1. Personal Information
朴 光龍は1992年9月27日に朝鮮民主主義人民共和国の平壌直轄市で生まれた。身長は188 cmで、ポジションは主にフォワードを務める。
2. Club Career
朴 光龍は北朝鮮でキャリアをスタートさせた後、スイスに渡り、FCバーゼルで欧州デビューを果たした。その後もスイスやオーストリアのクラブでプレーし、複数のタイトル獲得に貢献したが、国際的な制裁の影響でキャリアの転換を余儀なくされた。
2.1. Early Career and European Debut
朴 光龍は、北朝鮮の新義州にある機関車体育団でサッカーキャリアをスタートさせた後、月尾島体育団でも活動した。2011年にスイスのFCヴィル1900に移籍し、欧州の舞台に足を踏み入れた。しかし、当時のFCヴィルでは外国人選手枠が既に埋まっていたため、公式戦に出場することはなかった。
同年6月27日、スイスの強豪クラブであるFCバーゼルが朴と5年契約を結んだことを発表した。彼はトルステン・フィンク監督の下、2011-12シーズンからトップチームに加わった。FCバーゼルでの最初のテストマッチとなったドイツのミーシュバッハ地区選抜チームとの試合では、ハーフタイムからの途中出場ながら4得点を挙げた。FCバーゼルは2011年のウーレンカップでも優勝し、朴はウェストハム・ユナイテッドFC戦で先制点を決めるなど貢献した。
2011年7月16日、BSCヤングボーイズとのアウェイゲームで国内リーグデビューを果たした。同年9月14日には、UEFAチャンピオンズリーグに北朝鮮人選手として初めて出場し、92分に途中交代でピッチに立った。また、19歳の誕生日である9月27日には、オールド・トラッフォードで行われたマンチェスター・ユナイテッドFCとのUEFAチャンピオンズリーグの試合に81分から途中出場した。FCバーゼルでの初の公式戦での得点は、2011年9月17日のスイス・カップのアマチュアクラブFCエッシェンバッハ戦で記録され、この試合で2得点を挙げ、チームの4-0の勝利に貢献した。
2.2. FC Basel and Loan Stints
朴 光龍は2011-12シーズン終了時には、FCバーゼルでリーグ優勝とスイスカップのダブルを達成した。リーグでは20ポイント差をつけて優勝し、スイスカップ決勝ではFCルツェルンをPK戦の末に4-2で破った。
2012-13シーズンはトップチームでの出場機会が減少したが、U-21チームでは定期的にプレーし、シーズン前半で12試合に出場して6得点を挙げた。2013年1月11日、FCバーゼルは若手選手のレンタル移籍を発表し、朴はチャレンジリーグのACベッリンツォーナにレンタル移籍した。ベッリンツォーナでは17試合に出場し、7得点4アシストを記録した。
2013年6月20日、FCバーゼルは朴をリヒテンシュタインのクラブであるFCファドゥーツに再びレンタル移籍させることを発表した。しかし、ラウール・ボバディージャのFCアウクスブルクへの移籍とマルコ・シュトレラーの負傷により、FCバーゼルは朴をトップチームに呼び戻すことを決定した。その後、2014年1月からシーズン終了まで再びファドゥーツにレンタル移籍した。ファドゥーツでは18試合に出場し9得点を挙げ、チームは2013-14シーズンのチャレンジリーグで優勝し、スーパーリーグへの昇格を果たした。彼のレンタル契約は翌スーパーリーグシーズンも更新された。
2014年2月には、2013年の北朝鮮年間最優秀サッカー選手に選出された。2014-15シーズン終了後、FCバーゼルは朴との契約を更新しなかった。FCバーゼルでのトップチーム在籍中、朴は合計42試合に出場し10得点を挙げた。その内訳は、リーグ戦14試合、スイスカップ3試合、UEFA主催大会(UEFAチャンピオンズリーグとUEFAヨーロッパリーグ)4試合、親善試合21試合であった。リーグ戦で1得点、カップ戦で2得点、残りの7得点はテストマッチで記録された。
2.3. Later Club Career
2015年7月1日、朴はFCビール/ビエンヌにフリーエージェントとして加入した。しかし、2016年1月4日にビール/ビエンヌとの契約が解除され、同日FCローザンヌ・スポルトと契約した。ローザンヌでは2015-16シーズンにチャレンジリーグで優勝し、チームの1部リーグ昇格に貢献した。このシーズンには10得点を挙げ、FCアーラウのパトリック・ロッシーニと並び得点ランキングで共同5位に入った。2016-17シーズンもリーグ戦30試合を含む31試合に出場し4得点を記録した。ローザンヌでは公式戦合計40試合に出場し11得点4アシストを記録した。

