1. 概要
宮﨑有香は、1983年10月13日に三重県伊賀市で生まれた元女子サッカー選手である。現役時代のポジションは主にディフェンダーで、日本女子代表としても18試合に出場し、2得点を記録した。彼女は、地元の伊賀FCくノ一をはじめ、TEPCOマリーゼ、アメリカのボストン・アズテック、そして岡山湯郷Belleなど複数のクラブで活躍し、そのキャリアを通じてリーグのベストイレブンに選出されるなどの功績を残した。引退後は整体師やサッカーコーチとして活動し、地域社会や次世代の育成に貢献している。
2. 来歴
宮﨑有香のサッカー人生は、幼少期のサッカーとの出会いから始まり、プロ選手としての輝かしいキャリアを経て、引退後の社会貢献活動へと続いている。
2.1. 生い立ちとサッカーとの出会い
宮﨑有香は1983年10月13日、三重県伊賀市で誕生した。小学校3年生の頃、近所の男友達とサッカーで遊んだことをきっかけに、地元の花之木サッカースポーツ少年団に入団した。小学校6年生の時には、プリマハムFCくノ一(現・伊賀FCくノ一)の下部組織であるプリマハムFCフロイラインに入団し、本格的にサッカーの道を歩み始める。
2.2. プロクラブ経歴
宮﨑は三重県立上野商業高等学校に進学した1999年に、プリマハムFCくノ一(現・伊賀FCくノ一)に昇格した。翌2000年の第13回L・リーグ第6節、ルネサンス熊本フットボールクラブ戦(9月3日)で途中出場し、リーグデビューを飾る。2001年のスペランツァF.C.高槻との開幕戦(5月13日)で初先発出場を果たした。この年、彼女は日本女子代表に初招集される。2002年には第14回L・リーグのベストイレブンに選出されるなど、その実力が認められた。
登録名が「宮崎」から「宮﨑」に変更された2003年には、第15回L・リーグの決勝リーグ第6節、YKK東北女子サッカー部・フラッパーズ戦(11月23日)でリーグでの初ゴールを記録した。2004年にはアテネオリンピックのバックアップメンバーに選ばれるなど、日本代表での存在感を高めていった。
天理大学を卒業した2006年に東京電力へ就職し、これに伴い東京電力女子サッカー部マリーゼ(TEPCOマリーゼ)へ移籍。チームでは主にCBとしてプレーし、2007年からは副主将を務めた。2009年には再び日本女子代表に復帰している。
2009年度シーズン終了後、東京電力を退職・退部し、渡米。翌2010年4月にはアメリカのWPSLに所属するBoston Aztecボストン・アズテック英語への加入が発表された。
2012年度からは飯南高校で保健体育の非常勤講師を務め、さらに個人経営の整体師として活動しながら、男子サッカー部のボランティアコーチやサッカー教室の講師も兼任した。
2013年3月4日、岡山湯郷Belleに加入。2014年には長崎県の国体強化選手として国見FCレディースに入団した。
3. 個人成績
宮﨑有香のクラブおよび代表チームにおける詳細な出場記録と得点数は以下の通りである。
3.1. クラブ
以下の表は、宮﨑有香のクラブでの公式戦出場記録と得点数を示す。
年 | 所属クラブ | 背番号 | リーグ | リーグ戦 出場 | リーグ戦 得点 | カップ戦 出場 | カップ戦 得点 | 皇后杯 出場 | 皇后杯 得点 | 総出場 | 総得点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1999 | プリマハムFCくノ一 /伊賀FCくノ一 | L・リーグ | 0 | 0 | 0 | 0 | |||||
2000 | 7 | 0 | 7 | 0 | |||||||
2001 | 11 | 0 | 11 | 0 | |||||||
2002 | 10 | 0 | 10 | 0 | |||||||
2003 | 20 | 1 | 20 | 1 | |||||||
2004 | L・リーグ1部(L1) | 14 | 1 | 14 | 1 | ||||||
2005 | 18 | 1 | 18 | 1 | |||||||
2006 | TEPCOマリーゼ | 13 | なでしこDiv.1 | 15 | 0 | 15 | 0 | ||||
2007 | 3 | なでしこDiv.2 | 21 | 3 | 21 | 3 | |||||
2008 | なでしこDiv.1 | 21 | 2 | 21 | 2 | ||||||
2009 | 0 | 0 | |||||||||
アメリカ | |||||||||||
2010 | Boston Aztecボストン・アズテック英語 | WPSL | |||||||||
日本 | |||||||||||
2013 | 岡山湯郷Belle | 4 | なでしこ | 17 | 2 | 10 | 0 | 3 | 0 | 30 | 2 |
2014 | 国見FCレディース | 九州 | |||||||||
総通算 | 154 | 10 | 154 | 10 |
3.2. 代表
以下の表は、宮﨑有香の日本女子代表チームでの国際Aマッチ出場数および得点数を示す。
日本女子代表 | ||
---|---|---|
年 | 出場 | ゴール |
2001 | 5 | 0 |
2002 | 5 | 1 |
2003 | 6 | 1 |
2004 | 1 | 0 |
2005 | 0 | 0 |
2006 | 0 | 0 |
2007 | 0 | 0 |
2008 | 0 | 0 |
2009 | 1 | 0 |
合計 | 18 | 2 |
4. 代表経歴
宮﨑有香は日本女子サッカー代表チームの様々なカテゴリーで選出され、国際大会に出場した経験を持つ。
4.1. 代表選出と主要大会出場
宮﨑有香は2001年8月5日、17歳の若さで韓国で開催された極東4ヶ国対抗戦における中国代表戦で日本女子代表としてデビューを果たした。
