1. 個人生活
ギョルギ・グロゼルは、そのバレーボール一家のルーツと家族の絆に支えられながら成長した。
1.1. 幼少期と背景
グロゼルは1984年11月27日にハンガリーのブダペストで生まれた。彼のバレーボールの才能は、元バレーボール選手であり指導者でもあった父、ギョルギ・グロゼル・シニアから受け継がれたものであり、幼少期からバレーボールに親しむ環境で育った。
身長は2 m、体重は102 kgである。スパイク到達点は374 cm、ブロック到達点は345 cmを誇る。
1.2. 家族
グロゼルは、最初の妻ビオレッタとの間に2人の娘をもうけている。長女のレアナは2007年に、次女のローリーンは2010年に生まれている。家族は彼のキャリアにおいて重要な支えとなってきた。
2. 選手キャリア
ギョルギ・グロゼルは、20年以上にわたるプロバレーボール選手としてのキャリアの中で、複数の国のリーグで活躍し、その卓越したスキルとリーダーシップでチームに数多くの成功をもたらした。国際舞台においても、彼はドイツ代表の主要な柱として、チームを歴史的な高みへと導いた。
2.1. クラブキャリア
グロゼルのクラブキャリアは、ハンガリーで始まり、ドイツ、ポーランド、ロシア、韓国、中国、カタール、イタリア、そしてトルコへと続き、それぞれのリーグで輝かしい足跡を残してきた。
彼は2000年にDKSEドゥナウーイヴァーロシュでキャリアをスタートさせ、2001/02シーズンはKaposvári Röplabda SEでプレーした。2002/03シーズンにはドイツのメールサーSCに移籍し、6年間在籍した。この期間中、2004/05シーズンのブンデスリーガではベストスパイカー賞を受賞し、チームを3位に導くなど、早くからその才能を発揮した。
2008/09シーズンにはVfBフリードリヒスハーフェンへ移籍し、同年と続く2009/10シーズンのブンデスリーガで連続優勝を飾り、自身も2008/09シーズンには最優秀選手賞(MVP)に選ばれた。
2010/11シーズンからはポーランドのプラスリーガに舞台を移し、アセッコ・レソヴィアに加入。2011/12シーズンにはプラスリーガで優勝を果たし、自身もリーグMVPに選出されるなど、その存在感を示した。この時期にはCEVカップで準優勝も経験している。
2012/13シーズンからはロシアのスーパーリーグに参戦し、ベロゴリエ・ベルゴロドに3年間所属した。ここでは、国内のスーパーリーグでの優勝に加え、2013-14シーズンには欧州の最高峰であるCEVチャンピオンズリーグ、そして世界クラブ選手権でもタイトルを獲得し、クラブバレーボールにおける世界的な成功を収めた。
2015/16シーズンには韓国のVリーグの大田三星火災ブルーファングスでプレーし、チームを3位に導いた。このシーズンでは、ベストサーバー部門とベストスコアラー部門でそれぞれリーグ1位となる活躍を見せ、ベストオポジット賞を受賞した。
その後、2016/17シーズンは中国スーパーリーグの上海ゴールデンエイジに移籍し、リーグ優勝に大きく貢献。同年にはカタールのアル・アラビSCでもプレーし、カタールカップで優勝、アジアクラブ選手権でベストオポジット賞を獲得した。
2017/18シーズンには再びロシアのベロゴリエ・ベルゴロドでプレーし、2018/19シーズンからはゼニト・サンクトペテルブルクに2年間在籍。2019/20シーズンのロシアスーパーリーグではベストオポジット賞を受賞した。
2020/21シーズンはイタリアのセリエA1に所属するユー・エナジー・バレー・ピアチェンツァでプレーし、リーグ7位となった。2021/22シーズンにはヴェーロ・バレー・モンツァに移籍し、CEVカップで優勝、イタリアスーパーカップで準優勝を飾った。
そして2023/24シーズンからは、トルコリーグのアルカス・スポルに入団し、現在も活躍を続けている。
2.2. ドイツ代表キャリア
グロゼルは、元々ハンガリー代表として2003年から2006年までプレーしていたが、2007年にドイツ国籍を取得し、同年開催された欧州選手権でドイツ代表としてのデビューを果たした。