2017年8月、朴はオーストリア・ブンデスリーガ1部のSKNザンクト・ペルテンに完全移籍し、2年契約を結んだ。2019年2月には契約延長が発表された。SKNザンクト・ペルテンでは2018-19シーズンまでに52試合に出場し10得点を記録し、チームのリーグチャンピオンシップラウンド進出に貢献した。しかし、欧州連合の対北朝鮮制裁の影響により、3年間の在籍を経てチームを離れることとなった。
3. National Team Career
朴 光龍は北朝鮮のユース代表からシニア代表まで幅広く活動し、主要な国際大会で活躍した。
3.1. Youth National Team
朴 光龍は北朝鮮U-23代表として、2010年アジア競技大会と2014年アジア競技大会に出場した。特に2014年大会では、1990年以来24年ぶりとなる北朝鮮のアジア競技大会での銀メダル獲得に貢献した。
3.2. Senior National Team
朴 光龍は2009年12月に行われたマリ代表戦で北朝鮮A代表に初招集された。
AFCチャレンジカップでは、2010年大会のグループリーグ第2戦キルギス代表戦で国際Aマッチ初得点を記録し、北朝鮮のAFCチャレンジカップ初優勝の礎を築いた。2年後の2012年大会のパレスチナ代表との準決勝では2得点を挙げ、2大会連続の優勝に大きく貢献した。この大会ではベスト11にも選出される栄誉に輝いた。
AFCアジアカップでは、AFCアジアカップ2015とAFCアジアカップ2019の本大会に出場した。2019年大会ではチーム唯一の得点を記録した。
FIFAワールドカップ予選では、2014 FIFAワールドカップ予選の日本代表との両試合に出場した。2018 FIFAワールドカップ予選ではウズベキスタン代表戦とバーレーン代表戦で得点を記録した。2019 AFCアジアカップ予選ではマレーシア代表戦で2得点、香港代表戦で1得点を挙げた。2022 FIFAワールドカップ予選では2019年11月19日のレバノン代表戦に出場し、FC東京所属のDFジョアン・オマリとも対戦した。
親善試合では、2016年10月6日のベトナム代表戦で2得点、同月10日のフィリピン代表戦で1得点を挙げた。2017年6月6日のカタール代表戦でも得点を記録した。
2017 EAFF E-1フットボールチャンピオンシップ予選では、2016年11月9日のグアム代表戦で得点を挙げた。
これまでのAマッチ通算成績は39試合出場14得点である。
4. Career Statistics
朴 光龍のクラブおよび代表チームでの包括的な統計データを以下に示す。
4.1. Club Statistics
クラブ | シーズン | リーグ | カップ | 大陸大会 | 合計 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ディビジョン | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | ||
バーゼル | 2011-12 | スイス・スーパーリーグ | 13 | 1 | 1 | 2 | 3 | 0 | 17 | 3 |
2012-13 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | ||
2013-14 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | ||
合計 | 14 | 1 | 1 | 2 | 4 | 0 | 19 | 3 | ||
ベッリンツォーナ (レンタル) | 2012-13 | スイス・チャレンジリーグ | 17 | 7 | 0 | 0 | - | 17 | 7 | |
ファドゥーツ (レンタル) | 2013-14 | スイス・チャレンジリーグ | 23 | 11 | 2 | 1 | 2 | 0 | 27 | 12 |
2014-15 | スイス・スーパーリーグ | 19 | 1 | 2 | 0 | 4 | 0 | 25 | 1 | |
合計 | 59 | 19 | 4 | 1 | 6 | 0 | 69 | 20 | ||
ビール/ビエンヌ | 2015-16 | スイス・チャレンジリーグ | 17 | 4 | 1 | 0 | - | 18 | 4 | |
ローザンヌ | 2015-16 | スイス・チャレンジリーグ | 9 | 6 | 0 | 0 | - | 9 | 6 | |
