1. 生涯と経歴
ガブリエラ・ドリオの陸上競技選手としての経歴は、その初期の才能の開花から始まり、複数のオリンピック出場を経て国際的な知名度を確立し、1980年代前半に金メダル獲得という全盛期を迎え、長年の国家代表としての活躍をもって引退に至った。
1.1. 初期生い立ちと陸上競技への入門
ガブリエラ・ドリオは1957年6月27日、イタリアのヴェネト州ヴェッジャーノで生まれた。幼少期に陸上競技を始め、その才能はすぐに開花した。
1.2. 国際大会デビューと初期のオリンピック参加
ドリオは1976年モントリオールオリンピックで初めてオリンピックに出場し、女子1500mで6位入賞を果たした。その後、1980年モスクワオリンピックにも出場し、女子800mで8位、女子1500mで4位という成績を収め、国際舞台での存在感を確立していった。
1.3. 全盛期とオリンピック金メダル
ドリオは1980年代前半に選手としての絶頂期を迎える。1982年にイタリアのミラノで開催されたヨーロッパ室内陸上競技選手権大会の1500mで金メダルを獲得。同年、ギリシャのアテネで開催されたヨーロッパ陸上競技選手権大会の1500mでは銅メダルに輝いた。
そして、1984年ロサンゼルスオリンピックの女子1500mで、ルーマニアのドイナ・メリンテ(銀メダル)とマリチカ・プイカ(銅メダル)という強豪選手を破り、見事金メダルを獲得した。この勝利は、彼女のキャリアにおける最大の功績であり、イタリア陸上競技界に大きな栄光をもたらした。
1.4. 国家代表経歴と引退
ガブリエラ・ドリオは、1973年から1991年までの長きにわたりイタリア陸上競技国家代表チームの一員として活躍し、国際競技大会に65回出場した。その多岐にわたる出場経験は、彼女がイタリア陸上競技界における重要な選手であったことを示している。1991年に国家代表としての活動を終え、競技生活から引退した。
2. 主要な成果
ドリオは、国際大会では複数のメダルを獲得し、特にオリンピック金メダルを含む重要な勝利を収めたほか、国内選手権大会においても圧倒的な強さを見せ、多数のタイトルを獲得した。
2.1. 国際大会での成果
ドリオが参加した主要な国際大会における成績を以下にまとめる。
年 | 大会名 | 開催地 | 種目 | 結果 | 記録 |
---|---|---|---|---|---|
1973 | ヨーロッパジュニア陸上競技選手権大会 | 800m | 8位 | ||
1974 | ヨーロッパ陸上競技選手権大会 | イタリア、ローマ | 1500m | 9位 | |
1975 | ヨーロッパジュニア陸上競技選手権大会 | 1500m | 3位 | ||
1976 | オリンピック | カナダ、モントリオール | 1500m | 6位 | |
1978 | ヨーロッパ陸上競技選手権大会 | チェコスロバキア、プラハ | 1500m | 6位 | |
1979 | 地中海競技大会 | ユーゴスラビア、スプリト | 800m | 1位 | |
1980 | オリンピック | ソビエト連邦、モスクワ | 800m | 8位 | |
1500m | 4位 | ||||
1981 | ユニバーシアード | ルーマニア、ブカレスト | 800m | 2位 | 1:58.99 |
ユニバーシアード | ルーマニア、ブカレスト | 1500m | 1位 | 4:05.35 | |
IAAFワールドカップ | イタリア、ローマ | 1500m | 1位 | 4:03.75 | |
1982 | ヨーロッパ室内陸上競技選手権大会 | イタリア、ミラノ | 1500m | 1位 | |
ヨーロッパ陸上競技選手権大会 | ギリシャ、アテネ | 1500m | 3位 | 3:59.02 | |
1983 | ヨーロッパ室内陸上競技選手権大会 | ハンガリー、ブダペスト | 1500m | 4位 | |
世界陸上競技選手権大会 | フィンランド、ヘルシンキ | 1500m | 7位 | ||
1984 | ヨーロッパ室内陸上競技選手権大会 | スウェーデン、イェーテボリ | 1500m | 8位 | |
オリンピック | アメリカ合衆国、ロサンゼルス | 800m | 4位 | ||
1500m | 1位 | 4:03.25 |
2.2. 国内選手権大会での成果
ガブリエラ・ドリオは、イタリア陸上競技選手権大会で個人タイトルを計23回獲得している。これは彼女の国内における圧倒的な強さを示している。
- 800m (7回): 1974年、1975年、1976年、1980年、1981年、1982年、1983年
- 1500m (10回): 1973年、1976年、1977年、1978年、1979年、1980年、1981年、1982年、1983年、1984年
- 室内800m (2回): 1978年、1979年
- 室内1500m (2回): 1981年、1983年
- クロスカントリー (2回): 1976年、1983年