1. 概要
鄭敬美(정경미チョン・ギョンミ韓国語、Jeong Gyeong-Miジョン・ギョンミ英語)は、韓国の全羅北道群山市出身の元柔道選手であり、現在は警察官として社会に貢献している。階級は78kg級。選手としては、オリンピックと世界柔道選手権大会で銅メダルを獲得したほか、アジア競技大会で2度の金メダルに輝くなど、数々の国際大会で優れた成績を収めた。引退後は、その鍛え抜かれた精神と身体能力を活かし、警察官として新たなキャリアを歩んでいる。本稿では、彼女の柔道選手としての輝かしい経歴と、その後の社会貢献の側面を詳述する。
2. 生涯と背景
鄭敬美は、柔道選手としてのキャリアを築き、社会人として新たな道を歩むまでの個人的な背景を持つ。
2.1. 出生と幼少期
鄭敬美は1985年7月26日に韓国の全羅北道群山市で生まれた。身長は169 cm。幼少期から柔道に親しみ、武装小学校、永仙中学校、全北人工知能高等学校で教育を受けた。これらの学校での経験が、後の柔道選手としての基礎を築くこととなった。
3. 柔道選手としての経歴
鄭敬美は、ジュニア時代から国際舞台で活躍し、シニアに上がってからも数々の主要大会でメダルを獲得した。
3.1. 初期キャリア
鄭敬美の柔道選手としてのキャリアは、ジュニア時代から国際大会での実績を積み重ねることで始まった。2002年の世界ジュニア柔道選手権大会では5位に入賞し、翌2003年のアジアジュニア柔道選手権大会では銅メダルを獲得した。2004年には韓国国際柔道大会で銅メダルを獲得。2005年にはアジア柔道選手権大会で銅メダル、環太平洋柔道選手権大会と韓国国際柔道大会で金メダル、福岡国際女子柔道選手権大会で銅メダルを獲得するなど、着実に実力をつけていった。
特に、2006年に水原市で開催された第18回世界学生柔道選手権大会では、自身初の国際大会での金メダルを獲得し、その後の活躍の足がかりを築いた。同年にはハンガリー国際柔道大会で銅メダル、東アジア柔道選手権大会で銀メダルも獲得している。
3.2. 主要大会成績
鄭敬美は、柔道選手として最も権威あるオリンピック、世界柔道選手権大会、アジア競技大会で特に優れた成績を収めた。
3.2.1. オリンピック
鄭敬美は、2008年の北京オリンピックと2012年のロンドンオリンピックに出場した。
2008年北京オリンピックでは、女子78kg級で銅メダルを獲得した。準決勝ではキューバのヤレニス・カスティージョに指導1で敗れたものの、3位決定戦ではブラジルのエディナンシ・シルバを上四方固で破り、銅メダルを手にした。
しかし、2012年ロンドンオリンピックでは、初戦で日本の緒方亜香里に指導2で敗れ、メダル獲得はならなかった。
3.2.2. 世界選手権大会
鄭敬美は、2007年世界柔道選手権大会に出場し、メダルを獲得した。
2007年リオデジャネイロ世界選手権では、女子78kg級で銅メダルを獲得した。準決勝でキューバのユリセル・ラボルデに指導1で敗れたが、3位決定戦では中国の楊秀麗を技ありで破り、銅メダルを獲得した。
3.2.3. アジア競技大会
鄭敬美は、アジア競技大会で2大会連続の金メダルを獲得する快挙を成し遂げた。
2010年広州アジア大会では、女子78kg級で金メダルを獲得した。
さらに、地元韓国の仁川で開催された2014年仁川アジア大会でも、決勝で北朝鮮の薛京を指導2で破り、女子78kg級で2連覇を達成した。
3.2.4. その他の国際大会
鄭敬美は、オリンピック、世界選手権、アジア競技大会以外にも、数多くの国際大会でメダルを獲得している。
- アジア柔道選手権大会:**
- 2008年済州島:銀メダル
- 2009年台北:金メダル
- 2011年アブダビ:銀メダル
- 2012年タシュケント:銅メダル
- 2013年バンコク:金メダル
- 柔道ワールドマスターズ:**
- 2010年水原市:銀メダル
- 2012年:5位
- 2013年チュメニ:銅メダル
- IJFグランドスラム:**
- 2008年東京(嘉納杯):銅メダル
- 2013年東京:銀メダル
- IJFグランプリ:**
- 2011年アブダビ:銅メダル
- 2013年リエカ:銀メダル
- 2013年済州島:金メダル
- 2011年青島:5位
- 柔道ワールドカップ:**
- 2009年ウランバートル:金メダル
- 2009年水原市:銀メダル
- 2010年タシュケント:金メダル
- 2010年水原市:金メダル
- 2011年ウランバートル:銅メダル
- 2011年タシュケント:銀メダル
- 2011年水原市:銅メダル
- 2012年ソフィア:金メダル
- 2012年ワルシャワ:銀メダル
- ユニバーシアード:**
- 2009年ベオグラード:銀メダル
- 2011年深圳:銅メダル
- その他:**
- 2008年韓国国際柔道大会:金メダル
- 2010年東アジア柔道選手権大会:銀メダル
- 2013年ヨーロッパオープン・オーバーヴァルト:金メダル
- 2014年オセアニアオープン・ウロンゴン:金メダル
4. 現役引退とその後
鄭敬美は、長年にわたる柔道選手としての輝かしいキャリアを終え、新たな道に進んだ。2015年6月には、武道特別採用枠で警察公務員採用試験に合格し、警察官としてのキャリアをスタートさせた。アスリートとして培った精神力と規律を活かし、現在は社会の安全に貢献している。
5. 評価と影響
鄭敬美は、その柔道選手としての業績と、その後の社会貢献を通じて、肯定的な評価を受けている。
5.1. 肯定的な評価
鄭敬美は、柔道選手としてオリンピックと世界柔道選手権大会で銅メダルを獲得し、アジア競技大会では2連覇を達成するなど、国際舞台で韓国柔道の存在感を示した。特に、2008年北京オリンピックでの銅メダル獲得は、韓国柔道界における重要な成果の一つとして高く評価されている。
現役引退後、警察官に転身したことは、彼女が単なるアスリートに留まらず、社会に貢献しようとする強い意志を持っていることを示している。スポーツを通じて培った忍耐力や責任感、そしてリーダーシップは、警察官としての職務においても大いに役立っており、社会の模範となる存在として肯定的に評価されている。
5.2. 批判と論争
この人物に関しては、特筆すべき批判や論争は見当たらない。