1. 概要
福島史帆実(ふくしま しほみ、福島 史帆実ふくしま しほみ日本語、1995年6月19日生まれ)は、日本の元フェンシング選手である。専門種目はサーブル。福岡県宗像市出身。セプテーニ・ホールディングスに所属し、右利きであった。
福島は、幼少期の陸上競技選手としての経験を経て、県のタレント発掘事業をきっかけにフェンシングに転向した。高校時代にはインターハイで優勝し、大学では全日本フェンシング選手権大会個人戦を制するなど、早くからその才能を開花させた。国際舞台では、ユニバーシアードでの金メダル獲得を皮切りに、アジア競技大会やフェンシング世界選手権でもメダルを獲得。2020年東京オリンピックでは女子サーブル団体で5位入賞に貢献し、2024年パリオリンピックでは同種目で銅メダルを獲得した。彼女の選手キャリアは、日本フェンシング界における女子サーブルの発展に大きく貢献した。2024年11月15日に現役引退を発表した。
2. 幼少期と教育
福島史帆実選手は、日本の福岡県宗像市で生まれた。幼少期から学生時代にかけて、彼女はスポーツへの情熱を育み、それが後のフェンシング選手としてのキャリアの基礎となった。
2.1. 幼少期とフェンシングへの転向
福島は小学4年生の時に、県のタレント発掘事業に応募した経験を持つ。中学生までは陸上競技選手として活躍していたが、このタレント発掘事業における適性評価がきっかけとなり、福岡県立福岡魁誠高等学校に入学する際にフェンシングへの転向を決意した。高校3年生時には、全国高等学校総合体育大会フェンシング競技大会(インターハイ)の女子サーブル個人戦で優勝を果たし、その才能を全国に示した。
2.2. 高校・大学時代
高校卒業後、福島は法政大学法学部に進学した。大学在学中もフェンシング選手としての成長を続け、2016年には第69回全日本フェンシング選手権大会の女子サーブル個人戦で優勝し、日本一の座に輝いた。2017年には、台湾の台北市で開催された2017年夏季ユニバーシアードの女子サーブル個人戦でベスト16に進出。さらに、同大会の女子サーブル団体戦では優勝メンバーの一員として金メダルを獲得し、国際大会での成功を収めた。同年には、フェンシング世界選手権に出場し、個人戦で7位、団体戦で4位という好成績を残した。福島は2018年に法政大学を卒業した。
3. フェンシングキャリア
福島史帆実選手は、そのキャリアを通じて国内外の数々の大会で優れた成績を収め、日本の女子サーブル界を牽引する存在となった。
3.1. 国内での実績
福島は国内大会において、個人および団体で複数の優勝記録を保持している。
2016年には、全日本フェンシング選手権大会の女子サーブル個人戦で自身初となる優勝を飾った。
その後、2020年にも再び同大会の女子サーブル個人戦で優勝し、国内トップ選手としての地位を確固たるものにした。
3.2. 国際大会デビューと初期の成功
福島は学生時代から国際舞台での経験を積んだ。
香港で開催された2017年アジアフェンシング選手権大会では、女子サーブル団体で銅メダルを獲得した。
同年、台北市で行われた2017年夏季ユニバーシアードでは、女子サーブル団体戦で金メダルを獲得し、自身初の国際主要大会での優勝を経験した。
インドネシアのジャカルタで開催された2018年アジア競技大会では、女子サーブル団体で銅メダルを獲得した。
さらに、日本の千葉市で開催された2019年アジアフェンシング選手権大会では、女子サーブル個人で銅メダルを獲得し、同大会の女子サーブル団体でも銅メダルを手にした。
3.3. 主要国際大会
福島は、フェンシング世界選手権とオリンピックというフェンシング界の最高峰の舞台でも活躍を見せた。
3.3.1. 世界選手権とアジア競技大会
2017年フェンシング世界選手権では、個人戦で7位、団体戦で4位という成績を残した。
2022年にカイロで開催されたフェンシング世界選手権では、女子サーブル団体で銅メダルを獲得し、世界選手権初のメダルを手にした。個人サーブルでは2回戦で敗退し、20位であった。
2018年アジア競技大会では、女子サーブル団体で銅メダルを獲得。
中華人民共和国の杭州市で開催された2022年アジア競技大会では、女子サーブル団体で銀メダルを獲得した。
2022年アジアフェンシング選手権大会(大韓民国ソウル特別市)では、女子サーブル団体で銀メダルを獲得。
2024年アジアフェンシング選手権大会(クウェートシティ)では、女子サーブル団体で銅メダルを獲得した。
3.3.2. オリンピック
2020年東京オリンピックでは、女子サーブル団体戦のリザーブメンバーに選出された。本戦ではROC(ロシア選手団)との試合に出場し、日本の女子サーブル団体が5位に入賞する一員として貢献した。
パリオリンピックのフェンシング競技には、2024年5月19日に日本代表に選出されたことが発表された。
女子サーブル個人戦では、2回戦でウクライナのオリハ・ハルラン選手と対戦し、9対15で敗れた。
現地時間8月3日に開催された女子サーブル団体戦では、準決勝の第7試合でリザーブの尾崎世梨選手と交代しベンチ入りとなった。日本チームは3位決定戦でフランスに45対40で勝利し、福島はチームの一員として銅メダルを獲得した。

3.4. 引退
2024年11月15日、所属先のセプテーニ・ホールディングスが福島史帆実選手の現役引退を発表した。これにより、彼女の長きにわたるフェンシング選手としてのキャリアに幕が下ろされた。
4. 主な成績
福島史帆実選手が選手生活中に獲得した主なメダルと実績は以下の通りである。
大会 | 年 | 開催地 | 種目 | メダル |
---|---|---|---|---|
ユニバーシアード | 2017 | 台北市 | サーブル団体 | 金 |
アジア選手権 | 2017 | 香港 | サーブル団体 | 銅 |
アジア競技大会 | 2018 | ジャカルタ | サーブル団体 | 銅 |
アジア選手権 | 2019 | 千葉市 | サーブル個人 | 銅 |
アジア選手権 | 2019 | 千葉市 | サーブル団体 | 銅 |
世界選手権 | 2022 | カイロ | サーブル団体 | 銅 |
アジア選手権 | 2022 | ソウル特別市 | サーブル団体 | 銀 |
アジア競技大会 | 2022 | 杭州市 | サーブル団体 | 銀 |
アジア選手権 | 2024 | クウェートシティ | サーブル団体 | 銅 |
オリンピック | 2024 | パリ | サーブル団体 | 銅 |
5. 私生活と所属
福島史帆実選手はセプテーニ・ホールディングスに所属していた。利き手は右利きである。彼女の活動を通じて、フェンシングという競技への真摯な姿勢が常に評価されてきた。
6. 評価と影響
福島史帆実選手のキャリアは、日本のフェンシング界、特に女子サーブル競技の発展に多大な影響を与えた。彼女は、学生時代から国内外の主要大会で実績を重ね、日本の女子サーブルが世界レベルで通用することを証明した先駆者の一人である。特に、2024年パリオリンピックでの女子サーブル団体での銅メダル獲得は、日本フェンシング史上初の女子サーブル団体でのオリンピックメダルという快挙であり、その功績は計り知れない。
彼女の活躍は、後進のフェンシング選手たちに大きな目標と希望を与え、競技人口の増加や競技力向上への意識を高めるきっかけとなった。また、トップアスリートとしての献身的な姿勢や、逆境に立ち向かう精神力は、スポーツ界全体における模範として認識されている。福島史帆実選手は、その優れた成績と人間性によって、日本のスポーツ史に確かな足跡を残した。