1. 概要
羽座 妃粋(はざ ひすい)は、1996年3月16日生まれの日本の元女子サッカー選手である。ポジションはディフェンダー(DF)。身長は167 cm、体重は58 kg。
兄がサッカーをしていた影響で、幼少期から地元兵庫県西宮市でサッカーを始め、プロサッカー選手の道を志した。日ノ本学園高等学校では主将として高校サッカー2冠に貢献し、日本体育大学在学中には、大学から唯一の選手としてなでしこジャパンに選出されるなど、若くしてその才能を輝かせた。プロキャリアでは、地元クラブのINAC神戸レオネッサでプレーした後、スペインリーグも経験。WEリーグ優勝にも貢献し、日本女子サッカー界の発展に大きく寄与した選手である。彼女のキャリアは、多くの若い選手にとって目標となるものであり、前十字靭帯断裂という大怪我を乗り越え、ひたむきに努力を続けたその姿勢は、多くの人々に勇気を与えた。
2. 幼少期・ユースキャリア
羽座妃粋は、兵庫県西宮市で生まれ育ち、幼少期からサッカーに親しんだ。日ノ本学園高校での輝かしい成績を経て、日本体育大学でその才能をさらに開花させ、プロの道を切り開いた。
2.1. 誕生と幼少期
羽座妃粋は1996年3月16日に兵庫県西宮市で誕生した。兄がサッカーをしていた影響で、自身もサッカーを始める。地元の西宮少年SCと西宮女子FCの両チームに所属し、サッカーの基礎を学んだ。
中学時代は宝塚エルバイレFCに在籍し、プレーを続けた。また、その一方で小学校4年から中学3年までの間、尼崎市内にあるクーバー・コーチング・ジャパンのサッカースクールにも通い、より専門的な指導を受けながら技術を磨いた。
2.2. 高校・大学時代
羽座は高校サッカー界の名門である日ノ本学園高等学校に進学し、サッカー部に入部した。3年時にはチームの主将を務め、同級生の入江未希らとともにチームを牽引。2013年には全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会で優勝、さらに第22回全日本高等学校女子サッカー選手権大会でも優勝を達成し、高校サッカーにおける歴史的な2冠を経験した。
2014年には日本体育大学に進学し、同校の女子サッカー部に入部した。大学1年生ながら、同年3月にはラ・マンガ国際大会に出場するU-23日本女子代表に選出されるなど、その才能は早くから注目を集めた。7月にはU-18日本女子代表として日中韓国際親善サッカー大会に選出され、さらに8月にはなでしこジャパンの2014年アジア競技大会(韓国・仁川)の日本代表メンバーに初選出された。これは、当時の大学チームからは羽座妃粋が唯一の選出であり、その実力の高さを示す出来事であった。
2017年シーズンには、所属する日体大FIELDS横浜の選手として、なでしこリーグ2部で優勝に貢献し、チームを1部リーグ昇格へと導いた。
3. プロクラブキャリア
羽座妃粋は、大学卒業後、地元のINAC神戸レオネッサでプロキャリアをスタートさせ、その後スペインリーグ挑戦、INAC神戸への復帰、そしてアルビレックス新潟レディースでのプレーと、国内外のクラブで活躍した。
3.1. INAC神戸レオネッサ (2018-2019)
2017年12月、大学卒業後の2018年シーズンより、地元兵庫県を本拠地とするINAC神戸レオネッサへの入団が発表され、プロサッカー選手としてのキャリアをスタートさせた。INAC神戸では2019年8月までプレーした。
3.2. SE AEM (2019-2021)
2019年8月3日、羽座は新たな挑戦を求め、スペイン北東部のカタルーニャ州レリダ市を本拠地とするスペインリーグ2部のクラブ、AEM Lleidaへ移籍することが発表された。この移籍は、なでしこリーグカップの決勝戦終了後に、INAC神戸レオネッサから正式に発表された。彼女は2019年8月から2021年5月までスペインでプレーした。
3.3. INAC神戸レオネッサへの復帰 (2021-2022)
2021年8月10日、羽座妃粋は2年振りに古巣であるINAC神戸レオネッサへの復帰加入が発表された。復帰後の2021-22シーズンには、WEリーグでチームの優勝に貢献した。彼女は2021年8月から2022年までINAC神戸レオネッサに在籍した。
3.4. アルビレックス新潟レディース (2022-2023)
2022年より、羽座妃粋はアルビレックス新潟レディースに移籍し、自身のプロキャリア最後のクラブとなった。彼女は2022-23シーズンをもって現役を引退することを発表し、このクラブでプロとしての活動を終えた。
4. 代表キャリア
羽座妃粋は、各年代別代表チームで経験を積み、若くしてなでしこジャパンに選出され、国際舞台でも活躍を見せた。
4.1. 年代別代表チーム
羽座は、日本の各年代別女子サッカー代表チームに選出され、国際大会で貴重な経験を積んだ。
- U-18日本女子代表**に選出され、日中韓国際親善サッカー大会に出場した。
- U-19日本女子代表**に選出され、2015年には2015 U-20女子 NTC招待、AFC U-19女子選手権2015(中国開催)に出場し、将来を期待される選手として成長した。
