1. 生涯・アマチュア時代
鈴木大地は、プロ野球選手になるまでの幼少期から大学時代にかけて、野球に打ち込み、その才能を開花させていった。
1.1. プロ入り前
鈴木大地は1989年8月18日に静岡県駿東郡小山町で生まれた。小学校時代は地元の学童野球チーム「北郷ファイターズ」に所属し、野球を始めた。中学生になると静岡裾野シニアでプレーし、入団当初は外野手だったが、2年生から遊撃手に転向。この遊撃手としての経験が、その後の野球人生において重要な転機となる。当時のエースが神奈川県の桐蔭学園高等学校から練習参加を誘われていたことを知り、自身も練習参加を志願。その練習がきっかけで、同校への入学を許可された。
桐蔭学園高校では、1年生の夏の神奈川大会から早くもベンチ入りを果たし、その才能の片鱗を見せた。2年生の秋からは正遊撃手として定着したが、残念ながら在学中に春夏いずれの甲子園大会にも出場することはできなかった。高校の同級生には、後にHonda硬式野球部でプレーした篠塚宜政や、中日ドラゴンズに在籍した井領雅貴らがいる。
1.2. 大学時代
高校卒業後、鈴木は東洋大学経営学部経営学科へ進学し、東都大学野球の舞台でプレーすることになった。1年生の春からリーグ戦に出場し、その広い守備範囲と強肩が評価され、秋季リーグ戦からは三塁手としてレギュラーに定着した。

3年生の2010年春季リーグ戦からは、創部以来初めての3年生副主将に抜擢され、さらに4番打者も任されるなど、チームの主力として大きな期待を背負った。この春季リーグ戦では打率.340を記録し、その年の春と秋のリーグ戦で連続してベストナインに選出された。4年生時にはチームの主将を務めるとともに、再び遊撃手へと転向。遊撃手としても春秋連続でベストナインに選出されるなど、そのリーダーシップと高い守備能力を証明した。大学在学中には、リーグ優勝を5回、全国制覇を4回経験し、チームの黄金期を支えた。リーグ戦通算では、301打数85安打、打率.288、3本塁打、29打点を記録している。また、2011年度には日本学生野球協会から「大学の部」で表彰された。当時の同期生には、4年時に自身の下で副主将を務めた藤岡貴裕や、小田裕也がいた。
国際大会の経験も豊富で、3年生の春には広州アジア大会日本代表の1次候補に選ばれた。そして夏には第5回世界大学野球選手権大会の日本代表に選出され、背番号5を背負い、「1番(または3番)・三塁手」としてチームの銅メダル獲得に大きく貢献した。さらに4年生の7月にはアメリカで開催された第38回日米大学野球選手権大会にも日本代表の遊撃手や三塁手として出場するなど、国際舞台でも活躍を見せた。
2011年10月27日に行われたドラフト会議では、藤岡貴裕を1位指名した千葉ロッテマリーンズから3位指名を受け、契約金7000.00 万 JPY、年俸1300.00 万 JPY(金額は推定)という条件で、藤岡と共にロッテに入団。背番号は35に決まった。入団会見では、1年間一軍に帯同することを目標に掲げた。スカウトの山下徳人からは、2010年に退団した西岡剛に代わる正遊撃手候補として、「ポスト西岡」という高い評価を受けた。
2. プロ経歴
鈴木選手はプロ入り後、千葉ロッテマリーンズと東北楽天ゴールデンイーグルスの2球団で活躍し、そのキャリアを通じて主要な記録を打ち立て、チームの主力選手としての役割を全うした。
2.1. 千葉ロッテマリーンズ時代

2012年、鈴木は春季一軍キャンプのメンバーに抜擢されたが、キャンプ3日目にインフルエンザに感染し、最初のリタイア者となってしまう。これにより、一軍公式戦へのデビューは6月2日の対中日ドラゴンズ戦(QVCマリンフィールド)での代走起用まで持ち越された。6月11日の対読売ジャイアンツ戦(東京ドーム)では9回表に代打で出場し、一軍公式戦での初安打となる右翼フェンス直撃の二塁打を記録した。このシーズンは62試合に出場し、本塁打はなかったものの、打率.274を記録した。