年齢別の代表では、U-18日本女子代表として、1998年、2000年、2001年にアメリカで開催されたアディダスカップに出場。2002年にはアジア選手権大会で優勝(インド)を経験し、世界選手権大会(カナダ)ではベスト8に進出した。また、ユニバーシアード日本女子代表として2005年夏季ユニバーシアードにも参加した。
フル代表である日本女子代表(なでしこジャパン)としては、2001年にナイキカップ(アメリカ)、AFC女子選手権(台湾)に選出された。2002年にはアジア競技大会(韓国・釜山)に出場。2003年にはワールドカップアジア予選(タイ)、プレーオフ(メキシコシティ、東京)を経て、FIFA女子ワールドカップ・アメリカ大会のメンバーにも選出された。さらに、2004年のアテネオリンピックではバックアップメンバー(故障者が出た場合に追加登録が可能となるメンバー)として招集された。2009年には欧州遠征メンバーとして再び代表に名を連ねた。
4.2. 国際Aマッチ出場記録
以下の表は、宮﨑有香が日本女子代表選手として出場した国際Aマッチの各試合に関する詳細情報を示す。
# | 開催日 | 開催地 | 会場 | 相手 | 結果 | 監督 | 大会 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2001年8月5日 | 江陵(韓国) | 中国 | △2-2 | 池田司信 | 極東4ヶ国対抗戦 | |
2 | 2001年8月8日 | 水原(韓国) | ブラジル | △1-1 | 極東4ヶ国対抗戦 | ||
3 | 2001年9月9日 | シカゴ(アメリカ) | 中国 | ●0-3 | ナイキカップ | ||
4 | 2001年12月8日 | 台北(台湾) | グアム | ○11-0 | アジア選手権 | ||
5 | 2001年12月12日 | 台北(台湾) | ベトナム | ○3-1 | アジア選手権 | ||
6 | 2002年10月2日 | 釜山(韓国) | 朝鮮民主主義人民共和国 | ●0-1 | 上田栄治 | アジア大会 | |
7 | 2002年10月4日 | 昌原(韓国) | ベトナム | ○3-0 | アジア大会 | ||
8 | 2002年10月7日 | 馬山(韓国) | 韓国 | ○1-0 | アジア大会 | ||
9 | 2002年10月9日 | 昌原(韓国) | 中国 | △2-2 | アジア大会 | ||
10 | 2002年10月11日 | 馬山(韓国) | チャイニーズタイペイ | ○2-0 | アジア大会 | ||
11 | 2003年1月12日 | サンディエゴ(アメリカ) | アメリカ合衆国 | △0-0 | 国際親善試合 | ||
12 | 2003年3月19日 | バンコク(タイ) | タイ | ○9-0 | 国際親善試合 | ||
13 | 2003年6月9日 | バンコク(タイ) | フィリピン | ○15-0 | アジア選手権 | ||
14 | 2003年6月13日 | バンコク(タイ) | ミャンマー | ○7-0 | アジア選手権 | ||
15 | 2003年7月22日 | 宮城県(日本) | 仙台スタジアム | 韓国 | ○5-0 | 日韓豪3ヶ国対抗国際大会 | |
16 | 2003年7月27日 | 宮城県(日本) | 仙台スタジアム | オーストラリア | △0-0 | 日韓豪3ヶ国対抗国際大会 | |
17 | 2004年4月22日 | 東京都(日本) | 国立霞ヶ丘競技場陸上競技場 | タイ | ○6-0 | オリンピック予選 | |
18 | 2009年8月1日 | モンタルジ(フランス) | フランス | ○4-0 | 佐々木則夫 | 国際親善試合 |
4.3. 国際Aマッチ得点記録
以下の表は、宮﨑有香が日本女子代表選手として記録した国際Aマッチでの各得点に関する詳細情報を示す。
# | 開催日 | 開催都市 | スタジアム | 対戦国 | 結果 | 監督 | 大会 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2002年10月11日 | 馬山(韓国) | 馬山スタジアム | チャイニーズタイペイ | ○ 2-0 | 上田栄治 | 2002年アジア競技大会 |
2 | 2003年6月9日 | バンコク(タイ) | ラジャマンガラ競技場 | フィリピン | ○ 15-0 | 2003 AFC女子選手権 |
5. タイトル・個人表彰
宮﨑有香が選手キャリアで獲得した主要なタイトルと個人表彰は以下の通りである。
5.1. クラブ
- 東京電力女子サッカー部マリーゼ
- 日本女子サッカーリーグ2部: 1回 (2007年)
- Boston Aztecボストン・アズテック英語
- WPSL 全米優勝: 1回 (2010年)
5.2. 個人
- 日本女子サッカーリーグ ベストイレブン: 1回 (2002年)
6. 著書
宮﨑有香は以下の書籍を執筆している。
- 宮﨑有香 『言葉の力』風詠社、2012年 ISBN 978-4434171888
7. 引退後の活動と社会貢献
プロサッカー選手引退後、宮﨑有香は多岐にわたる活動を通じて社会貢献を行っている。2012年度からは三重県立飯南高等学校で保健体育の非常勤講師を務め、次世代の育成に携わった。また、個人で整体師として「みや整体院」を2015年5月9日に伊賀市で開院し、人々の健康増進に貢献している。さらに、男子サッカー部のボランティアコーチやサッカー教室の講師としても活動し、自身が培ったサッカーの知識と経験を、未来を担う子どもたちや地域社会のスポーツ振興のために惜しみなく提供している。これらの活動は、彼女がスポーツを通じて得た学びと経験を、社会の様々な分野で還元し、人々の生活の質の向上と健康な社会の実現に寄与するものである。