- U-20日本女子代表**に選出され、2016年には2016 FIFA U-20女子ワールドカップ(パプアニューギニア開催)に出場。この大会で日本は3位という素晴らしい成績を収め、彼女もその一員として貢献した。
- U-23日本女子代表**にも選出され、2017年にはラ・マンガU-23女子国際大会に出場し、さらなる経験を積んだ。
4.2. A代表チーム
羽座妃粋は、2014年9月13日、当時18歳で日本女子代表(なでしこジャパン)に初選出され、ガーナ女子代表との国際親善試合で記念すべきA代表デビューを果たした。
同年、2014年アジア競技大会(韓国・仁川)の日本代表メンバーに選ばれ、主要な国際大会で活躍した。この大会では3試合に出場し、日本代表の準優勝に貢献した。2014年にはA代表として合計4試合に出場している。
5. キャリア統計
羽座妃粋のサッカーキャリア全体にわたる統計記録は、その豊富な経験と貢献を示している。
5.1. クラブ統計
クラブでの公式戦出場記録は以下の通り。
| 年度 | 所属クラブ | 背番号 | リーグ | リーグ出場 | リーグ得点 | カップ出場 | カップ得点 | 皇后杯出場 | 皇后杯得点 | 総計出場 | 総計得点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2011 | 日ノ本学園高校 | 25 | その他 | - | - | 1 | 0 | 1 | 0 | ||
| 2013 | 2 | - | - | 3 | 0 | 3 | 0 | ||||
| 2014 | 日本体育大学 | 28 | チャレンジ | 18 | 0 | - | 0 | 0 | 18 | 0 | |
| 2015 | 日体大FIELDS横浜 | 4 | なでしこ2部 | 8 | 1 | - | 0 | 0 | 8 | 1 | |
| 2016 | 5 | 0 | 10 | 0 | 1 | 0 | 16 | 0 | |||
| 2017 | 18 | 1 | 6 | 0 | 2 | 0 | 26 | 1 | |||
| 2018 | INAC神戸レオネッサ | 15 | なでしこ1部 | 6 | 1 | 9 | 0 | 3 | 0 | 18 | 1 |
| 2019 | 4 | 0 | 5 | 0 | - | 9 | 0 | ||||
| スペイン | |||||||||||
| 2019-20 | AEM Lleida | 14 | スペイン2部 | ||||||||
| 2020-21 | 2 | ||||||||||
| 日本 | |||||||||||
| 2021-22 | INAC神戸レオネッサ | 15 | WE | 2 | 0 | - | - | - | 2 | 0 | |
| 2022-23 | アルビレックス新潟レディース | 3 | 16 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 19 | 0 | |
| 総通算 | 77 | 3 | 30 | 0 | 16 | 0 | 123 | 3 | |||
- 日本女子サッカーリーグ初出場 - 2014年4月6日 チャレンジリーグ 第1節 愛媛FCレディース戦(ニンジニアスタジアム)
- 日本女子サッカーリーグ初得点 - 2015年6月27日 なでしこリーグ2部 第13節 スフィーダ世田谷FC戦(駒沢オリンピック公園陸上競技場)
- WEリーグ初出場 - 2021年9月12日 第1節 大宮アルディージャVENTUS戦(ノエビアスタジアム神戸)
5.2. 代表チーム統計
日本女子代表での出場記録は以下の通り。
| 日本女子代表 | ||
|---|---|---|
| 年 | 出場 | 得点 |
| 2014 | 4 | 0 |
| 通算 | 4 | 0 |
- 日本代表初出場 - 2014年9月13日 対ガーナ女子代表戦(国際親善試合)
6. タイトル・栄誉
羽座妃粋は、クラブと国家代表チームの両方で、数々の重要なタイトルと栄誉を獲得し、そのキャリアに輝かしい足跡を残した。
6.1. クラブでのタイトル
- 日体大FIELDS横浜**
- 日本女子サッカーリーグ2部: 1回(2017年)
- INAC神戸レオネッサ**
- WEリーグ: 1回(2021-22シーズン)
6.2. 代表チームでの栄誉
- 日本女子代表**
- 2014年アジア競技大会 準優勝
- U-20日本女子代表**
- 2016 FIFA U-20女子ワールドカップ 3位
7. 引退
2023年5月30日、羽座妃粋は2022-23シーズン限りでの現役引退を発表した。彼女はプロサッカー選手としてのキャリアを通じて、前十字靭帯断裂という大怪我を乗り越えてプレーを続けてきたが、このシーズンをもって現役生活に幕を下ろすことになった。彼女の引退は、多くのファンや関係者に惜しまれつつも、その献身的なプレーと日本女子サッカーへの貢献が高く評価された。