起こし、全員を傷だらけにして立ち去るという強さを見せつけました。このエピソードでは「死神」の異名を取り、普段は周囲にとっても恐怖の対象である間柴了ですら顔色を失い、その場に居合わせた妹の久美だけでも逃がそうと必死になり、周囲と協力して鷹村に立ち向かうことを余儀なくされるなど、間柴でさえ鷹村と絡むとギャグ要員に成り下がってしまうという格の違いを見せつけています。
2.2. 主要な試合とタイトル
鷹村守は、プロデビュー戦でインターハイ優勝者を1ラウンド25秒でTKO勝利し、そのキャリアをスタートさせました。その後も連勝を重ね、全日本新人王を獲得。日本ミドル級タイトルマッチでは、矢島吉秋を1ラウンド1分30秒でKOし、王座を獲得しました。
その後も無敗記録を更新し続け、世界前哨戦ではMaurice Westモーリス・ウェスト英語を6ラウンドKOで破りました。そして、199X年の5年目(24歳)に、アメリカのBrian Hawkブライアン・ホーク英語を8ラウンドKOで破り、WBC世界ジュニアミドル級タイトルを獲得しました。この王座を1度防衛した後、より大きな目標であるミドル級王座挑戦のため返上します。
199X年の6年目(25歳)には、同じくアメリカのDavid Eagleデビッド・イーグル英語を8ラウンドKOで破り、WBC世界ミドル級タイトルを獲得し、2階級制覇を達成しました。さらに、199X年の8年目(27歳)には、アメリカのRichard Bisonリチャード・バイソン英語を6ラウンドKOで破り、WBC・WBA統一世界ミドル級タイトルを獲得し、3階級制覇を成し遂げました。
現在も28戦28勝28KOの無敗記録を更新しており、究極の目標として6階級制覇を目指しています。
2.3. 試合技術
鷹村が試合で活用する多様な技術は以下の通りです。
- Feintフェイント英語**: パフォーマンスを意識したフェイントは効果がありませんが、路上での喧嘩に明け暮れ研ぎ澄まされた本能によって、本物のパンチと錯覚させるフェイントを放つことができます。後者は合宿などで使用されます。
- Jabジャブ英語**: 鴨川会長が最初に教えたパンチです。基本に忠実にこれで相手を牽制し、ワンツーにつなげます。練習を重ねに重ねた結果、驚異的な速度と完成度を誇り、国内の選手はこれのみで完封できるほどです。
- スピード地獄**: 最大速度のfootworkフットワーク英語で相手を翻弄する技術です。名前は本人の命名によるもので、Brian Hawkブライアン・ホーク英語戦で使用されましたが、Hawkホーク英語にやり返されてしまいました。
- 零距離ボディブロー**: 身体の捻りと適切な体重移動により、その場からほぼ動かずに対戦相手の意識の外から繰り出すbody blowボディブロー英語です。David Eagleデビッド・イーグル英語戦で使用されました。一歩は主に首相撲からやクリンチに来た相手に打ちますが、鷹村はダウンを装って相手の体にもたれかかってから打つなど、よりしたたかな使い方をします。
- その他**: 作中で千堂とのスパーリングの際、「Chris Crossクリス・クロス英語」などのcounterカウンター英語技を披露するシーンがあり、ボクシングの基本的・応用的なテクニックは全て習得していると言っても過言ではありません。
- Counterカウンター英語**: 敵のカウンターにさらにカウンターを打つこともできます。野生の熊に襲われた際、右のカウンターで熊をダウンさせ、「熊殺しパンチ」と命名しました。
- よそ見**: 青木の「よそ見」をアレンジしたもので、体ごと横を向きます。Larry Bernardoラリー・ベルナルド英語戦で使用されましたが、クリーンヒットされるなど効果はなく、試合には勝利したものの記者会見でパンチを1発ももらわないという公約を破ったこともあり、観客からbooingブーイング英語を浴び、鴨川から説教されるなど散々な目に遭い、腹いせに青木に八つ当たりしました。ゲームでは「鷹村よそ見」と命名されています。
- ビートルズパンチ / ビートルズアッパー**: オスのカブトムシの大きな角をイメージした大振りの左uppercutアッパーカット英語です。Ricky Mouseリッキー・マウス英語戦で使用しましたが、全く当たりませんでした。Sunday Punchサンデーパンチ英語が欲しくて野生動物の王(=カブトムシ)を見て編み出し、試作段階では相手の股に手を入れてひっくり返す反則技でした。
