1. 概要

ササラック・ハイプラコーン(ศศลักษณ์ ไหประโคนタイ語、愛称: พีピータイ語、1996年1月8日生まれ)は、タイ・ブリーラム県出身のプロサッカー選手である。主にサイドバックやウイングバック、ウイングとしてプレーし、現在はタイ・リーグ1のブリーラム・ユナイテッドFCに所属している。
バンコク・ユナイテッドFCでプロキャリアをスタートさせた後、2017年にブリーラム・ユナイテッドFCへ期限付き移籍し、その後完全移籍。ブリーラムでは、タイ・リーグ1で4回、タイFAカップで2回、タイ・リーグカップで2回、タイ・チャンピオンズカップで1回優勝するなど、数々のタイトル獲得に貢献し、チームの主力選手として活躍した。2021年にはKリーグ1の全北現代モータースへ期限付き移籍し、同リーグの優勝を経験。これはピヤポン・ピウオン以来35年ぶりにKリーグでプレーし、優勝を果たしたタイ人選手となった。
国際舞台では、タイ代表として活躍し、2017年の東南アジア競技大会ではU-23代表として金メダルを獲得、ドバイカップでも優勝を経験している。個人としても2022年のAFFチャンピオンシップでベストイレブンに選出されるなど、その実力は高く評価されている。
また、2023年には韓国のKリーグ1における蔚山現代の選手による人種差別事件に間接的に巻き込まれ、この問題は東南アジアのサッカーファンから大きな論争と批判を浴びた。
2. 個人情報
ササラック・ハイプラコーン(ศศลักษณ์ ไหประโคนタイ語)は、1996年1月8日にタイのブリーラム県で生まれた。愛称はพีピータイ語。身長は173 cmで、利き足は左足である。ポジションはディフェンダーのサイドバック、およびミッドフィルダーのウイングバックやウイングを務める。
Kリーグ1での登録名は「ササラック」(사살락韓国語)であった。
3. クラブキャリア
ササラック・ハイプラコーンは、プロサッカー選手として複数のクラブで活躍し、特にブリーラム・ユナイテッドFCでは多くのタイトルを獲得した。
3.1. バンコク・ユナイテッドFC
2014年、バンコク・ユナイテッドFCでプロデビューを果たした。デビューシーズンはリーグ戦1試合の途中出場に留まったが、2015年から2017年にかけて徐々に出場機会を増やし、将来を期待される若手選手として注目を集めた。2016年4月27日には、ホームで行われたBECテロ・サーサナ戦でプロ初ゴールを記録し、チームの3-0の勝利に貢献した。このゴールは、バンコク・ユナイテッドでの唯一の得点となった。
2017年3月には、チームメイトのジャキット・ワクピロムと共に日本のFC東京の練習に参加し、その才能を披露した。バンコク・ユナイテッドでの通算成績はリーグ戦13試合出場1得点であった。
3.2. ブリーラム・ユナイテッドFC
2017年5月5日、ササラックはブリーラム・ユナイテッドFCへ6ヶ月間の期限付き移籍で加入した。背番号は6番を与えられた。同年6月17日、ホームで行われたラーチャナーウィー戦で先発出場し、ブリーラムでのデビューを飾った。この試合はブリーラムが2-0で勝利した。彼はチームが2017シーズンのタイ・リーグで優勝する上で重要な役割を果たした。
2017年12月25日、ブリーラム・ユナイテッドはササラックをバンコク・ユナイテッドから完全移籍で獲得したことを発表した。
2018年2月18日、バンコク・グラス戦でリーグ戦初出場を果たし、70分にゴラコット・ウィリヤーウドムシリと交代でピッチに入った。同年6月13日に行われたトヨタリーグカップのランパーンFC戦で、ブリーラムでの初ゴールを記録し、チームの3-1の勝利に貢献してベスト16進出を決めた。6月30日には、トゥルー・バンコク・ユナイテッドとのリーグ戦でブリーラムでのリーグ初ゴールを挙げ、チームを2-1の勝利に導いた。9月29日のパタヤ・ユナイテッド戦ではリーグ2点目を記録し、チームは3-0で勝利。この試合後にはクラブの6度目のタイ・リーグ1優勝が祝われた。