2013年、4月18日の対北海道日本ハムファイターズ戦(札幌ドーム)と、19日・20日の対東北楽天ゴールデンイーグルス戦で、パシフィック・リーグ公式戦タイ記録となる3試合連続適時三塁打を記録した。この「3づくし」の記録を本拠地QVCマリンフィールドで達成したことを記念し、球場内の売店では「大地の恵み味噌ラーメン」や「大地カクテル」が期間限定で提供された。開幕当初は二塁手として26試合に無失策で出場し、4月25日の対埼玉西武ライオンズ戦(西武ドーム)以降はレギュラー遊撃手に定着。5月28日の対福岡ソフトバンクホークス戦では、プロ入り後初めて中継ぎ登板した藤岡貴裕を援護する勝ち越し適時三塁打を放ち、藤岡と共にチームの逆転勝利に貢献した。交流戦まで打率3割を維持する好調ぶりから、オールスターゲームにパ・リーグの監督推薦選手として初出場。7月20日の第2戦(神宮)では「9番・二塁手」として先発出場し、第1打席で小川泰弘から自身初のオールスター安打となる左中間二塁打を放った。8月22日の対西武戦(QVC)では、3回裏の打席で井口資仁に続いて大石達也から満塁本塁打を放ち、日本プロ野球公式戦史上5度目の1イニング2満塁本塁打を記録した。チームが3連敗で迎えた9月6日の同カードでは、当時の監督であった伊東勤の打開策により、プロ入り後初めて4番打者に起用された。このシーズンはチームで唯一の全144試合に出場し、チームタイ記録となるシーズン11三塁打を記録。さらに、規定守備試合数に達した遊撃手でリーグトップの守備率(.983)を記録したことから、パ・リーグの遊撃手部門で初めてベストナインに選出された。シーズン終了後には、西岡剛の退団以降空き番となっていた背番号7に変更。大学3年時から交際していた一般女性との結婚も発表した。
2014年、入団3年目にして監督の伊東からチームキャプテンに任命された。シーズン序盤は新外国人ルイス・クルーズが遊撃手として起用されたため、二塁手としての先発出場が増えた。打率はなかなか上がらなかったが、6月には球団記録タイとなる3試合連続猛打賞を記録し調子を上げた。監督推薦により2年連続でオールスターゲームにチームで唯一選出された。後半戦は遊撃手に固定され(クルーズは二塁手)、シーズン終盤には3番打者としても起用された。2年連続で全試合出場を達成し、打率.287と自己最高の成績を記録した。
2015年は、開幕から遊撃手として主に2番打者(55試合)、7番打者(61試合)で起用された。打率は.263と前年より落ち込んだものの、本塁打は6本と自身最高の成績を残した。
2016年は、開幕から打撃が好調で、8月9日の楽天戦までは打率3割を維持した。主に6番打者(71試合)、7番打者(53試合)として出場したが、ヤマイコ・ナバーロの打撃不振もあり、5番打者でも11試合に先発出場した。最終的には全試合で先発出場を果たし、打率.285の成績でシーズンを終えた。自身3回目のオールスターゲーム出場、遊撃手として自身2回目のベストナイン受賞を果たすなど、充実したシーズンとなった。しかし、この年にドラフト1位で入団した平沢大河の先発起用などのチーム事情から、三塁手として9試合、二塁手として2試合の先発出場もあった。12月27日には、2000.00 万 JPYアップの年俸1.00 億 JPYで契約更改し、大卒5年目での「1億円プレイヤー」となった。
2017年、春季キャンプイン前日の1月31日に、伊東監督から直接二塁手へのコンバートを通告された。シーズン中には一時4番打者を任されるなど、打線が低調なチームにあって主に打線の中軸を担った。「コンバートで守備の負担が減ることによって、打撃に良い影響を生み出す」という伊東監督の意図に沿う形で、一時は打率が3割台に到達。シーズン終盤に調子を落とし、通算打率は自己最低の.260に終わったが、プロ入り後初めて本塁打数を2桁に乗せた。同年の井口資仁の引退試合となった9月24日の対日本ハム戦では、延長12回一死二・三塁の打席で白村明弘からサヨナラ安打を放ち、井口の引退に花を添えた。また、リーグ最多の死球と自己最高のOPSも記録。守備面では、コンバート1年目ながら、パ・リーグの二塁手部門でゴールデングラブ賞を初めて受賞した。