- 小さい角**: ビートルズアッパーの隙をついて踏み込んできた相手の顔面に打つ右パンチです。Ricky Mouseリッキー・マウス英語戦で偶然決まり、Mouseマウス英語をKOし、鷹村は「狙い通り」と豪語しました。
2.4. 試合外のパフォーマンス
鷹村は「ボクシングだけには嘘はつきたくない」という信念から、試合や練習には極めて真摯に取り組んでおり、ボクシングこそが自分の生きる唯一の世界であると感じています。これは、不良として他人から見下されて生きていた彼が、ボクシングのデビュー戦で勝利して観客から拍手喝采を浴びたことで、自分の生きる世界だと悟ったためです。その一方で、入場コスチュームやパフォーマンスなどはひたすら派手にしたがり、試合中は意味のないところにこだわって無駄な苦戦をすることも少なくありません。
入場曲はアニメ版で佐々木功による『ウルトラセブン1999最終章6部作』主題歌「ウルトラセブンのうた99」が使用されています。熊をKOした直後の試合では、熊の毛皮を被って入場しました。あまりにも唐突だったため、観客には作り話に思われましたが、毛皮を脱いだ際に胸に刻まれた熊の爪痕を見て、観客や対戦相手は最終的にそれが本当の話だと理解しました。この時は右を封印して左のみで戦い、対戦相手を1ラウンドKOで沈め、「左を制するものは世界を征す」という格言を実行し、世界戦へのアピールを行いました。
世界戦で使用した鷹の頭と羽根を模したフードつきガウンは好評でしたが、カブトムシの着ぐるみを着た際には、リングインの際に角がロープに引っ掛かって取れてしまい、観客から「ゴキブリ」と評されてしまいました。
対戦相手との実力差があまりに大きいとやりたい放題となり、試合に勝っても観客からbooingブーイング英語と共に物を投げられることも少なくありません。試合中にもかかわらず「自分が引っ掛かりそうになったから」と青木の「よそ見」を何の予備動作もなく使ったり、大振りのuppercutアッパーカット英語を連携もなく連発したりと、端から見れば単なるお遊びとも思える無茶苦茶な試合運びをすることも多いです。secondセコンド英語として一緒に恥をかいてしまう鴨川会長も「実力はともかく人格的に王者には程遠い」「性根が腐っている」と嘆いています。Brian Hawkブライアン・ホーク英語戦は、試合前の挑発的な言動を繰り返していたHawkホーク英語に立ち向かう日本代表として期待を背負った試合でしたが、勝利後にHawkホーク英語と大して変わらないレベルの下品な発言をしたために台無しにしてしまいました。Ronald Duckロナルド・ダック英語戦やPeter Rabbitsonピーター・ラビットソン英語戦では、派手なKOを狙いすぎて判定負け寸前まで追い詰められることもありました。
2.5. 網膜剥離疑惑
Brian Hawkブライアン・ホーク英語との死闘以来、鷹村は網膜剥離の疑いを持たれています。不審な行動から宮田が右眼の異常を危惧しますが、本人はこれを否定しています。後のDavid Eagleデビッド・イーグル英語戦において、左眼が塞がった状態でも戦えていたことから疑惑は解消されたかのように見え、引退の心配もなくなりました。しかし、医師の診察を受けたわけではなく、そもそもイーグル戦では負傷により両眼が見えなくなった状態での勝利だったため、真偽は現在のところ不明ですいです。この疑惑は、彼の選手生命における大きな不確実性を伴う問題として描かれています。
3. 主要エピソード
鷹村守のキャラクターを象徴的に示す主要な出来事を扱います。
3.1. 熊との一騎打ち
信州の山中での合宿中、鷹村は野生の熊に襲われました。彼は胸に3本の傷を負いながらも、ボクシングの技術で熊を打ち倒しました。最初は殺そうとしましたが、殴り倒した熊にすり寄る仔熊を見て「親が必要だ」と感じ、その場を立ち去りました。しかし、事の顛末を知らない猫田がその熊を銃で撃ち、熊鍋にしてしまいます。熊が死んだことを知った鷹村は人目を憚らず涙し、せめてもの供養のためにと、熊鍋を一番に食べました。このエピソードは、彼の持つ野生的な強さと、意外なほどの繊細で人間的な感情を象徴する出来事として描かれています。