ドイツ代表ではすぐに中心選手となり、2009年には欧州リーグで金メダルを獲得する快挙に貢献した。2010年には世界選手権に出場し、ドイツ代表としての国際経験を積んだ。2011年には怪我のため代表チームに貢献できなかったものの、2012年には「ダイナミックで力強いヒッター」としてチームを牽引し、ロンドンオリンピック出場に導き、大会では5位という好成績を収めた。
2014年にはポーランドで開催された世界選手権に出場し、フランスを破り歴史的な銅メダルを獲得。この大会で彼はベストサーバー部門で1位となるなど、その攻撃力とサービスでチームの躍進に貢献した。このメダルは、ドイツバレーボール界にとって重要な節目となった。
2017年には欧州選手権で銀メダルを獲得し、自身もベストオポジット賞を受賞した。その後もドイツ代表の主力として活躍を続け、2021年の欧州選手権にも出場。そして2023年には再び代表チームに復帰し、パリ五輪予選では、ブラジルやイタリアといった強豪国を破る上で極めて重要な役割を果たし、ドイツ代表のパリ五輪出場権獲得に大きく貢献した。彼の長年にわたる貢献は、ドイツバレーボールの国際舞台における発展に不可欠なものとなっている。
3. 主要大会出場履歴
ギョルギ・グロゼルが国家代表チームの一員として参加した主要な国際大会は以下の通りである。
4. 受賞と栄誉
ギョルギ・グロゼルは、その卓越した才能と献身によって、クラブと国家代表の両方で数多くのタイトル、メダル、そして個人賞を獲得してきた。
4.1. クラブタイトル
- CEVチャンピオンズリーグ
- 金メダル: 2013-14(ベロゴリエ・ベルゴロド)
- FIVB世界クラブ選手権
- 金メダル: ブラジル 2014(ベロゴリエ・ベルゴロド)
- CEVカップ
- 銀メダル: 2011-12(アセッコ・レソヴィア)
- 金メダル: 2021-22(ヴェーロ・バレー・モンツァ)
- 国内リーグ
- ドイツ選手権: 優勝(2008-09、2009-10、VfBフリードリヒスハーフェン)
- ポーランド選手権: 優勝(2011-12、アセッコ・レソヴィア)
- ロシア選手権: 優勝(2012-13、ベロゴリエ・ベルゴロド)
- 中国選手権: 優勝(2016-17、上海ゴールデンエイジ)
- カタールカップ: 優勝(2016-17、アル・アラビSC)
4.2. ドイツ代表メダル
4.3. 個人タイトル
- 2005年: 2004/05 ブンデスリーガ ベストスパイカー賞
- 2008年: 欧州リーグ ベストスコアラー賞
- 2009年: 2008/09 ブンデスリーガ 最優秀選手賞(MVP)
- 2009年: 2008/09 ブンデスリーガ ベストスパイカー賞
- 2009年: 欧州リーグ ベストブロッカー賞
- 2010年: ドイツ年間最優秀バレーボール選手
- 2011年: ドイツ年間最優秀バレーボール選手
- 2012年: ドイツ年間最優秀バレーボール選手
- 2012年: 2011/12 ポーランドプラスリーガ 最優秀選手賞(MVP)
- 2012年: 2011/12 ポーランドプラスリーガ ベストスコアラー賞
- 2013年: ドイツ年間最優秀バレーボール選手
- 2014年: ドイツ年間最優秀バレーボール選手
- 2016年: 2015/16 韓国Vリーグ ベストオポジット賞
- 2016年: アジアクラブ選手権 ベストオポジット賞
- 2017年: アジアクラブ選手権 ベストオポジット賞
- 2017年: 欧州選手権 ベストオポジット賞
- 2020年: 2019/20 ロシアスーパーリーグ ベストオポジット賞
4.4. 記録と統計
ギョルギ・グロゼルは、その卓越した得点能力とサービススキルで、数々の印象的な個人記録と統計的な成果を達成してきた。
- 1試合39得点 - 2012年ロンドンオリンピックでの記録であり、同大会の単一試合における最高得点記録である。
- 韓国Vリーグ1試合15サービスエース - この記録は彼の優れたサービススキルを明確に示している。
- 2011-12 プラスリーガ ベストスコアラー(553ポイント)
- 2011-12 プラスリーガ ベストサーバー(69サービスエース)