2018年、前年に三塁手として台頭した中村奨吾とポジションを入れ替える形で、大学時代のメインポジションであった三塁手へ転向した。チームが前年にパ・リーグで6年ぶりの最下位に終わったことを受け、伊東監督に代わって一軍の監督へ就任した井口監督が内野陣の守備力向上を方針に掲げたことから、レギュラー級の内野手としては異例の2年連続コンバートとなった。しかし、公式戦では、主に二塁を守っていた前年から倍増の10失策を記録するなど、三塁の守備に苦戦した。三遊間を組んだ新人藤岡裕大と並んで全143試合に出場しながらも、終盤に三塁の守備要員と交代する試合が相次いだ。さらに、打率は.266と前年から若干向上したものの、本塁打は8本、打点は49にとどまった。この年はチームの方針でキャプテン制度が廃止されていたが、シーズン終了後には角中勝也から選手会長の座を引き継いだ。
2019年、井口監督は高卒2年目の安田尚憲を一軍公式戦の開幕から三塁手に抜擢することを計画していたため、オープン戦までは、安田や日本ハムから移籍したブランドン・レアードとの間でレギュラー三塁手の座を争った。結局、長打力に勝るレアードが開幕から三塁手として先発出場したため、自身は開幕一軍入りを果たしながら開幕戦への欠場を余儀なくされた。しかし、レギュラー一塁手の井上晴哉が打撃不振に陥ったため、開幕2カード目から一塁手として先発起用された。5月17日の対楽天戦(ZOZOマリンスタジアム)では、7回二死満塁の打席で約6年ぶりの満塁本塁打を放った。同月29日の対日本ハム戦(札幌ドーム)では、「2番・左翼手」としての先発出場で、「実戦では中学2年時(2003年)以来」という外野守備を経験した。その直後に開幕したセ・パ交流戦では、内外野の守備で複数のポジションをこなしながら全18試合に出場。NPB全12球団の選手で最も多い28安打、54塁打、交流戦の規定打席に到達した70選手の中で最も高い長打率.711、70選手中2位の打率.368を記録する活躍でパ・リーグの日本生命賞を受賞した。6月には、1日の対西武戦(ZOZOマリンスタジアム)で延長10回にサヨナラ安打、16日の対中日戦(ZOZOマリンスタジアム)でもサヨナラ安打を放ち、これが自身シーズン3度目のサヨナラ打となり、ロッテでは55年ぶり3人目の快挙であった。さらに、交流戦が開催された6月には、パ・リーグの打者部門で月間MVPを初めて受賞した。オールスターゲームにも、同リーグの監督推薦選手として、内野手登録で出場した。シーズン通算では、一軍公式戦140試合に出場。89試合で一塁、40試合で三塁、9試合で外野、9試合で二塁、4試合で遊撃の守備に就く一方で、リーグの最終規定打席に到達するとともに、リーグ8位の打率.288、15本塁打、68打点と奮闘した。
2019年のシーズン中に国内FA権の取得要件を満たしたことから、シーズン終了後に権利を行使することを宣言した。11月2日付で、NPBからフリーエージェント宣言選手として公示された。ロッテ球団ではFA権の行使を宣言した選手の残留を認めていたため、宣言当初はNPB他球団への移籍を想定していなかったが、実際には公示後に楽天と巨人から獲得のオファーを受けた。
2.2. 東北楽天ゴールデンイーグルス時代
2019年11月18日に、東北楽天ゴールデンイーグルスへの入団が発表され、同27日にNPBから正式に公示された。楽天との契約期間は4年間で、期間中の年俸総額は推定7.00 億 JPYと報じられた。背番号は、ロッテ時代と同じく7。鈴木の移籍に伴い、この年に背番号7で入団した辰己涼介は背番号を8に変更した。また、FA権の行使に関するNPBの規約により楽天球団からロッテ球団への補償義務が生じたため、楽天からの人的補償選手として右投手の小野郁がロッテへ移籍した。
2020年、開幕戦となった6月19日の対オリックス・バファローズ戦(京セラドーム大阪)では、1-1の同点で迎えた8回無死満塁の打席で神戸文也から移籍後初安打となる決勝2点適時打を放ち、同時にプロ通算1000安打を達成した。同月30日の古巣である対ロッテ戦(楽天生命パーク宮城)では、2回一死一・二塁の打席で中村稔弥から移籍後初本塁打となる3点本塁打を放った。8月には楽天の球団記録を更新する月間41安打を記録した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響でシーズンが短縮された中、チームで唯一全120試合に出場し、キャリアハイとなる打率.295を記録した。守備面では、三塁手として88試合に出場し、4失策でリーグトップの守備率.978を記録。三塁手のポジションとしては自身初のベストナインとゴールデングラブ賞に選出された。複数ポジションでのゴールデングラブ賞の受賞は、パ・リーグでは10人目の快挙であった。