4. 対戦成績
鷹村守のプロボクシングの全試合記録を以下に示します。西暦は不明であるため、便宜上、一歩の鴨川ジム入門後の経過年数と鷹村本人の年齢を表記します。国内レコードは24戦24勝(24KO)です。7回以前の不明な試合には、少なくとも東日本新人王の1回戦と決勝、全日本新人王決定戦(1R KO)が含まれます。テレビアニメ版第32話「右を打て!」にて、青木が鷹村の自己最短試合について話したことにより、4戦目が1R15秒KOであったことが判明しています。
戦 | 日付 | 勝敗 | 時間 | 内容 | 対戦相手 | 国籍 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 4年前(17歳) | ☆ | 1R 0:25 | TKO | 佐倉 | 日本 | プロデビュー戦 |
2 | 不明 | ☆ | 1R | KO | 不明 | 日本 | |
3 | 不明 | ☆ | 1R | KO | 不明 | 日本 | |
4 | 不明 | ☆ | 1R15秒 | KO | 不明 | 日本 | |
5 | 不明 | ☆ | 1R | KO | 不明 | 日本 | |
6 | 不明 | ☆ | 1R | KO | 不明 | 日本 | |
7 | 不明 | ☆ | 1R | KO | 不明 | 日本 | |
8 | 1年目(20歳)10月下旬 | ☆ | 1R | KO | 平野和彦(東邦) | 日本 | |
9 | 2年目(21歳)8月x日 | ☆ | 1R 1:30 | KO | 矢島吉秋(河合) | 日本 | 日本ミドル級タイトル戦 王座獲得 |
10 | 2年目(21歳)4月20日 | ☆ | 3R | KO | ボンチャイ・チュワタナ | タイ | ノンタイトル戦 |
11 | 不明 | ☆ | 1R | KO | 不明 | 日本 | 日本王座防衛1 |
12 | 不明 | ☆ | 1R | KO | 不明 | 日本 | 日本王座防衛2 |
13 | 3年目(22歳)1月 | ☆ | 2R | KO | 玉置厚(西川) | 日本 | 日本王座防衛3 |
14 | 199X年 4年目(23歳)8月30日 | ☆ | 1R | KO | 伊藤貴明(オサミ) | 日本 | 日本王座防衛4 |
15 | 不明 | ☆ | 3R | KO | 不明 | 不明 | |
16 | 199X年 5年目(24歳)10月14日 | ☆ | 6R | KO | モーリス・ウェスト | フィリピン | 世界前哨戦 |
17 | 199X年 5年目(24歳)12月20日 | ☆ | 8R | KO | ブライアン・ホーク | アメリカ | WBC世界ジュニアミドル級タイトルマッチ 王座獲得 |
18 | 199X年 5年目(24歳)4月28日 | ☆ | 1R | KO | ラリー・ベルナルド | アメリカ | WBC防衛1 |
19 | 199X年 6年目(25歳)8月27日 | ☆ | 8R | KO | デビッド・イーグル | アメリカ | WBC世界ミドル級タイトルマッチ 王座獲得 |
20 | 199X年 6年目(25歳)2月頃 | ☆ | 1R 2:42 | KO | リチャード・フォックス | アメリカ | WBC防衛1 |
21 | 199X年 7年目(26歳)9月12日 | ☆ | 1R | KO | リッキー・マウス | アメリカ | WBC防衛2 |
22 | 199X年 7年目(26歳)4月15日 | ☆ | 10R | KO | ロナルド・ダック | アメリカ | WBC防衛3 |
23 | 199X年 8年目(27歳)10月25日 | ☆ | 12R 2:00 | KO | ピーター・ラビットソン | アメリカ | WBC防衛4 |
24 | 199X年 8年目(27歳)4月頃 | ☆ | 6R | KO | リチャード・バイソン | アメリカ | WBC・WBA統一世界ミドル級タイトルマッチ WBC防衛5・WBA王座獲得 |
5. 評価と影響
鷹村守のキャラクターに対する多様な評価と、彼が周囲の人物および作品全体に与えた影響を分析します。