2019年2月2日、タイ・チャンピオンズカップ決勝でシンハー・チェンライ・ユナイテッドと対戦し、ササラックは先発出場。ブリーラムは3-1で逆転勝利を収め、クラブ史上初のタイ・チャンピオンズカップタイトルを獲得した。同年5月1日、タイFAカップ64強のPTTラヨーン戦でゴールを決め、チームの3-1の勝利に貢献し、32強進出を果たした。5月26日には、SCGムアントン・ユナイテッド戦でリーグ戦初ゴールを挙げ、チームは1-0で勝利した。6月12日には、再びPTTラヨーン戦でリーグ2点目を記録し、チームは5-0で大勝。6月22日には、チェンマイFC戦でリーグ3点目を挙げ、チームは4-0で勝利した。
7月3日、トヨタリーグカップ16強のJLチェンマイ・ユナイテッド戦では、延長戦の終了間際に決勝ゴールを決め、チームを2-1の勝利に導き、8強進出を果たした。7月17日、タイFAカップ16強のラヨーンFC戦でゴールを決め、チームの5-0の勝利に貢献し、8強進出を果たした。8月7日のタイFAカップ準々決勝のトラートFC戦では、PK戦で失敗したが、チームは5-4で勝利し、準決勝に進出した。9月28日、トヨタリーグカップ決勝でPTプラチュワップと対戦し、120分を1-1で終え、PK戦にもつれ込んだ。ササラックは7人目のキッカーとして成功したが、最終的にブリーラムは7-8で敗れ、タイトル獲得を逃した。このシーズン、ササラックはリーグ戦全30試合に出場し3ゴールを挙げ、チームはリーグ2位でシーズンを終えた。
2019年12月27日、コーンケンFCとの親善試合でゴールを決め、チームの2-0の勝利に貢献した。2020年1月5日、ポリス・テロFCとの親善試合で、背番号を6番からティーラトン・ブンマタンが以前着用していた2番に変更した。2020-21シーズンにはリーグ戦26試合に出場し、チームはリーグ2位でフィニッシュした。
2022年1月13日、全北現代モータースからの復帰後、リヴォー・リーグカップ32強のラヨーンFC戦でゴールを決め、チームの2-0の勝利に貢献し、16強進出を果たした。
2022年11月2日、タイFAカップ64強のサムットプラーカーン・シティFC戦で、2022-23シーズンの初ゴールを記録し、チームの5-1の勝利に貢献した。
ブリーラム・ユナイテッドでは、タイ・リーグ1で2連覇(2017年、2018年)を達成し、2019年のタイ・チャンピオンズカップ優勝にも貢献するなど、ブリーラムの主力選手として定着した。2021年5月25日時点でのブリーラムでの記録は、リーグ戦106試合出場6ゴール16アシストであった。
3.3. 全北現代モータース (ローン移籍)
2021年5月下旬、ササラックはKリーグ1の強豪全北現代モータースへ6ヶ月間の期限付き移籍をすることが発表された。これにより、彼はピヤポン・ピウオン以来35年ぶりにKリーグでプレーするタイ人選手となり、2020年に新設されたASEAN登録枠が適用される選手としては安山グリナースFCのアスナウィ・マンクアラムに次いで2人目、Kリーグ1では初の選手となった。
全北現代では出場機会は限られたものの、2021年9月15日に行われたAFCチャンピオンズリーグ2021ラウンド16のBGパトゥム・ユナイテッド戦で初の先発出場を果たした。最終的に、彼は全北現代がKリーグ1で優勝する瞬間をチームと共に経験し、ピヤポン・ピウオンに次いで2人目のKリーグ優勝を経験したタイ人選手となった。2022年2月28日、期限付き移籍期間を終えブリーラム・ユナイテッドに復帰した。
4. 代表チームキャリア
ササラックは、タイのユース世代およびシニア代表チームで重要な役割を果たしてきた。
4.1. タイU-23代表
2017年、ササラックはタイU-23代表の一員としてUAEで開催されたドバイカップで優勝に貢献した。同年8月には、2017年の東南アジア競技大会のサッカー競技で、タイU-23代表が通算16回目、U-23代表としては7回目となる金メダルを獲得する上で、全6試合に出場し、チームの連覇に貢献した。
4.2. タイ代表
2018年6月2日、中国との国際親善試合でタイA代表デビューを果たした。この試合では81分にアディソン・プロムラクと交代で途中出場したが、チームは0-2で敗れた。同年には2018 AFFスズキカップのタイ代表メンバーに招集された。