2021年は、主に「2番・一塁手」として、チームで唯一全143試合に先発出場を果たした。シーズン後半では5番打者に座ることも増え、守備面では一塁手として試合数、刺殺数、補殺数いずれもリーグトップの数字を記録した。
2022年は、開幕から打撃の状態が上がらず、4月17日の対ソフトバンク戦(平和リース球場)では楽天移籍後初めてスタメンを外れた。最終的に規定打席に到達し、9月24日の対オリックス戦(楽天生命パーク宮城)では2回一死無走者の打席で山本由伸から安打を放ち、10年連続シーズン100安打を達成した。しかし、125試合出場、打率.257、5本塁打、35打点という成績に終わった。オフの12月1日の契約更改では、4年契約の最終年で現状維持の推定年俸2.00 億 JPYでサインした。
2023年は、楽天移籍後初めて開幕一軍入りを逃したが、4月14日に一軍に昇格し、以降はシーズン終了まで一軍に帯同した。9月5日には海外FA権を取得した。例年よりスタメンを外れる機会が増え、代打での起用が増加したが、代打成績では打率.343、1本塁打、5打点と好成績を残した。最終成績は101試合に出場、打率.244、5本塁打、27打点であった。オフの12月16日の契約更改では、6000.00 万 JPY減の推定年俸1.40 億 JPYの単年契約でサインした。
2024年は2年ぶりに開幕一軍入りを果たし、4月7日の対ソフトバンク戦(楽天モバイルパーク宮城)では澤柳亮太郎から楽天移籍後初となるサヨナラ打を放った。6月4日の阪神戦(甲子園)で、初回の第1打席に村上頌樹から史上137人目となる通算1500安打を記録した。6月16日、セ・パ交流戦最終戦の対広島戦(楽天モバイルパーク宮城)で、本塁打を放ち史上46人目の全球団本塁打を達成した。さらに、オリックス・バファローズの太田椋が怪我でオールスターゲーム出場を辞退したため、開催日の前日になり、補充選手として5年ぶりにオールスターゲーム出場が決まった。
3. 選手としての特徴
鈴木選手の選手としての特徴は、その打撃スタイル、走塁・守備能力、そしてその他特筆すべき行動や姿勢に見られる。
3.1. 打撃
鈴木選手の打撃の持ち味は、コンパクトなスイングによる確実な安打製造能力にある。ドラフト会議での指名前にスカウトから「将来はプロでも打率3割を記録できる」と高く評価されていた。失投を見逃さずに打ち返す選球眼の良さも特筆され、またバントも非常に巧みである。
打撃フォームについては、2018年の野球雑誌で柴原洋が解説したところによると、「軸足に体重を乗せた状態からのスタートで、一般的なスタンスを広げた状態から、軸足に引いてくる1つの動作を省いた鈴木選手なりの工夫」と、フォームの無駄を無くす努力が評価されている。一方で、「足を地面すれすれに下ろしてから素直に踏み出せば良いところ、踏み出していく過程で徐々に右腰が上がっていき、踏み出していく過程でピッチャーの二段モーションのように、再び右足が上がってしまう」という、そのフォームの悪癖も指摘されている。
バッターボックスではラインぎりぎりのベース寄りに立つため死球が非常に多く、2023年シーズン終了時点で歴代12位タイとなる通算122死球を記録している。
3.2. 走塁・守備
内野手としての鈴木は、守備範囲が特別広いわけではないが、堅実で安定したプレーが持ち味である。肩も特に強いわけではないが、一塁以外の内野で守備に就いた際には、一塁への送球がおおむね正確であると評価されている。
パ・リーグのベストナインに初めて選出された2013年には、遊撃手として失策数を9にとどめた。その一方で、守備範囲の広さが評価されるUZRは総じて低かった。400イニング以上出場した遊撃手を対象にデータスタジアムが算出したUZRでは、大引啓次に次ぐリーグワースト2位の-6.9を記録し、DELTA算出のUZRでは-11.9を記録している。以降のシーズンでも、UZRで同様の傾向を示すことが多い。
