1. 概要
渡邉航貴(渡邉 航貴わたなべ こうき日本語、1999年1月29日生まれ)は、日本の男子バドミントン選手である。埼玉県越谷市出身で、BIPROGYに所属している。身長は1.66 m、体重は65 kg。利き腕は右で、主に男子シングルスで活躍している。
渡邉は4歳でバドミントンを始め、幼少期からその才能を発揮した。ジュニア時代には世界ジュニアバドミントン選手権大会で銅メダルを獲得するなど、国際舞台での活躍を見せる。プロフェッショナルキャリアに移行してからは、2018年に初の国際タイトルを獲得し、2023年には初のBWFワールドツアータイトルであるスイス・オープン優勝を達成。2024年には自身初のBWFワールドツアースーパー500タイトルとなるカナダ・オープン優勝を果たすとともに、日本ランキングで1位の座に就いた。彼のキャリアは、強豪選手を次々と破り、主要な国際大会でタイトルを獲得してきた道のりであり、今後のさらなる活躍が期待される。
2. 生涯初期とジュニア時代
渡邉航貴は、家族の影響でバドミントンを始め、幼少期からその才能を育んできた。ジュニア時代には、国内外の大会で数々の実績を残し、その後のプロキャリアの基盤を築いた。
2.1. 幼少期と教育
渡邉は1999年1月29日に埼玉県越谷市で生まれた。4歳の頃に姉の影響を受けてバドミントンを始めた。幼稚園の頃からバドミントンに集中し、小学校時代には埼玉県の学校選手権で3年連続優勝を果たすなど、その才能を早期から開花させた。その後、埼玉栄中学校に進学し、バドミントン部で活動。中学卒業後は埼玉栄高校に進み、引き続きバドミントンに打ち込んだ。
2.2. ジュニア時代の経歴と主な成績
渡邉はジュニア選手として、数々の国際大会に出場し、優秀な成績を収めた。2015年には全日本ジュニアバドミントン選手権大会でシングルス優勝を達成している。
国際大会では、2015年と2016年のアジアジュニア選手権および世界ジュニア選手権に日本代表チームの一員として参加した。
3. プロフェッショナルキャリア
渡邉航貴のプロフェッショナルキャリアは、2017年のBIPROGY(旧日本ユニシス)入社を機に本格的に始まり、佐々木翔(2025年-)や坂井一将(2024年-)などの指導者のもと、国際大会での経験を積む中で着実に実力を向上させていった。彼は男子シングルスを専門とし、着実に世界ランキングを上げ、日本を代表する選手として認知されるようになった。
3.1. 2018年 - 2022年シーズン
2018年、渡邉はYonex / K&D Graphics Internationalトーナメントで初の国際タイトルを獲得し、プロとしての第一歩を踏み出した。同年のロシア・オープン(BWFワールドツアースーパー100)では準優勝を果たした。
2019年にはフランスで開催されたオルレアン・マスターズ(スーパー100)で優勝。また、国内の大阪インターナショナルチャレンジでも優勝し、国際大会での実績を積み重ねた。この期間に彼はアジア競技大会やアジアチーム選手権にも日本代表として参加し、2020年アジアチーム選手権(フィリピンマニラ開催)で男子団体銅メダルを獲得した。
3.2. 2023年シーズン
2023年は渡邉航貴にとって重要な転換点となった。彼はスイス・オープン(スーパー300)に出場し、準決勝でマレーシアの強豪リー・ジージャをストレートで破る快挙を成し遂げた。決勝では、世界ランキング1位のビクター・アクセルセンを破って勝ち上がってきた台湾の周天成と対戦。フルセットの激戦を制し、優勝を果たした。これは彼にとって初のBWFワールドツアータイトル獲得であり、世界トップ10の強敵2人を打ち破っての優勝は大きな注目を集めた。
同年11月の韓国マスターズ(スーパー300)では、準々決勝で林俊易、準決勝で王子維をそれぞれストレートで破り、決勝に進出した。決勝では桃田賢斗に敗れ準優勝となった。
12月に開催された全日本総合バドミントン選手権大会では、常山幹太などの国内強豪選手を破り決勝に進出したが、再び桃田賢斗に敗れ、自身初の日本一を逃した。試合後には悔しさから涙を見せ、その並々ならぬ勝利への意欲を示した。
3.3. 2024年シーズン