2019年9月10日と10月15日には、2022 FIFAワールドカップ・アジア2次予選のインドネシア戦とアラブ首長国連邦戦にそれぞれ途中出場および先発出場し、チームの勝利に貢献した。2019年のAFCアジアカップ2019にもタイ代表として出場した。2021年6月3日のインドネシア戦では後半35分にエルネスト・プーミパーと交代で出場し、6月7日のアラブ首長国連邦との最終戦にも出場した。2024年のキングス・カップにも参加している。これまでにAマッチに23試合出場している。
5. 国際試合での得点
ササラック・ハイプラコーンのタイU-21およびU-23代表チームでの国際試合における得点記録は以下の通り。
6. 受賞歴
ササラック・ハイプラコーンは、クラブおよび代表チームで数々のタイトルを獲得し、個人としても栄誉を受けている。
6.1. クラブでの受賞歴
- ブリーラム・ユナイテッドFC
- タイ・リーグ1: 2017, 2018, 2021-22, 2022-23
- タイFAカップ: 2021-22, 2022-23
- タイ・リーグカップ: 2021-22, 2022-23
- タイ・チャンピオンズカップ: 2019
- 全北現代モータース
- Kリーグ1: 2021
6.2. 代表チームでの受賞歴
- タイ代表
- AFFチャンピオンシップ: 2022
- キングス・カップ: 2024
- タイU-23代表
- 東南アジア競技大会: 金メダル 2017
- ドバイカップ: 2017
6.3. 個人での受賞歴
- AFFチャンピオンシップ ベストイレブン: 2022
7. 人種差別事件
2023年6月12日、ササラック・ハイプラコーンは、Kリーグ1の蔚山現代の選手による人種差別的な発言の標的となった。この事件は、蔚山現代の選手であるパク・ヨンウ、イ・ギュソン、イ・ミョンジェが、ソーシャルメディア上で肌の色の濃いチームメイトのイ・ミョンジェを「ササラック」や「ASEANクォータ」と呼んだことが発端となった。この発言は、東南アジア地域のファンから大きな論争と批判を巻き起こした。
蔚山現代は、選手たちのInstagram上での人種差別的なコメントについて公式に謝罪し、クラブ内で同様の事態が再発しないよう約束した。クラブは、あらゆる形態の差別を排除するためのトレーニングを実施し、さらなる懲戒処分に向けて事件を徹底的に調査すると表明した。
2023年6月29日、Kリーグ規律委員会は、この事件に対し、当該選手に1試合の出場停止と1500.00 万 KRWの罰金を科すことを発表した。
8. キャリア統計
8.1. クラブ
クラブ | シーズン | リーグ | FAカップ | リーグカップ | アジア | その他 | 合計 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
レベル | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | ||
バンコク・ユナイテッドFC | 2014-2017 | タイ・リーグ1 | 13 | 1 | 13 | 1 | ||||||||
→ ブリーラム・ユナイテッドFC (loan) | 2017 | タイ・リーグ1 | 9 | 0 | 9 | 0 | ||||||||
ブリーラム・ユナイテッドFC | 2017-2019 | タイ・リーグ1 | 114 | 4 | 114 | 4 | ||||||||
2020-21 | タイ・リーグ1 | 26 | 0 | 5 | 0 | - | 2 | 0 | - | 33 | 0 | |||
2021-22 | タイ・リーグ1 | 15 | 0 | 4 | 0 | 5 | 1 | 1 | 0 | - | 25 | 1 | ||
2022-23 | タイ・リーグ1 | 19 | 0 | 3 | 1 | 4 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 27 | 1 | |
→ 全北現代モータース (loan) | 2021 | Kリーグ1 | 2 | 0 | 2 | 0 |
8.2. 代表チーム
代表チーム | 年 | 出場 | 得点 |
---|---|---|---|
タイU-21 | 2016 | 2 | 1 |
タイU-23 | 2017 | 12 | 1 |
タイ | 2018 | 3 | 0 |
2019 | 2 | 0 | |
2018- | 23 | 0 |