1. 幼少期と背景
ジョン・バッジョは1991年12月19日にマダガスカルのアンタナナリボで生まれた。彼の父親が1990年代に活躍したイタリアの著名な元フォワード、ロベルト・バッジョの熱心なファンであったことから、「バッジョ」という名前が付けられた。
幼少期からサッカーへの強い情熱を抱いており、靴や専用のサッカーボールがなくても、ゴムボールや他の丸い物体を代用して友人たちと遊んでいたという。彼の才能は、マダガスカルのクラブである「アカデミー・ニー・アントシカ」のスカウトの目に留まり、プロサッカーのキャリアへと進むこととなった。
その後、ヨーロッパでの挑戦を試みたものの、そこでの激しい競争の中で思うような成功を収めることができなかった。そんな中、マダガスカルの先輩サッカー選手であるギー・ウーベールからの勧めもあり、タイへ渡ることを決意。タイでのキャリアも危うく途絶えそうになった時、スコータイFCの会長であるソムサック・テプスティンからの電話でトライアルの機会を得た。ラーチャブリー・ミットポンFCとの試合で残り7分で途中出場すると、すぐにゴールを決め、この活躍が決め手となりスコータイFCとの契約を勝ち取った。
2. クラブキャリア
ジョン・バッジョのクラブキャリアは、マダガスカルでの初期から始まり、レユニオン、スイスを経て、最終的にタイのクラブで大きな成功を収めた。
2.1. 初期のアフリカおよびヨーロッパでのキャリア
ジョン・バッジョは、2008年から2010年までマダガスカルのアカデミー・ニー・アントシカでキャリアをスタートさせた。2011年から2013年にはレユニオンのUSスタッド・タンポネーズでプレーし、117試合に出場して2得点を挙げている。
その後、彼はヨーロッパに活躍の場を求め、スイスへと渡った。2013年から2014年にはFCコンコルディア・バーゼルに所属し、8試合で3得点を記録した。2014年にはBSCオールド・ボーイズに移籍し、10試合に出場して6得点を挙げた。しかし、ヨーロッパでの激しい競争の中で目覚ましい成功を収めることはできず、新たな挑戦の場を模索することとなった。
2.2. スコータイFC
2015年、ジョン・バッジョはタイプレミアリーグのスコータイFCに入団した。彼はすぐにチームの中心選手となり、その卓越したプレースキルと影響力でチームを牽引。2015年から2021年までの期間、スコータイFCの「象徴的な選手」としての地位を確立した。この間に彼は151試合に出場し、48得点を記録した。彼の加入はチームに大きな変化をもたらし、クラブの歴史において重要な役割を果たした。
2.3. ポートFCおよびその後のキャリア
2020-21シーズンにスコータイFCがタイリーグ2への降格が決まった後、ジョン・バッジョは2021年5月18日にポートFCへ移籍した。しかし、ポートFCでは出場機会に恵まれず、2021年から2022年の期間で公式戦への出場はなかった。
その後、2022年にはフランス領レユニオンのJSサン=ピエロワでプレーし、20試合に出場して1得点を挙げた。そして2023年、再び古巣であるスコータイFCに復帰。復帰後は再び主力として活躍し、これまでに14試合で5得点を挙げている。
3. 代表チームキャリア
ジョン・バッジョはマダガスカル代表として国際舞台で活躍した。
3.1. 国際試合出場概要
ジョン・バッジョは2011年にマダガスカル代表として国際試合デビューを果たした。2011年から2015年までの期間に合計8試合に出場し、1得点を記録した。彼の代表での活動は、主にアフリカネイションズカップ予選などの主要な国際大会でのものだった。
3.2. 国際試合でのゴール
ジョン・バッジョがマダガスカル代表として記録した国際試合での唯一の得点は以下の通りである。
No. | 日付 | 会場 | 対戦相手 | スコア | 結果 | 大会 |
---|---|---|---|---|---|---|
1. | 2011年10月8日 | アディスアベバ・スタジアム(エチオピア アディスアベバ) | エチオピア | 2-2 | 2-4 | アフリカネイションズカップ2012予選 |
4. プレースタイルと特徴
ジョン・バッジョは主に攻撃的ミッドフィールダーとしてプレーし、時には右ウイングのフォワードとしても起用される。彼の身長は158 cmと小柄だが、その体格からは想像できないほどの高い技術と素早い動きが特徴である。特に、両足を巧みに使うことができるため、ピッチ上での対応能力が高く、相手ディフェンダーを翻弄するドリブルやパスでチャンスを作り出す。
彼のプレースタイルは、タイのメディアで「小さな唐辛子」と称されるほど、小柄ながらも試合に大きな影響を与える存在として知られている。ゴールを決める能力も高く、中盤からの飛び出しや正確なシュートで得点に貢献する。
5. タイトルと実績
ジョン・バッジョはクラブキャリアを通じて、いくつかの主要なタイトルと個人賞を獲得している。
5.1. クラブタイトル
- タイFAカップ: 2016 (スコータイFC)
5.2. 個人タイトル
- タイリーグ 月間最優秀選手賞: 2023年11月