1. 概要

ダブラト・ボボノフ(Davlat Husniddin oʻgʻli Bobonovダブラト・フスニディン・オグリ・ボボノフウズベク語、Давлат Хусниддинович Бобоновダブラト・フスニジノヴィチ・ボボノフロシア語)は、ウズベキスタン出身の柔道選手である。1997年6月7日生まれ。主に90kg級で活躍し、2020年東京オリンピックで銅メダルを獲得したほか、2022年世界柔道選手権大会では金メダルに輝いた。また、IJFワールドツアーのグランドスラムやグランプリ大会でも多数のメダルを獲得するなど、国際柔道界におけるトップ選手の一人として知られている。
2. 生い立ちと経歴
ダブラト・ボボノフは、幼少期に柔道を始め、そのキャリアを通じて複数の階級を経験しながら、国際的なトップ選手へと成長した。
2.1. 出生と背景
ダブラト・ボボノフは1997年6月7日にウズベキスタンのヌロタで生まれた。彼のフルネームはDavlat Husniddin oʻgʻli Bobonovダブラト・フスニディン・オグリ・ボボノフウズベク語である。
2.2. 初期キャリアと階級変更
ボボノフの柔道キャリアは、2014年に73kg級でアジアジュニア・ユース柔道選手権大会に出場し、3位に入賞したことから始まった。その後、階級を81kg級に上げ、2016年には地元タシケントで開催されたグランプリ・タシケントで、決勝で日本の渡邉勇人を破り、IJFワールド柔道ツアーで初の優勝を果たした。2017年にはイスラム諸国連帯競技大会で3位、世界柔道選手権大会では4回戦で日本の永瀬貴規に反則勝ちを収めるも、最終的に7位という成績を残した。
その後、ボボノフは階級を90kg級に上げた。90kg級での最初の主要な成績は、2019年の夏季ユニバーシアードでの3位入賞である。同年、グランドスラム・大阪では決勝に進出したが、ジョージアのベカ・グビニアシビリに逆転負けを喫し、2位となった。2020年にはグランドスラム・デュッセルドルフで全ての試合を一本勝ちで制し、優勝を飾った。
2021年、アジア・オセアニア柔道選手権大会では決勝で日本の向翔一郎を破り優勝。同年開催された世界柔道選手権大会では決勝でスペインのニコロス・シェラザディシビリに敗れ、2位となった。7月に日本武道館で開催された東京オリンピックでは、準々決勝でジョージアのラシャ・ベカウリに反則負けを喫したが、その後の敗者復活戦でシェラザディシビリを破るなどして銅メダルを獲得した。
2022年には地元タシケントで開催された世界柔道選手権大会に出場。準決勝では東京オリンピックチャンピオンのベカウリに反則勝ちを収め、決勝ではイタリアのクリスティアン・パルラティにも反則勝ちで勝利し、金メダルを獲得した。この大会での優勝は、彼のキャリアにおける重要な転換点となった。2023年には再び地元タシケントで開催されたグランドスラム・タシケントで、決勝で日本の村尾三四郎に反則勝ちして優勝した。
2024年、世界柔道選手権大会では3回戦で敗退。同年開催されたパリオリンピックでは初戦で敗れた。
3. 主な成績
ダブラト・ボボノフは、柔道キャリアを通じて数多くの国際大会でメダルを獲得している。以下に主要な大会での成績を詳述する。
3.1. オリンピック
- 2020年東京オリンピック(2021年開催): 男子90kg級で銅メダルを獲得。準々決勝でラシャ・ベカウリに敗れたものの、敗者復活戦を勝ち上がり、3位決定戦でニコロス・シェラザディシビリに勝利した。
- 2024年パリオリンピック: 初戦で敗退。
3.2. 世界柔道選手権大会
- 2017年ブダペスト世界選手権: 男子81kg級で7位。
- 2021年ブダペスト世界選手権: 男子90kg級で銀メダルを獲得。決勝でニコロス・シェラザディシビリに敗れた。また、混合団体戦でも銅メダルを獲得した。
- 2022年タシケント世界選手権: 男子90kg級で金メダルを獲得。準決勝でラシャ・ベカウリ、決勝でクリスティアン・パルラティに勝利した。
- 2024年アブダビ世界選手権: 3回戦で敗退。
3.3. アジア競技大会
- 2022年杭州アジア競技大会(2023年開催): 男子90kg級で銀メダルを獲得。混合団体戦でも銀メダルを獲得した。
3.4. アジア柔道選手権大会
- 2021年ビシュケクアジア・オセアニア選手権: 男子90kg級で金メダルを獲得。団体戦では銅メダルを獲得した。
3.5. ワールドマスターズ
- 2022年ワールドマスターズ: 5位。
- 2023年ワールドマスターズ: 男子90kg級で銅メダルを獲得。
3.6. 夏季ユニバーシアード
- 2019年ナポリ夏季ユニバーシアード: 男子無差別級で銅メダルを獲得。
3.7. IJFワールドツアー(グランドスラム・グランプリ)
- 2016年グランプリ・タシケント: 男子81kg級で金メダル。
- 2019年グランドスラム・大阪: 男子90kg級で銀メダル。
- 2020年グランドスラム・デュッセルドルフ: 男子90kg級で金メダル。
- 2021年グランドスラム・タシケント: 男子90kg級で銀メダル。
- 2021年グランドスラム・トビリシ: 男子90kg級で銅メダル。
- 2021年グランドスラム・アブダビ: 男子90kg級で銅メダル。
- 2022年グランドスラム・パリ: 男子90kg級で銅メダル。
- 2022年グランドスラム・ウランバートル: 男子90kg級で銀メダル。
- 2023年グランドスラム・タシケント: 男子90kg級で金メダル。
- 2024年グランドスラム・タシケント: 男子90kg級で銅メダル。
3.8. その他
- 2014年アジアジュニア・ユース柔道選手権大会: 男子73kg級で銅メダル。
- 2017年イスラム諸国連帯競技大会: 銅メダル。
- 2022年イスラム諸国連帯競技大会: 銅メダル。
4. 記録とランキング
ダブラト・ボボノフは、2022年にはIJFの世界ランキングで1位を記録した。2023年9月25日現在、3945ポイントを獲得し、世界ランキング1位に位置している。
5. 私生活
ダブラト・ボボノフの私生活に関する公開されている情報は限られている。
6. 評価と影響
ダブラト・ボボノフは、ウズベキスタン柔道界を代表する選手の一人として、その活躍は国内外で高く評価されている。特に、オリンピックでのメダル獲得や世界選手権での優勝は、ウズベキスタンの柔道界に大きな影響を与え、次世代の選手たちに希望と目標を与えている。彼の粘り強い柔道スタイルと、階級変更を繰り返しながらもトップレベルで活躍し続ける適応能力は、多くの柔道家から注目されている。