本来のポジションは遊撃手や三塁手であるが、複数のポジションをこなせるほど器用な選手であり、二塁手として全試合スタメンに起用された2017年にはゴールデングラブ賞も受賞している。中学生時代には、捕手や外野での守備も経験しており、2019年にはチーム事情に応じて、一塁手、指名打者、左翼手としてもスタメンに起用されている。鈴木自身も、現役時代にNPBの一軍公式戦で投手以外の全ポジションを守った木村拓也のようなユーティリティープレイヤーを目指していると語っている。
本人の申告によると、50m走は50 mを6秒2で走り、「足が遅い」と感じているという。
3.3. その他
鈴木は打席に入る際、審判に向けて上体を45度程度傾けて挨拶を行うルーティンを持っている。
ドラフト会議での指名後、東洋大学白山キャンパスのスカイホールで行われた記者会見では、「グラウンドで全力で走ること、そして大きな声を出して練習に臨むこと、この二つは誰にも負けません」とプロ入りへの抱負を語った。
4. 人物・エピソード
鈴木大地選手は、その名前の由来や幼少期のエピソード、チームメイトとの関係性、そして野球以外の活動を通して、その人柄がうかがえる。
4.1. 名前と幼少期
鈴木選手の愛称は「だいち」である。その「大地」という名前は、1988年ソウルオリンピックの100m背泳ぎで金メダルを獲得した同名の競泳選手、鈴木大地(競泳からの引退後にスポーツ庁初代長官へ就任)にあやかって付けられた。子供の頃は病院などで「スズキダイチ」さんと呼ばれることには恥ずかしさを感じたというが、今では他人から覚えられやすく良い名前をもらったと思っていると語っている。
静岡裾野シニア時代、遊撃手へのコンバート直後に出場した対外試合で、自身のエラーなどからチームが敗戦した経験がある。試合後、当時の指導者から投げ掛けられた「おまえは史上最低のショートだ」という言葉に、悔しくて泣いたことだけをロッテへの入団後も鮮明に覚えているという。
4.2. エピソード・関係性
ロッテに同期入団した藤岡貴裕、中後悠平、益田直也とは全員同い年で仲が良い。この中で一番のしっかり者が鈴木で、1年目のキャンプ中の宿舎では、朝の遅刻防止のため「一番早く部屋を出た人が他の3人部屋のチャイムを鳴らして起こす」という約束をしていたが、ほとんど押していたのは鈴木だったという。特に大学時代からの同期である藤岡については、のちに「エースの藤岡が活躍したことで東洋大が大きく注目され、自分もスカウトの目に留まった。藤岡がいなければ自分はプロとは縁がなかったはず」と感謝の念を語っている。
ロッテ時代の2014年シーズンから着用している背番号7は、2010年まで西岡剛が付けており、その後3年間空き番だったもの。2013年12月に参加した千葉県八千代市でのサイン会&トークショーイベントでは、1週間ほど前に出演した別のイベントでファンから「西岡より活躍しないと許さない」という檄を受けたことを明かし、その際に「背番号7の影響力の大きさを思い知った」と述懐していた。
東武百貨店船橋店で開催された選手考案メニューを提供する恒例イベント「2013 第9回 千葉ロッテマリーンズ期間限定メニュー『クレープ&ワッフル プロデュース選手権』」で、鈴木大地考案の「大地の具だくさんワッフル」が最多注文数を獲得し優勝した。2013年12月に同店屋上イベントスペースで行われたトークショーで表彰式が行われ、考案したワッフルそっくりのオブジェがついたトロフィーが贈られた。
4.3. メディア出演
野球以外のメディア出演としては、2018年8月1日に公開されたディズニーのアニメーション映画『インクレディブル・ファミリー』に声優として出演した経験がある。この作品には、鈴木の他に中田翔、柳田悠岐などパ・リーグの選手も声優として初挑戦していた。
4.4. 登場曲
ロッテ時代には、ホームゲームで打席に入る際の登場曲として、FUNKY MONKEY BABYSの『告白』を2012年から使用していた。2015年には、当時メンバーであったファンキー加藤との対面も果たしている。
