1. 概要
マッティア・フルラーニ(Mattia Furlaniマッティア・フルラーニイタリア語、2005年2月7日生まれ)は、イタリアの走高跳および走幅跳を専門とする陸上競技選手である。彼は若くして国際舞台で頭角を現し、特に走幅跳において顕著な実績を上げている。2024年のパリオリンピックでは走幅跳で銅メダルを獲得し、イタリアのスポーツ界に新たな才能として名を刻んだ。また、U20世界記録保持者として、その将来性が高く評価されている。この記事では、フルラーニの生い立ちからこれまでの輝かしい競技経歴、そして主な成績と記録について詳述する。

2. 生い立ちと背景
マッティア・フルラーニは2005年2月7日にイタリアのラツィオ州にあるマリーノで生まれた。彼の家族は陸上競技に深く関わっており、その環境が彼自身の競技生活に大きな影響を与えている。
2.1. 家族構成
フルラーニの家族は陸上競技一家である。彼の父親であるマルチェッロ・フルラーニは元走高跳選手であり、自己最高記録は2.27 mである。マルチェッロは現在、マッティアのコーチも務めている。母親はセネガル系の血を引いている。また、彼の姉であるエリカ・フルラーニ(1996年生まれ)も走高跳選手として活躍しており、自己最高記録は1.94 mを記録している。このようなスポーツに恵まれた家庭環境の中で、フルラーニは幼少期から陸上競技に親しんできた。
3. 選手経歴
マッティア・フルラーニの陸上競技キャリアは、ジュニア時代から着実に実績を積み重ね、シニアレベルへと順調に移行していった。
3.1. ジュニア時代
フルラーニはジュニア時代からその才能を遺憾なく発揮した。2021年のヨーロッパU20陸上競技選手権大会では、走高跳で2.15 mを記録し、7位に入賞した。翌2022年には、エルサレムで開催されたヨーロッパU18陸上競技選手権大会において、走高跳で2.15 m、走幅跳で8.04 mを記録し、それぞれ金メダルを獲得した。走幅跳の8.04 mは、大会記録およびU18世界最高記録であった。同年、コロンビアのカリで開催された世界U20陸上競技選手権大会では、走高跳で2.05 mを記録して8位、走幅跳で7.76 mを記録して7位に入賞した。
2023年1月29日、当時17歳だったフルラーニは、スウェーデンのストックホルムで開催されたフォルクサムグランプリにおいて、走幅跳で7.99 mを跳び、2位に入ると同時にヨーロッパU20室内記録を樹立した。同年5月24日には、イタリア国内のサヴォーナでのミーティングで走幅跳で8.44 mという驚異的な記録を叩き出した。この記録は、風速が法定制限をわずかに上回る毎秒2.2 m/sであったため公認記録とはならなかったものの、U20アスリートとしては史上最長であり、全ての条件下でのU20世界最高記録となった。同年、再びエルサレムで開催されたヨーロッパU20陸上競技選手権大会では、走幅跳で8.23 mを跳び、大会記録を更新して金メダルを獲得した。
3.2. シニア時代
シニアレベルに移行してからも、フルラーニの活躍は続いた。2023年3月にはトルコのイスタンブールで開催されたヨーロッパ室内陸上競技選手権大会の走幅跳に出場したが、7.57 mで予選12位となり決勝進出はならなかった。同年、ハンガリーのブダペストで開催された世界陸上競技選手権大会では、走幅跳で7.85 mを記録し予選18位に終わった。
しかし、2024年に入ると再び調子を上げた。同年、イギリスのグラスゴーで開催された世界室内陸上競技選手権大会の走幅跳で8.22 mを記録し、銀メダルを獲得した。さらに、イタリアのローマで開催されたヨーロッパ陸上競技選手権大会では、自己最高記録となる8.38 mを跳び、銀メダルを獲得した。そして、同年開催された2024年パリオリンピックの走幅跳では、1回目の跳躍で8.34 mを記録し、見事銅メダルに輝いた。
フルラーニは2020年から2021年までアトレティカ・ストゥデンテスカ・リエティ・アンドレア・ミラディに所属し、2022年からはフィアンメ・オーロに所属している。
4. 主な成績と記録
マッティア・フルラーニは、その短いキャリアの中で数々の重要な成果と記録を達成している。
4.1. 自己最高記録
フルラーニがこれまでに達成した自己最高記録は以下の通りである。
- 走高跳:2.17 m(2021年、ブレシア)
- 走高跳(室内):2.13 m(2022年、アンコーナ)
- 走幅跳:8.38 m(2024年、ローマ)- 世界U20記録
- 走幅跳(室内):8.34 m(2024年、アンコーナ)- 室内世界U20記録
4.2. 国際大会での成績
フルラーニが主要な国際大会で獲得したメダルおよび順位は以下の通りである。
年 | 大会 | 開催地 | 順位 | 種目 | 記録 |
---|---|---|---|---|---|
2021 | ヨーロッパU20選手権 | タリン、エストニア | 7位 | 走高跳 | 2.15 m |
2022 | ヨーロッパU18選手権 | エルサレム、イスラエル | 1位 | 走高跳 | 2.15 m |
1位 | 走幅跳 | 8.04 m (大会記録、U18世界最高記録) | |||
世界U20選手権 | カリ、コロンビア | 8位 | 走高跳 | 2.05 m | |
7位 | 走幅跳 | 7.76 m | |||
2023 | ヨーロッパ室内選手権 | イスタンブール、トルコ | 12位(予選) | 走幅跳 | 7.57 m |
ヨーロッパU20選手権 | エルサレム、イスラエル | 1位 | 走幅跳 | 8.23 m (大会記録) | |
世界選手権 | ブダペスト、ハンガリー | 18位(予選) | 走幅跳 | 7.85 m | |
2024 | 世界室内選手権 | グラスゴー、イギリス | 2位 | 走幅跳 | 8.22 m |
ヨーロッパ選手権 | ローマ、イタリア | 2位 | 走幅跳 | 8.38 m (自己最高記録) | |
オリンピック | パリ、フランス | 3位 | 走幅跳 | 8.34 m |
4.3. 国内大会での成績
フルラーニはイタリア国内の大会でも活躍しており、シニアレベルで国内選手権のタイトルを獲得している。
- イタリア室内陸上競技選手権大会
- 走幅跳: 2024年