2024年シーズンも渡邉の活躍は続いた。7月のカナダ・オープン(スーパー500)では、準々決勝で世界ランキング6位の奈良岡功大を破るなど、強敵を次々と撃破し優勝を果たした。これは彼にとってワールドツアー上位大会での初のタイトルであり、長年の夢を叶える勝利となった。決勝では2022年大会の優勝者であるフランスのアレックス・ラニエを相手に激戦を繰り広げ、最終ゲームを21-6で圧倒して勝利を掴んだ。ラニエは第3ゲームで体力が尽きたことを認め、渡邉の勝利を決定づけた。
9月には中国オープンに出場し、1回戦で世界ランキング3位のリー・ジージャに21-15、21-2という圧倒的なスコアで勝利し、その実力を世界に示した。
10月のデンマーク・オープン(スーパー750)では決勝に進出するも、デンマークのアナス・アントンセンに敗れ準優勝となった。
そして2024年12月6日付の日本ランキングでは1位を達成し、名実ともに日本男子シングルスのトップ選手としての地位を確立した。また、彼は2024年のアジアチーム選手権(マレーシアセランゴール開催)でも男子団体銅メダルを獲得している。
4. 受賞と評価
渡邉航貴は、その実力と将来性に対してバドミントン界から公式な評価を受けている。
4.1. 受賞歴とノミネート
- BWFアワード**:2019年には世界バドミントン連盟(BWF)が主催するBWFアワードにおいて、「エディー・チョーン・最も有望な選手賞(Eddy Choong Most Promising Player of the Year)」にノミネートされた。
- アジア競技大会**:2022年に中国杭州で開催されたアジア競技大会バドミントン競技では、男子団体で銅メダルを獲得した。
5. トーナメント成績
渡邉航貴が主要なバドミントントーナメントで記録した公式な成績を以下に示す。
5.1. BWF世界ジュニア選手権
男子シングルス
年 | 開催地 | 対戦相手 | スコア | 結果 |
---|---|---|---|---|
2015 | ペルーリマ、ビデナ高性能センター | 盧敬堯中国語 (漢字) | 18-21, 12-21 | 銅メダル |
5.2. BWFワールドツアー
BWFワールドツアーは、世界バドミントン連盟(BWF)が公認するエリートバドミントントーナメントのシリーズである。2017年3月19日に発表され、2018年に施行された。BWFワールドツアーは、ワールドツアーファイナルズ、スーパー1000、スーパー750、スーパー500、スーパー300、BWFツアー・スーパー100のレベルに分かれている。渡邉はこれまでに3つのタイトルを獲得し、3度準優勝している。
男子シングルス
年 | トーナメント | レベル | 対戦相手 | スコア | 結果 |
---|---|---|---|---|---|
2018 | ロシア・オープン | スーパー100 | ソラフ・ベルマ | 21-18, 12-21, 17-21 | 準優勝 |
2019 | オルレアン・マスターズ | スーパー100 | トーマス・ルーセル | 18-21, 21-12, 21-19 | 優勝 |
2023 | スイス・オープン | スーパー300 | 周天成 | 22-20, 18-21, 21-12 | 優勝 |
2023 | 韓国マスターズ | スーパー300 | 桃田賢斗 | 16-21, 15-21 | 準優勝 |
2024 | カナダ・オープン | スーパー500 | アレックス・ラニエ | 20-22, 21-17, 21-6 | 優勝 |
2024 | デンマーク・オープン | スーパー750 | アナス・アントンセン | 15-21, 16-21 | 準優勝 |
5.3. BWFインターナショナルチャレンジ/シリーズ
渡邉はBWFインターナショナルチャレンジおよびシリーズトーナメントで2つのタイトルを獲得している。
男子シングルス
年 | トーナメント | 対戦相手 | スコア | 結果 |
---|---|---|---|---|
2018 | Yonex / K&D Graphics International | 奈良岡功大 | 21-14, 14-21, 21-15 | 優勝 |
2019 | 大阪インターナショナルチャレンジ | 大林拓真 | 19-21, 21-17, 21-7 | 優勝 |