1. 概要
アルトゥール・カミレヴィチ・アハマツィン(Артур Камилевич Ахматхузинアルトゥール・カミレヴィチ・アハマツィンロシア語、1988年 5月21日生)は、ロシアの元フェンシング選手であり、主にフルーレを専門としていた。彼はそのキャリアにおいて、特に2016年リオデジャネイロオリンピックの男子団体フルーレで金メダルを獲得し、2013年世界フェンシング選手権では個人フルーレで銀メダルに輝くなど、数々の国際的な成功を収めた。
2. 幼少期と背景
アハマツィンは1988年5月21日、ソビエト連邦時代のロシア・ソビエト連邦社会主義共和国、バシコルトスタン共和国のクラスノカムスキー地区にあるノヴィ・アクタニシュバシュで生まれた。彼はヴォルガ・タタール人の血を引いている。身長は1.87 m、体重は76 kgである。
3. 競技キャリア
アハマツィンはジュニア時代からその才能を発揮し、シニアに移行してからはワールドカップや世界選手権、そしてオリンピックで目覚ましい成績を収めた。キャリアの途中で負傷による離脱期間を経験したが、見事に国際舞台に復帰し、最終的にオリンピック金メダルを獲得するに至った。
3.1. ジュニア時代
アハマツィンは2005年のリンツで開催されたカデット世界選手権で国際大会にデビューし、この大会で銅メダルを獲得した。同年、彼はカデットおよびジュニアのロシア代表チームに加わり、タポルツァで開催された2005年ジュニアヨーロッパ選手権で団体金メダルを獲得した。その後も、2007年のプラハで開催されたジュニアヨーロッパ選手権では団体銀メダルを、またベレクで開催された2007年ジュニア世界選手権では団体銅メダルを獲得するなど、ジュニア世代で輝かしい成績を収めた。
3.2. シニア時代
シニアの国際大会では、2012年にヴェネツィア・グランプリで2位となり、自身初のフェンシングワールドカップでの表彰台に上がった。
3.2.1. 初期国際大会と2012年ロンドンオリンピック
アハマツィンは2012年ロンドンオリンピックに出場したが、個人戦では16強で中国の馬建飛に敗れた。団体戦では5位で大会を終えた。
3.2.2. 2013年世界選手権とワールドカップでの活躍
2013年、彼はア・コルーニャ・ワールドカップで優勝し、高円宮ワールドカップでも銅メダルを獲得した。ブダペストで開催された2013年世界フェンシング選手権では、大会前の世界ランキングで6位につけていた。この大会で、彼はオリンピック銀メダリストのアラエルディン・アブエルカセムを16強で破り、さらにオリンピックチャンピオンの雷声とウクライナのロスティスラフ・ヘルツィクを下して決勝に進出した。決勝ではアメリカ合衆国のマイルズ・チャムリー=ワトソンと対戦したが、序盤でリードを許し6-15で敗れ、銀メダルを獲得した。このシーズンを世界ランキング3位で終えた。数週間後には2013年ワールドコンバットゲームズに参加し、準決勝でイギリスのリチャード・クルーズに敗れたものの、3位決定戦でチャムリー=ワトソンを15-12で破り、銅メダルを獲得した。
3.2.3. 負傷と国際舞台への復帰

2013年-2014年フェンシングワールドカップシーズンでは、アハマツィンはパリ・ワールドカップで準々決勝まで進出したが、最終的に金メダルを獲得したエンゾ・ルフォールに敗れた。この大会で負った負傷により、彼は団体戦への参加を断念せざるを得ず、その後手術を受け、シーズン全体を休養に充てた。
アハマツィンは2015年初めにパリ・ワールドカップで国際大会に復帰した。予選を突破したものの、最初の淘汰ラウンドでイタリアのダニエレ・ガロッツォに敗れた。ガロッツォはこの大会で銀メダルを獲得している。続くボンでのレーヴェ・フォン・ボン・ワールドカップでは、16強で日本の太田雄貴に敗れた。
3.2.4. 2016年リオデジャネイロオリンピックでの金メダル
2016年リオデジャネイロオリンピックの男子個人フルーレでは、32強でマイルズ・チャムリー=ワトソンを破ったものの、16強で最終的に銀メダルを獲得したアメリカ合衆国のアレクサンダー・マシアラスに敗れた。しかし、団体戦ではロシアチームの一員として全ラウンドでフェンシングを行い、金メダル獲得に大きく貢献した。
4. 主な功績とメダル
アルトゥール・アハマツィンは、その競技キャリアを通じて数多くの国際大会でメダルを獲得してきた。
- オリンピック**
- 2016年 リオデジャネイロオリンピック:男子団体フルーレ 金メダル
- 世界選手権**
- 2013年 ブダペスト:男子個人フルーレ 銀メダル
- 2015年 モスクワ:男子団体フルーレ 銀メダル
- 2015年 モスクワ:男子個人フルーレ 銅メダル
- ヨーロッパ選手権**
- 2016年 トルニ:男子団体フルーレ 金メダル
- 2015年 モントルー:男子団体フルーレ 銀メダル
- ジュニア国際大会**
- 2005年 カデット世界選手権(リンツ):個人フルーレ 銅メダル
- 2005年 ジュニアヨーロッパ選手権(タポルツァ):団体フルーレ 金メダル
- 2007年 ジュニアヨーロッパ選手権(プラハ):団体フルーレ 銀メダル
- 2007年 ジュニア世界選手権(ベレク):団体フルーレ 銅メダル
- ワールドカップ/グランプリ**
- 2012年 ヴェネツィア・グランプリ:個人フルーレ 2位
- 2013年 ア・コルーニャ・ワールドカップ:個人フルーレ 優勝
- 2013年 高円宮ワールドカップ:個人フルーレ 銅メダル
- ワールドコンバットゲームズ**
- 2013年:個人フルーレ 銅メダル
5. 評価と影響
アルトゥール・アハマツィンは、フルーレ選手としてロシアのフェンシング界において重要な存在であり、国際的な舞台での成功を通じてその影響力を示した。特に2016年リオデジャネイロオリンピックでの団体金メダル獲得は、彼の競技者としての頂点を示し、ロシアフェンシングの栄光に貢献した。
彼は、負傷からの復帰を果たし、再び世界のトップレベルで活躍したことで、多くの後進の選手たちに諦めない精神と挑戦し続けることの重要性を伝えた。世界ランキング3位に到達し、個人・団体戦の両方で主要な国際大会のメダルを獲得した功績は、彼のスポーツマンシップと技術力の高さを示すものであり、ロシアおよび世界のフェンシングシーンにおける彼の評価を確固たるものにしている。