2016-17 | 30 | 4 | 1 | 1 | - | 31 | 4 | |||
合計 | 56 | 14 | 2 | 1 | - | 58 | 15 | |||
ザンクト・ペルテン | 2017-18 | オーストリア・ブンデスリーガ | 15 | 1 | 0 | 0 | - | 15 | 1 | |
2018-19 | 18 | 4 | 1 | 0 | - | 19 | 4 | |||
合計 | 33 | 5 | 1 | 0 | - | 34 | 5 | |||
キャリア合計 | 162 | 39 | 8 | 4 | 10 | 0 | 180 | 43 |
4.2. International Statistics
No. | 日付 | 会場 | 対戦相手 | スコア | 結果 | 大会 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2010年2月19日 | スガサダシュ・スタジアム, コロンボ, スリランカ | キルギス | 2-0 | 4-0 | 2010年AFCチャレンジカップ |
2 | 2012年3月16日 | ダサラス・ランガシャラ・スタジアム, カトマンズ, ネパール | パレスチナ | 1-0 | 2-0 | 2012年AFCチャレンジカップ |
3 | 2-0 | |||||
4 | 2015年6月16日 | 金日成競技場, 平壌直轄市, 北朝鮮 | ウズベキスタン | 1-0 | 4-2 | 2018 FIFAワールドカップ予選 |
5 | 2015年11月17日 | 金日成競技場, 平壌直轄市, 北朝鮮 | バーレーン | 1-0 | 2-0 | 2018 FIFAワールドカップ予選 |
6 | 2016年10月6日 | トンニャット・スタジアム, ホーチミン市, ベトナム | ベトナム | 1-0 | 2-5 | 親善試合 |
7 | 2-2 | |||||
8 | 2016年10月10日 | リサール・メモリアル・スタジアム, マニラ, フィリピン | フィリピン | 1-0 | 3-1 | 親善試合 |
9 | 2016年11月9日 | 旺角大球場, モンコック, 香港 | グアム | 2-0 | 2-0 | 2017 EAFF E-1フットボールチャンピオンシップ予選 |
10 | 2017年6月6日 | ジャシム・ビン・ハマド・スタジアム, ドーハ, カタール | カタール | 1-2 | 2-2 | 親善試合 |
11 | 2017年11月10日 | ニュー・アイモバイル・スタジアム, ブリーラム, タイ | マレーシア | 1-0 | 4-1 | 2019 AFCアジアカップ予選 |
12 | 2017年11月13日 | ニュー・アイモバイル・スタジアム, ブリーラム, タイ | マレーシア | 1-0 | 4-0 | 2019 AFCアジアカップ予選 |
13 | 2018年3月27日 | 金日成競技場, 平壌直轄市, 北朝鮮 | 香港 | 2-0 | 2-0 | 2019 AFCアジアカップ予選 |
14 | 2019年1月17日 | シャールジャ・スタジアム, シャールジャ, アラブ首長国連邦 | レバノン | 1-0 | 1-4 | 2019 AFCアジアカップ |
5. Honours
朴 光龍が選手キャリア中に獲得した主要なタイトルと個人受賞歴は以下の通りである。
5.1. Club Honours
- FCバーゼル
- スイス・スーパーリーグ:2011-12
- スイス・カップ:2011-12
- ウーレンカップ:2011
- FCファドゥーツ
- リヒテンシュタイン・カップ:2013-14
- スイス・チャレンジリーグ:2013-14
- FCローザンヌ・スポルト
- スイス・チャレンジリーグ:2015-16
5.2. National Team Honours
- 朝鮮民主主義人民共和国代表
- AFCチャレンジカップ:2010、2012
- アジア競技大会:銀メダル (2014)
5.3. Individual Awards
- AFCチャレンジカップ ベスト11:2012
- 北朝鮮年間最優秀サッカー選手:2013
6. Trivia and Background
朴 光龍はFCバーゼル在籍中の2011年から2013年まで、韓国代表のディフェンダーである朴主昊とチームメイトであった。
また、SKNザンクト・ペルテンを離れた理由については、欧州連合による対北朝鮮制裁の影響が指摘されている。これは、国際的な政治情勢が個人のキャリアに影響を及ぼす事例として特筆すべき点である。