1. 来歴・人物
川中香緒里は、1991年に鳥取県で生まれ育ち、幼少期からスポーツに親しんだ。彼女の教育課程と初期のスポーツ活動は、後のアーチェリー選手としてのキャリアの基盤を築いた。
1.1. 出生と幼少期
川中香緒里は1991年8月3日、鳥取県東伯郡赤碕町(現在の琴浦町)に生まれた。
1.2. 学歴
彼女は琴浦町立以西小学校、琴浦町立赤碕中学校を卒業後、鳥取県立米子南高等学校に進学。その後、近畿大学経営学部を卒業した。
1.3. 初期のスポーツ活動
小学校ではバレーボール部に所属し、中学校ではソフトテニス部に所属していた。アーチェリーを始めるのは高校に進学してからである。
2. 選手経歴
川中香緒里は高校でアーチェリーに出会い、その才能を開花させた。ジュニアナショナルチームから日本代表へと着実にステップアップし、数々の国際大会で経験を積んだ。
2.1. アーチェリーへの入門と成長
鳥取県立米子南高等学校に進学後、アーチェリーを始めた。高校在学中の2009年にはジュニアナショナルメンバーに選出され、同年開催された国民体育大会の高校部団体で優勝を飾るなど、早くから頭角を現した。2010年に近畿大学に入学し、同年には初めて日本女子アーチェリーの成人ナショナルチームに選出された。
2.2. 日本代表としての経歴
2010年3月、タイのバンコクで開催されたアジアグランプリで日本代表として国際大会デビューを果たし、個人戦11位、団体戦7位の成績を収めた。同年9月には中華人民共和国の上海市で開催されたアーチェリーワールドカップに出場し、個人戦33位、団体戦6位となった。また、中華人民共和国の深圳市で開催された2010年世界学生アーチェリー選手権大会では個人戦ベスト16に入り、早川漣、足立奈穂とともに団体戦で銅メダルを獲得した。同年11月には広州市で開催された2010年アジア競技大会に参加し、団体戦で5位に入賞した。
2011年7月にはイタリアのトリノで開催された2011年世界アーチェリー選手権大会に出場し、個人戦57位、早川漣、早川浪とともに団体戦11位となった。同年8月には深圳市で開催された2011年夏季ユニバーシアードに参加し、団体戦4位、個人戦6位、混合団体5位の成績を収めた。同年9月、上海市でのワールドカップでは混合団体で準優勝を果たした。同年10月にはロンドンで開催されたプレオリンピック大会で団体3位となり、同月、イランのテヘランで開催されたアジアアーチェリー選手権大会では団体で金メダルを獲得した。
2012年2月にはバンコクでのアジアグランプリに出場。同年4月にはアメリカ合衆国のオグデンで開催されたワールドカップ兼ロンドンオリンピック日本最終選考会で2位となり、日本代表入りを決めた。同年6月のワールドカップオグデン大会兼ロンドンオリンピック最終予選では、個人決勝ラウンド3回戦で敗退したものの、団体で3位に入り、オリンピックの団体戦および個人戦の出場枠を獲得した。
3. 主要大会成績
川中香緒里は、数々の主要国際大会で顕著な成績を収め、特にオリンピックとアジア競技大会では日本アーチェリー界に歴史的なメダルをもたらした。

3.1. オリンピック
3.2. アジア競技大会
3.3. その他の国際大会
川中香緒里は、オリンピックやアジア競技大会以外にも、世界選手権やワールドカップなど数多くの国際大会で活躍し、着実に実績を積み上げてきた。
年 | 月 | 大会名 | 開催地 | 成績 |
---|---|---|---|---|
2007 | 10 | 鳥取県高校新人戦 | 個人・団体ダブル優勝 | |
2008 | 8 | 全国高校総体 | 埼玉県 | 団体5位 |
2009 | 3 | 全国高校選抜大会 | 静岡県 | 個人14位 |
2009 | 5 | 世界ユース選手権大会最終選考会 | 女子ジュニア優勝、ジュニアナショナルメンバー入り | |
2009 | 8 | 全国高校総体 | 滋賀県 | 団体優勝 |
2009 | 9 | 新潟国体 | 新潟県 | 少年少女団体4位、個人優勝 |
2009 | 11 | つま恋カップ | 静岡県 | 女子ジュニア優勝 |
2010 | 2 | アジアグランプリ | バンコク、タイ | 団体7位、個人11位、混合団体3位 |
2010 | 9 | ワールドカップ | 上海市、中華人民共和国 | 団体6位 |
2010 | 9 | 世界学生選手権 | 深圳市、中華人民共和国 | 団体3位、個人ベスト16 |
2010 | 11 | アジア競技大会 | 広州市、中華人民共和国 | 団体5位 |
2011 | 7 | 世界選手権 | トリノ、イタリア | ロンドン五輪団体枠獲得ならず |
2011 | 8 | ユニバーシアード | 深圳市 | 団体4位、個人6位、混合5位 |
2011 | 9 | ワールドカップ | 上海市 | 混合団体準優勝 |
2011 | 10 | プレオリンピック大会 | ロンドン、イギリス | 団体3位 |
2011 | 10 | アジア選手権 | テヘラン、イラン | 団体金メダル |
2012 | 2 | アジアグランプリ | バンコク | 出場 |
2012 | 4 | ワールドカップオグデン大会兼ロンドン五輪日本最終選考会 | オグデン、アメリカ合衆国 | 2位(日本代表入り) |
2012 | 6 | ワールドカップオグデン大会兼ロンドン五輪最終予選 | オグデン、アメリカ合衆国 | 個人決勝ラウンド3回戦敗退、団体3位(五輪出場枠獲得) |
2013 | アジアアーチェリー選手権大会 | 台北 | 団体銅メダル | |
2014 | 8 | アジアグランプリ台北大会 | 台北 | 団体戦・個人戦で優勝 |
2015 | 5 | ワールドカップ上海大会 | 上海市 | 混合で準優勝 |
2015 | 8 | 世界選手権 | コペンハーゲン、デンマーク | 団体4位、個人ベスト16 |
4. 所属と役割
川中香緒里は競技活動以外にも、企業への所属や日本選手団の旗手といった重要な役割を担ってきた。
4.1. 所属
2014年1月6日、三起商行が展開する子供服ブランド「ミキハウス」への入社を発表した。これは、かつてチームメイトであった蟹江美貴も所属していた企業である。
4.2. 日本選手団旗手としての役割
2014年9月に韓国の仁川で開催された2014年アジア競技大会の開会式では、日本選手団の旗手という大役を務めた。
5. 評価と影響
川中香緒里は、日本アーチェリー界において歴史的な功績を残し、その発展に多大な影響を与えた選手である。特に2012年ロンドンオリンピックでの女子団体銅メダルは、日本アーチェリー史上初のオリンピック団体メダルであり、この偉業は日本におけるアーチェリーの認知度向上と、次世代の選手たちへの大きな励みとなった。彼女の安定した国際大会での活躍、そしてアジア競技大会での旗手としての役割は、競技者としての実力だけでなく、日本スポーツ界におけるその存在感とリーダーシップを示している。川中香緒里の功績は、日本アーチェリーの歴史において高く評価され、今後の発展に繋がる重要な足跡として記憶されるだろう。