1. 概要

鄭恵林(チョン・ヘリム、정혜림チョン・ヘリム韓国語、1987年7月1日 - )は、韓国の陸上競技選手である。専門は100メートルハードル。その競技人生は2002年から始まり、約20年にわたり韓国陸上界の第一線で活躍し続けている。彼女は数々の国際大会で輝かしい成績を収め、特に2018年のアジア競技大会では金メダルを獲得し、その実力と献身を通じて韓国のハードル競技の発展と大衆化に大きく貢献した選手として高く評価されている。美しい容姿から「オルチャンハードラー」という愛称でも知られ、スポーツを通じて国民に夢と希望を与えた人物としても注目されている。
2. 生い立ちと教育
2.1. 出生と家族
鄭恵林は1987年7月1日、韓国の釜山広域市で生まれた。
2.2. 教育と学生時代
彼女は釜山広域市の釜山体育高等学校を卒業し、学生時代から陸上競技選手としての才能を育んだ。
3. 陸上競技経歴
鄭恵林は、2002年の選手生活開始以来、一貫して100mハードルを専門とし、数々の国内および国際大会で優れた成績を収めてきた。
3.1. 初期活動と成長
2002年に陸上競技選手としてのキャリアをスタートさせた鄭恵林は、若くしてその才能を開花させた。2005年には、第59回全国陸上競技選手権大会の韓国代表に選出され、同年開催された第59回大邱国際陸上競技大会でも国家代表として出場するなど、初期から重要な大会での経験を積んだ。この時期の活躍は、彼女が韓国のトップハードラーとして成長する基盤を築いた。
3.2. 主要大会と成績
鄭恵林は、オリンピック、アジア競技大会、アジア陸上競技選手権大会など、国内外の主要な大会に多数参加し、顕著な成績を残している。
特に、2011年の神戸で開催されたアジア陸上競技選手権大会女子100mハードルでは銀メダルを獲得し、国際舞台での存在感を高めた。その後、2017年のインド・ブバネーシュワルで開催された同大会では、13秒16の記録で金メダルに輝いた。
2018年にインドネシア・ジャカルタで開催されたアジア競技大会では、前日の予選を13秒17で全体1位通過し、国民の大きな期待を集めた。決勝では、13秒20の記録で圧巻の走りを見せ、金メダルを獲得した。この大会では自己最高記録の更新はならなかったものの、安定した記録で栄光を掴み、韓国陸上界に大きな功績をもたらした。
また、彼女の自己最高記録は、2016年に記録した100mハードル13秒04である。
以下に、鄭恵林の主な国際大会の成績を示す。
年 | 大会 | 開催地 | 順位 | 種目 | 記録 |
---|---|---|---|---|---|
2005 | アジア室内競技大会 | タイ・パッタヤー | 5位 | 60mハードル | 8.81 |
2006 | 世界ジュニア選手権 | 中国・北京 | 17位 (準決勝) | 100mハードル | 14.12 |
2009 | 東アジア競技大会 | 中国・香港 | 4位 | 100mハードル | 13.61 |
2010 | アジア競技大会 | 中国・広州 | 9位 (予選) | 100mハードル | 13.57 |
2011 | アジア陸上競技選手権大会 | 日本・神戸 | 2位 | 100mハードル | 13.11 |
世界陸上選手権 | 韓国・大邱 | 40位 (予選) | 100m | 11.87 | |
28位 (予選) | 100mハードル | 13.39 | |||
2012 | オリンピック | イギリス・ロンドン | 30位 (予選) | 100mハードル | 13.48 |
2013 | 東アジア競技大会 | 中国・天津 | 3位 | 100mハードル | 13.41 |
2014 | アジア競技大会 | 韓国・仁川 | 4位 | 100mハードル | 13.39 |
2015 | アジア陸上競技選手権大会 | 中国・武漢 | 6位 | 100mハードル | 13.54 |
2017 | アジア陸上競技選手権大会 | インド・ブバネーシュワル | 1位 | 100mハードル | 13.16 |
世界陸上選手権 | イギリス・ロンドン | 34位 (予選) | 100mハードル | 13.37 | |
2018 | アジア競技大会 | インドネシア・ジャカルタ | 1位 | 100mハードル | 13.20 |
11位 (予選) | 4 × 100mリレー | 46.04 | |||
2019 | アジア陸上競技選手権大会 | カタール・ドーハ | 7位 | 100mハードル | 13.50 |
3.3. 所属チームと専門種目
鄭恵林は現在、光州広域市庁陸上チームに所属している。彼女の専門種目は一貫して100メートルハードルである。
4. 私生活と世間のイメージ
4.1. 愛称とメディアの評価
鄭恵林は、その優れた競技成績だけでなく、魅力的な容姿でも広く知られている。彼女は「オルチャンハードラー」(얼짱 하들러オルチャン ハドゥルロ韓国語、「オルチャン」は「美形」を意味する)という愛称で呼ばれ、メディアや大衆から注目を集めてきた。この愛称は、彼女が競技場で見せる力強いパフォーマンスと、その端正なルックスのギャップから生まれたものであり、陸上競技ファンのみならず、一般大衆にも彼女の存在を広く知らしめるきっかけとなった。
5. 影響と評価
5.1. 韓国陸上界への貢献
鄭恵林は、約20年にわたる選手生活を通じて、韓国のハードル種目の発展と大衆化に多大な貢献を果たした。特に、彼女の国際大会でのメダル獲得は、韓国の陸上競技、とりわけハードル種目のレベル向上と、若い世代の選手へのインスピレーションに繋がった。長期間にわたり第一線で活躍し続けたその姿勢は、多くの人々に感動と勇気を与え、スポーツの持つ社会的な価値を体現していると評価されている。