5.1. 同僚や後輩への影響
一歩を含む鴨川ボクシングジムの他のボクサーや後輩たちは、鷹村の存在に大きな影響を受けています。鷹村の圧倒的な強さ、そして時折見せる男らしい気遣いや優しさ、厳しくも温かい指導は、彼らにとって大きなインスピレーションとなっています。特に一歩、青木、木村といった鴨川ジムの主要メンバーがボクシングを始めたきっかけは鷹村との出会いであり、彼らのボクシングを続ける原動力にもなっています。鷹村は、鴨川会長が成し遂げられなかった世界王座の夢を背負い、それを達成することで、ジムの仲間たちに希望と目標を与え続けています。
5.2. 批判と論争
鷹村はしばしば、その傲慢で非紳士的な行動により批判や論争の的となります。デリカシーに欠け、周囲の感情を顧みない言動は、鴨川会長をして「人格的に王者には程遠い」「性根が腐っている」と嘆かせるほどです。対戦相手を侮辱したり、試合中に不必要なふざけたパフォーマンスをしたりすることで、観客からbooingブーイング英語を浴びたり、物を投げつけられたりすることも少なくありません。
また、自身の健康問題、特に無理な減量や、Brian Hawkブライアン・ホーク英語戦以降に疑われている網膜剥離の疑惑も、彼のキャラクターに関連する重大な論点です。彼は自身の身体を顧みず、危険な状況に身を置くことがありますが、その結果としてファンや周囲に不安を与えています。彼の目標達成への執念は評価される一方で、自己管理の面での批判や、それによって生じる健康上のリスクは、彼のキャラクターの複雑さを表しています。
6. その他の情報
鷹村守に関する追加情報を含み、彼の実際のモデルや作品外での人気について扱います。
6.1. 人物像とモデル
鷹村守の外見は、作者森川ジョージの友人の「高村」という人物がモデルとなっています。ただし、実際の友人は鷹村ほど強烈な人物ではなかったとされます。彼の豪放磊落な性格は、実在のプロボクサーであるRoberto Duránロベルト・デュランスペイン語がモデルとなっています。
鴨川ボクシングジムの屋上には、鷹村のWBC世界ジュニアミドル級王座奪取記念に鷹村自身が注文した、本人そっくりの銅像が置かれています。この銅像は完成直後に青木が持ち運びの際に壊してしまい、青木は一体5.00 万 JPYもする小型版の銅像を路上で売る羽目になりました(銅像は2体売れました)。この銅像は、ある意味で鴨川ジムのシンボルとしてしばしば登場し、ジムの遠景が描かれる際にはよく見られます。鴨川会長はこの銅像が気に障るようで、一歩と宮田の試合が流れた際には像に怒りをぶつけることもありました。また、青木組がヴォルグに鷹村像の掃除をさせていたことに対して板垣が「よりにもよって鷹村像の掃除をやらせるとはどういうことだ!」と小突いたことから、鷹村本人以外のジムの面々はその像にあまり良い感情を持っていない模様です。なお、作中の大型版とほぼ同デザインのものが実在し、作者が経営するJBスポーツクラブのシンボルとして飾られています。
6.2. 作品内外での人気
鷹村守は『はじめの一歩』シリーズ内で非常に高い人気を誇るキャラクターです。キャラクター人気ランキングでは、連載200回記念で5位、連載500回記念で3位、連載700回記念で2位を獲得しています。彼の人気は、関連商品やメディア出演などにも表れています。
一方で、歌が下手であるという意外な一面も持っています。カラオケでアリスの「チャンピオン」を歌った際、一歩を気絶させたエピソードもあります。
6.3. 作者の意図と補足
作者である森川ジョージは、鷹村守のキャラクターを構想し発展させる上で、いくつかの重要な決断をしています。当初、森川はミドル級は日本人には手の届かない一種の聖域であり、天才である鷹村としてもあまりに非現実的ではないかと考え、鷹村の世界挑戦は前例のあるジュニアミドル級のみにする予定でした。しかし、竹原慎二がWBA世界ミドル級王者になったことをきっかけに、森川は自身の発想を少年漫画家としては夢がなかったと猛省し、鷹村に夢の6階級制覇への挑戦を続行させることを決意しました。
アニメ第1期の第76話『ボクサーの拳』は、原作での断片的な描写を基にした、鷹村と鴨川会長の出会いからプロデビュー戦までを描いたオリジナルストーリーとなっています。