5. 詳細情報
鈴木選手のキャリアにおける主要な統計データ、獲得した賞、および達成した記録を以下に示す。
5.1. 表彰・タイトル
- ベストナイン:3回
- 遊撃手部門:2013年、2016年
- 三塁手部門:2020年
※2013年は中田翔、浅村栄斗と共に平成生まれ初の受賞
- ゴールデングラブ賞:2回
- 二塁手部門:2017年
- 三塁手部門:2020年
- 月間MVP:1回(野手部門:2019年6月)
- スカパー! ドラマティック・サヨナラ賞年間大賞:1回(2019年)
- 月間サヨナラ賞:1回(2019年6月)
- セ・パ交流戦 日本生命賞:1回(2019年)
- オールスターゲーム敢闘選手賞:1回(2017年第2戦)
5.2. 記録
5.2.1. 初記録
- 初出場:2012年6月2日、対中日ドラゴンズ3回戦(QVCマリンフィールド)、8回裏にサブローの代走で出場
- 初打席:2012年6月8日、対東京ヤクルトスワローズ3回戦(明治神宮野球場)、9回表に正田樹から右飛
- 初安打:2012年6月11日、対読売ジャイアンツ4回戦(東京ドーム)、9回表に西村健太朗から右翼二塁打
- 初先発出場:2012年6月20日、対東京ヤクルトスワローズ4回戦(明治神宮野球場)、8番・二塁手で先発出場
- 初打点:2012年7月8日、対オリックス・バファローズ11回戦(QVCマリンフィールド)、5回裏に小松聖から二塁ゴロ野手選択の間に記録
- 初本塁打:2013年4月25日、対埼玉西武ライオンズ6回戦(西武ドーム)、7回表に岡本篤志から右越2ラン
- 初盗塁:2013年6月9日、対阪神タイガース4回戦(阪神甲子園球場)、6回表に二盗(投手:藤浪晋太郎、捕手:日高剛)
5.2.2. 節目の記録
- 1000試合出場:2019年7月15日、対埼玉西武ライオンズ15回戦(メットライフドーム)、2番・一塁手で先発出場 ※史上500人目
- 1000安打:2020年6月19日、対オリックス・バファローズ1回戦(京セラドーム大阪)、8回表に神戸文也から右前2点適時打 ※史上303人目
- 100死球:2022年5月14日、対埼玉西武ライオンズ7回戦(ベルーナドーム)、2回表に佐藤隼輔から ※史上23人目、通算100本塁打より先に達成するのは史上初
- 1500試合出場:2023年7月2日、対千葉ロッテマリーンズ10回戦(ZOZOマリンスタジアム)、7回裏から島内宏明に代わり一塁手で出場 ※史上204人目
- 1500安打:2024年6月4日、対阪神1回戦(甲子園)、1回表に村上頌樹から右前安打 ※史上137人目
5.2.3. その他の記録
- 3試合連続三塁打:2013年4月18日 - 20日 ※パ・リーグタイ記録
- 3試合連続適時三塁打:同上 ※2リーグ制後初
- シーズン11三塁打:2013年 ※ロッテ球団タイ記録
- オールスターゲーム出場:6回(2013年、2014年、2016年、2017年、2019年、2024年)
- 全球団から本塁打:2024年6月16日、対広島東洋カープ3回戦(楽天モバイルパーク宮城)、3回裏にアドゥワ誠から右越2ラン ※史上46人目
5.3. 背番号
- 35(2012年 - 2013年)
- 7(2014年 - )
5.4. 年度別打撃成績
年度 | 所属 | 試合 | 打席 | 打数 | 得点 | 安打 | 2塁打 | 3塁打 | 本塁打 | 塁打 | 打点 | 盗塁 | 盗塁刺 | 犠牲バント | 犠牲フライ | 四球 | 故意四球 | 死球 | 三振 | 併殺打 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2012 | ロッテ | 62 | 160 | 135 | 16 | 37 | 5 | 1 | 0 | 44 | 11 | 0 | 0 | 10 | 1 | 13 | 0 | 1 | 23 | 1 | .274 | .340 | .326 | .666 |
