1. 個人背景
ハジ・アリエフは1991年4月21日にアゼルバイジャンのナヒチヴァン自治共和国で生まれた。彼の本名はハジ・アゼル・オグル・アリエフである。身長は170 cm。
2. 初期キャリアとジュニア大会での実績
アリエフのレスリングキャリアは若くして始まり、ジュニアおよびカデットの国際大会で頭角を現した。
2008年にはラトビアのダウガフピルスで開催された欧州カデット選手権の54 kg級に出場し、銀メダルを獲得した。この大会では、17歳のアリエフが決勝でジョージアのウラジミール・ヒンチェガシビリに敗れたものの、その才能を示した。
2008年、彼はトルコのイスタンブールで開催された「プレジデンシャルトーナメント」にも参加したが、メダル獲得には至らなかった。
2009年2月、アリエフはアゼルバイジャンユース選手権の60 kg級で優勝し、国内での強さを見せた。同年3月にはラトビアのリガで開催された国際大会で5位に入賞した。
2009年10月には、アゼルバイジャンの国民的英雄アリヤル・アリエフを記念する若者向けトーナメントで優勝し、12月にはアゼルバイジャンカップで成人部門の優勝を果たした。
2011年にはセルビアのズレニャニンで開催された欧州ジュニア選手権の60 kg級で銀メダルを獲得し、ジュニア世代での実績を積み重ねた。
3. 主要なキャリア実績
ハジ・アリエフは、そのキャリアを通じて数々の主要な国際大会で輝かしい成績を収めてきた。オリンピックでのメダル獲得、世界選手権での複数回の優勝、欧州選手権での支配的なパフォーマンス、そしてその他の国際トーナメントでの継続的な成功は、彼が世界トップクラスのレスリング選手であることを証明している。
3.1. オリンピック
アリエフは2度のオリンピックでメダルを獲得している。
- 2016年リオデジャネイロオリンピックでは、57 kg級に出場し、ブルガリアのウラジミール・ドゥボフを破って銅メダルを獲得した。また、この大会の閉会式ではアゼルバイジャン選手団の旗手を務めた。
- 2020年東京オリンピックでは、65 kg級で銀メダルを獲得した。準決勝ではダウレット・ニヤズベコフを破り、決勝に進出した。
- 彼は2024年パリオリンピックの出場枠をアゼルバイジャンにもたらした。
3.2. 世界選手権
アリエフは世界レスリング選手権大会で3つの金メダルを獲得している。
- 2014年世界レスリング選手権大会(タシュケント)のフリースタイル61 kg級で初の金メダルを獲得した。
- 2015年世界レスリング選手権大会(ラスベガス)でも61 kg級で2度目の金メダルを獲得した。
- 2017年世界レスリング選手権大会(パリ)では、再び61 kg級で3度目の金メダルを獲得し、この階級での圧倒的な強さを示した。
- 2022年世界レスリング選手権大会(ベオグラード)の65 kg級では、銅メダル決定戦で敗れた。
3.3. 欧州選手権
アリエフは欧州レスリング選手権大会でも複数のメダルを獲得している。
- 2014年欧州レスリング選手権大会(ヴァンター)の61 kg級で金メダルを獲得した。決勝ではロシアのベクハン・ゴイゲレエフを破った。
- 2018年欧州レスリング選手権大会(カスピイスク)の65 kg級で金メダルを獲得した。
- 2019年欧州レスリング選手権大会(ブカレスト)の65 kg級で金メダルを獲得した。
- 2023年欧州レスリング選手権大会(ザグレブ)の70 kg級で金メダルを獲得した。
- 2022年欧州レスリング選手権大会(ブダペスト)の65 kg級で銀メダルを獲得した。
- 2016年欧州レスリング選手権大会(リガ)の61 kg級で銅メダルを獲得した。
3.4. その他の主要国際大会
アリエフは上記の主要大会以外にも、数多くの国際トーナメントで実績を残している。
- 欧州競技大会:**
- 2015年欧州競技大会(バクー)の61 kg級で銅メダルを獲得した。
- 2019年欧州競技大会(ミンスク)の65 kg級で金メダルを獲得した。
- イスラム連帯競技大会:**
- 2017年イスラム連帯競技大会(バクー)の61 kg級で金メダルを獲得した。
- 2021年イスラム連帯競技大会(コンヤ)の65 kg級で金メダルを獲得した。
- ワールドカップ:**
- 2012年バクー大会(60 kg級)で銀メダル。
- 2018年アイオワ大会(65 kg級)で銀メダル。
- 2015年ロサンゼルス大会(61 kg級)で銅メダル。
- 2017年ケルマーンシャー大会(65 kg級)で銅メダル。
- 個人ワールドカップ:**
- 2020年個人レスリングワールドカップ(ベオグラード)の65 kg級で銅メダルを獲得した。
- ユニバーシアード:**
- 2013年夏季ユニバーシアード(カザン)の60 kg級で銅メダルを獲得した。
- ヤシャール・ドゥー・トーナメント:**
- 2013年ヤシャール・ドゥー・トーナメント(アンカラ)の60 kg級で銅メダルを獲得した。
- ダン・コロフ&ニコラ・ペトロフ・トーナメント:**
- 2014年ダン・コロフ&ニコラ・ペトロフ・トーナメント(ソフィア)の61 kg級で金メダルを獲得した。
- ゴールデン・グランプリ:**
- 2012年バクー大会(60 kg級)で金メダル。
- 2014年バクー大会(61 kg級)で金メダル。
- 2015年バクー大会(61 kg級)で金メダル。
- 2013年バクー大会(60 kg級)で銀メダル。
- グランプリ:**
- 2014年ドルトムント大会(65 kg級)で金メダル。
- 2016年ドルトムント大会(61 kg級)で金メダル。
- 2011年グロズヌイ大会(60 kg級)で銀メダル。
- 2018年ミンスク大会(65 kg級)で銀メダル。
- 2023年ザグレブ・オープン(70 kg級)で銀メダル。
- 2012年ドルトムント大会(60 kg級)で銅メダル。
- 2012年キーウ大会(60 kg級)で銅メダル。
- 2015年パリ大会(65 kg級)で銅メダル。
- 2021年ポーランド・オープン(70 kg級)で銅メダル。
- 2022年マッテオ・ペリコーネ・ランキングシリーズ(ローマ、70 kg級)で銅メダル。
- 2023年ポーランド・オープン(ワルシャワ、65 kg級)で銅メダル。
- 2024年ポリャーク・イムレ&ヴァルガ・ヤーノシュ記念トーナメント(ブダペスト、65 kg級)で銅メダル。
4. 私生活とコーチング
ハジ・アリエフの個人的なコーチはエルマン・アジムザデである。彼の成功の裏には、コーチの指導とサポートが不可欠であった。
5. 評価と遺産
ハジ・アリエフは、その輝かしいキャリアと数々のタイトルにより、アゼルバイジャンレスリング界だけでなく、世界のフリースタイルレスリング界において最も成功した選手の一人として認識されている。オリンピックでのメダル獲得、世界選手権での3度の金メダル、欧州選手権での4度の金メダルという実績は、彼の技術の高さ、戦術的な知性、そして精神的な強さを物語っている。彼は異なる階級で安定したパフォーマンスを見せ、多くの若いレスリング選手にとっての模範となっている。アリエフの功績は、アゼルバイジャンのスポーツ史に深く刻まれるだけでなく、レスリングという競技の国際的な発展にも貢献している。