1. 概要
金藤理絵は、日本の元競泳選手で、特に平泳ぎを専門としていた。1988年9月8日に広島県庄原市で生まれ、その競技人生を通じて数々の輝かしい業績を収めた。中でも、2016年リオデジャネイロオリンピックの女子200m平泳ぎにおいて金メダルを獲得し、この種目における日本勢として1992年バルセロナオリンピック以来24年ぶりとなる快挙を成し遂げたことは特筆される。国内大会では複数の日本記録を樹立し、ユニバーシアードやアジア競技大会、世界選手権といった主要な国際大会でもメダルを獲得している。2018年3月に現役を引退した後も、結婚や出産といった私生活の変化を経て、アミューズ所属のタレントとして活動するなど、多岐にわたる分野で活躍を続けている。
2. 生い立ちと教育
金藤理絵選手の幼少期から学生時代までの背景と学歴を説明する。
2.1. 出生と幼少期
金藤理絵は1988年9月8日に広島県庄原市山内町で生まれた。
2.2. 学歴
金藤は、庄原市立山内小学校、庄原市立庄原中学校、広島県立三次高等学校を卒業後、東海大学体育学部へ進学。体育学を専攻し、2013年には東海大学大学院体育学研究科修士課程を修了している。三次高校在学中には、インターハイで優勝するなど、早くからその才能が注目されていた。
3. 競泳選手としての経歴
金藤理絵選手の選手としての主な活動、業績、そして参加した重要な大会について詳細に記述する。
3.1. 初期経歴と国内大会での活躍
金藤は大学在学中の2008年4月20日に開催された日本選手権水泳競技大会女子200m平泳ぎで、大学の先輩である田村菜々香を抑えて2位に入賞し、派遣標準タイムを突破して北京オリンピック代表選手に選出された。
2009年4月16日の日本選手権水泳競技大会では、女子200m平泳ぎで日本記録を更新した。同年9月6日には日本学生選手権水泳競技大会において200m平泳ぎの日本新記録を樹立している。この日本学生選手権では、2分20秒72というアジア記録および日本記録を打ち立てた。
2010年日本選手権水泳競技大会では女子200m平泳ぎで2位、同年日本学生選手権水泳競技大会では同種目で1位となった。その後も国内大会で安定した成績を残し、2011年日本選手権水泳競技大会では2位、2012年日本選手権水泳競技大会では3位、2013年日本選手権水泳競技大会では1位、2014年日本選手権水泳競技大会では2位、2015年日本選手権水泳競技大会では2位の成績を収めた。2011年4月からはフットマーク株式会社の「Jaked Elite Team」所属選手として契約を結んだ。2016年日本選手権水泳競技大会では女子200m平泳ぎで再び1位となり、日本記録を更新した。
3.2. 国際大会での活躍
金藤は国内外の主要な大会で数々の実績を残している。
3.2.1. ユニバーシアード
金藤の最初の国際大会出場は、2007年夏季ユニバーシアード(タイ・バンコク)であった。この大会で女子200m平泳ぎにおいて韓国のJung Seul-ki鄭 瑟琪韓国語にわずか0.04秒差で敗れはしたものの、2分25秒63を記録して銀メダルを獲得した。この記録により、彼女は世界ランキングで12位に浮上した。
2009年夏季ユニバーシアード(セルビア・ベオグラード)では、女子200m平泳ぎで2分22秒32のアジア記録および日本記録を樹立し、金メダルを獲得した。これは日本選手権で樹立した自己記録(2分22秒33)をさらに0.01秒上回るものであった。
3.2.2. オリンピック
金藤は2度のオリンピックに出場している。
2008年北京オリンピックでは、女子200m平泳ぎに出場し、決勝で2分25秒14の記録で7位に入賞した。
そして2016年リオデジャネイロオリンピックでは、女子200m平泳ぎにおいて見事金メダルを獲得した。このメダルは、1992年バルセロナオリンピックの岩崎恭子以来、この種目では24年ぶりとなる日本勢の金メダルであった。金メダル獲得の翌日に行われた記者会見で、金藤は2020年東京オリンピックについて「競技者として携わることは考えられない気持ちです」と述べ、出場を目指さない意向を表明した。
3.2.3. 世界選手権
金藤は複数の世界水泳選手権に出場し、以下の成績を収めている。
- 2009年世界水泳選手権: 女子200m平泳ぎ 5位
- 2011年世界水泳選手権: 女子200m平泳ぎ 5位
- 2013年世界水泳選手権: 女子200m平泳ぎ 4位
- 2014年世界水泳選手権(短水路)(カタール・ドーハ): 女子200m平泳ぎ 銀メダル
- 2015年世界水泳選手権: 女子200m平泳ぎ 6位
3.2.4. パンパシフィック選手権
金藤はパンパシフィック水泳選手権にも出場し、以下の成績を収めている。
- 2010年パンパシフィック水泳選手権: 女子200m平泳ぎ 7位
- 2014年パンパシフィック水泳選手権(オーストラリア・ゴールドコースト): 女子200m平泳ぎ 銀メダル
3.2.5. アジア競技大会
金藤はアジア競技大会にも出場し、以下の成績を収めている。
- 2010年広州アジア競技大会(中国・広州): 女子200m平泳ぎ 4位。この大会では、中国の2選手と韓国のJeong Da-rae鄭 ダレ韓国語に次ぐ結果となった。
- 2014年仁川アジア競技大会(韓国・仁川): 女子200m平泳ぎ 2位(2分21秒92)。銀メダルを獲得した。
3.3. 自己ベスト記録
金藤理絵が樹立した自己ベスト記録は以下の通り。
泳法 | 距離 | 水路 | 記録 | 樹立日 | 大会名 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
平泳ぎ | 200 m | 長水路 | 2分19秒65 | 2016年4月9日 | 日本選手権水泳競技大会 | 日本記録 |
平泳ぎ | 200 m | 短水路 | 2分15秒76 | 2016年10月9日 | ワールドカップドーハ大会 | 日本記録 |
4. 現役引退
金藤理絵は2018年3月7日に現役引退を発表し、同年3月16日には岐阜県内で引退会見を行った。会見では、2017年に東海大学水泳部の先輩と結婚していたことも報告された。
5. 引退後の活動と私生活
金藤は現役引退後も多岐にわたる活動を行っている。
2014年からぎふ瑞穂スポーツガーデンに所属している。
2019年4月1日からは芸能事務所「アミューズ」に所属していることが明らかになった。同年10月には、水泳界への貢献として「金藤杯」を制定した。
また、2019年11月22日には長野県の病院で第1子となる女児を出産した。
6. 受賞歴と栄誉
金藤理絵は競泳選手としての輝かしい業績に加え、数々の賞や栄誉を受けている。
2016年8月27日にフランスのシャルトルで開催された短水路の競泳ワールドカップ第1戦女子200m平泳ぎで優勝を果たした。
同年10月15日には、地元である庄原市で祝賀パレードが開催され、庄原市民会館大ホールで金メダル報告会と庄原市民栄誉賞授与式が行われた。彼女は同賞を授与された史上7人目の人物となった。
同年10月26日には、短水路ワールドカップ兼日本選手権の女子200m平泳ぎで優勝した。
2016年11月には、紫綬褒章を受章した。
同年11月20日には、広島県から広島県民栄誉賞を受賞し、これは史上10人目の栄誉であった。
また、2016年には「Pacific Rim Swimmer of the Year」に選出された。
さらに、2016年にはファッション雑誌「VOGUE JAPAN」の「Women of the Year 2016」を受賞した。