2013 | 144 | 551 | 481 | 54 | 127 | 20 | 11 | 5 | 184 | 50 | 2 | 4 | 14 | 6 | 38 | 2 | 12 | 66 | 8 | .264 | .330 | .383 | .712 | |
2014 | 144 | 610 | 533 | 60 | 153 | 29 | 7 | 3 | 205 | 43 | 7 | 1 | 22 | 4 | 45 | 0 | 6 | 57 | 1 | .287 | .347 | .385 | .732 | |
2015 | 142 | 564 | 487 | 60 | 128 | 24 | 4 | 6 | 178 | 50 | 1 | 5 | 24 | 3 | 47 | 1 | 3 | 58 | 10 | .263 | .330 | .366 | .695 | |
2016 | 143 | 583 | 501 | 62 | 143 | 30 | 2 | 6 | 195 | 61 | 3 | 1 | 16 | 7 | 50 | 2 | 9 | 56 | 9 | .285 | .356 | .389 | .745 | |
2017 | 143 | 588 | 508 | 56 | 132 | 27 | 5 | 11 | 202 | 52 | 6 | 5 | 3 | 4 | 55 | 1 | 18 | 85 | 7 | .260 | .350 | .398 | .748 | |
2018 | 143 | 558 | 477 | 44 | 127 | 27 | 6 | 8 | 190 | 49 | 8 | 4 | 14 | 6 | 44 | 2 | 17 | 55 | 11 | .266 | .346 | .398 | .744 | |
2019 | 140 | 614 | 527 | 76 | 152 | 34 | 4 | 15 | 239 | 68 | 3 | 1 | 13 | 2 | 56 | 0 | 16 | 75 | 11 | .288 | .373 | .454 | .826 | |
2020 | 楽天 | 120 | 546 | 478 | 71 | 141 | 27 | 1 | 4 | 182 | 55 | 1 | 3 | 12 | 3 | 46 | 0 | 7 | 58 | 18 | .295 | .363 | .381 | .744 |
2021 | 143 | 628 | 552 | 70 | 153 | 19 | 3 | 10 | 208 | 53 | 3 | 2 | 13 | 5 | 52 | 0 | 6 | 51 | 12 | .277 | .343 | .377 | .720 | |
2022 | 125 | 477 | 408 | 39 | 105 | 19 | 0 | 5 | 139 | 35 | 4 | 2 | 9 | 4 | 38 | 0 | 18 | 52 | 11 | .257 | .344 | .341 | .685 | |
2023 | 101 | 292 | 250 | 25 | 61 | 9 | 1 | 5 | 87 | 27 | 0 | 2 | 7 | 2 | 24 | 0 | 9 | 36 | 6 | .244 | .330 | .348 | .678 | |
2024 | 123 | 460 | 406 | 41 | 108 | 11 | 5 | 4 | 141 | 41 | 0 | 0 | 15 | 3 | 23 | 0 | 13 | 43 | 4 | .266 | .324 | .347 | .671 | |
通算:13年 | 1673 | 6631 | 5743 | 674 | 1567 | 281 | 50 | 82 | 2194 | 595 | 38 | 30 | 172 | 50 | 531 | 8 | 135 | 715 | 109 | .273 | .346 | .382 | .728 |
- 2024年度シーズン終了時
- 各年度の太字はリーグ最高
5.5. 年度別守備成績
5.5.1. 内野守備
年度 | 球団 | 一塁 | 二塁 | 三塁 | 遊撃 | ||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
試合 | 刺殺 | 補殺 | 失策 | 併殺 | 守備率 | 試合 | 刺殺 | 補殺 | 失策 | 併殺 | 守備率 | 試合 | 刺殺 | 補殺 | 失策 | 併殺 | 守備率 | 試合 | 刺殺 | 補殺 | 失策 | 併殺 | 守備率 | ||
2012 | ロッテ | - | 17 | 29 | 44 | 1 | 6 | .986 | 23 | 15 | 20 | 0 | 1 | 1.000 | 11 | 9 | 30 | 2 | 2 | .951 | |||||
2013 | - | 21 | 23 | 32 | 0 | 0 | 1.000 | 5 | 1 | 3 | 0 | 0 | 1.000 | 123 | 162 | 355 | 9 | 58 | .983 | ||||||
2014 | - | 51 | 97 | 127 | 1 | 24 | .996 | - | 107 | 175 | 301 | 7 | 59 | .986 | |||||||||||
2015 | - | - | - | 141 | 248 | 388 | 10 | 77 | .985 | ||||||||||||||||
2016 | - | 6 | 8 | 10 | 0 | 2 | 1.000 | 14 | 5 | 17 | 2 | 0 | .917 | 135 | 224 | 394 | 14 | 84 | .978 | ||||||
2017 | - | 143 | 332 | 429 | 5 | 89 | .993 | - | - | ||||||||||||||||
2018 | - | - | 138 | 107 | 209 | 10 | 23 | .969 | - | ||||||||||||||||
2019 | 89 | 614 | 44 | 1 | 50 | .998 | 9 | 15 | 17 | 0 | 2 | 1.000 | 40 | 20 | 43 | 1 | 3 | .984 | 4 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1.000 | |
2020 | 楽天 | 48 | 315 | 20 | 1 | 24 | .997 | - | 88 | 62 | 117 | 4 | 10 | .978 | - | ||||||||||
2021 | 125 | 939 | 88 | 8 | 70 | .992 | - | 26 | 19 | 30 | 0 | 1 | 1.000 | - | |||||||||||
2022 | 78 | 531 | 45 | 1 | 33 | .998 | - | 55 | 32 | 88 | 3 | 5 | .976 | - | |||||||||||
2023 | 74 | 511 | 29 | 3 | 41 | .994 | - | 14 | 1 | 7 | 1 | 0 | .889 | - | |||||||||||
2024 | 76 | 557 | 41 | 0 | 65 | 1.000 | - | 40 | 19 | 48 | 3 | 7 | .957 | - | |||||||||||
通算 | 490 | 3467 | 267 | 14 | 283 | .996 | 247 | 504 | 659 | 7 | 123 | .994 | 443 | 281 | 582 | 24 | 50 | .973 | 521 | 818 | 1469 | 42 | 280 | .982 |
5.5.2. 外野守備
年度 | 球団 | 外野 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
試合 | 刺殺 | 補殺 | 失策 | 併殺 | 守備率 | ||
2019 | ロッテ | 9 | 8 | 0 | 0 | 0 | 1.000 |
通算 | 9 | 8 | 0 | 0 | 0 | 1.000 |
- 2024年度シーズン終了時
- 各年度の太字はリーグ最高
- 太字年はゴールデングラブ賞受賞年