1. 経歴
エステバン・パレデスは、チリのサッカー界において長きにわたり活躍した選手である。彼のキャリアは故郷のクラブから始まり、国内外の複数クラブを渡り歩き、最終的にはチリのサッカー史に名を刻む得点記録を樹立した。
1.1. ユース・初期キャリア
パレデスは、地元クラブのサンティアゴ・モーニングのユース部門で育成され、2000年にトップチームでプロデビューを果たした。プロ入り後もサンティアゴ・モーニングに長く在籍し、通算171試合に出場し94得点を記録するなど、得点源として活躍した。この間、2002年にはプエルト・モントへ(18試合9得点)、2004年にはデポルテス・コンセプシオンへ(17試合7得点)、そして同じく2004年にはメキシコのパチューカのセカンドチームであるパチューカ・ジュニアーズへ(17試合5得点)、2007年にはコブレロアへと(29試合10得点)、複数のクラブへ期限付き移籍を経験した。
1.2. クラブキャリア
2009年、パレデスはチリの強豪クラブであるコロコロと3年契約を結んで移籍した。移籍初年度からチームの主力として活躍し、同年にはトルネオ・クラウスーラのタイトル獲得に貢献した。特にウニベルシダ・カトリカとの決勝戦では、相手ゴールキーパーのパウロ・ガルセスから2得点を挙げ、チームを優勝に導いた。コロコロでは通算101試合に出場し58得点を記録するなど、得点源としてだけでなく、チームリーダーとしても重要な役割を担い、数々のタイトル獲得に貢献した。
2012年にはメキシコのアトランテへ移籍し、30試合に出場して17得点を挙げた。2013年にはケレタロで19試合に出場し6得点を記録するなど、短期間ながらメキシコリーグでのプレーも経験した。メキシコ時代も得点能力を発揮し、2012アペルトゥーラではリーガMXの得点王(共同)に輝いた。
2014年にコロコロへ復帰し、再びチームの攻撃を牽引した。この2度目の在籍では165試合に出場し103得点を記録した。2021年にはコキンボ・ウニドにフリーで加入し、33試合に出場して7得点を挙げた。2022年5月には同クラブでのプレーを最後にプロサッカー選手としての引退を発表した。キャリア通算で367ゴールを記録していた。
1.3. 引退と復帰
2022年5月に現役引退を表明したパレデスだったが、2023年6月にはサン・アントニオ・ウニドと契約し、セグンダ・ディビシオン・プロフェシオナル・デ・チレで再び現役復帰を果たした。その後、2024年8月には自身がプロキャリアをスタートさせたサンティアゴ・モーニングに再加入したものの、同年シーズン終了後に最終的な現役引退を発表した。
2. 代表キャリア
エステバン・パレデスは、チリ国家代表チームの一員として、国際舞台で重要な役割を果たした。
2.1. 主要国際大会
パレデスはチリ国家代表チームの一員として、2度のFIFAワールドカップと1度のコパ・アメリカに出場した。
- 2010 FIFAワールドカップ
- コパ・アメリカ2011
- 2014 FIFAワールドカップ
2.2. 代表チーム得点記録
チリ代表での得点記録は以下の通り。
# | 開催日 | 開催地 | 対戦国 | スコア | 結果 | 試合概要 |
---|---|---|---|---|---|---|
1. | 2009年8月12日 | ブレンビー, デンマーク | デンマーク | 1-0 | 2-1 | 親善試合 |
2. | 2009年11月4日 | CAPスタジアム, タルカワノ, チリ | パラグアイ | 2-1 | 2-1 | 親善試合 |
3. | 2009年11月19日 | ポト・ドゥブニョム・スタジアム, ジリナ, スロバキア | スロバキア | 2-1 | 2-1 | 親善試合 |
4. | 2010年1月20日 | フランシスコ・サンチェス・ルモロソ・スタジアム, コキンボ, チリ | パナマ | 1-0 | 2-1 | 親善試合 |
5. | 2-0 | |||||
6. | 2010年5月30日 | ネルソン・オヤルソン・スタジアム, チヤン, チリ | 北アイルランド | 1-0 | 1-0 | 親善試合 |
7. | 2011年1月23日 | ホームデポ・センター, ロサンゼルス, アメリカ合衆国 | アメリカ合衆国 | 1-0 | 1-1 | 親善試合 |
8. | 2011年7月4日 | ビセンテナリオ・スタジアム, サンフアン, アルゼンチン | メキシコ | 1-1 | 2-1 | コパ・アメリカ2011 |
9. | 2012年3月21日 | カルロス・ディットボーン・スタジアム, アリカ, チリ | ペルー | 1-0 | 3-1 | 親善試合 |
10. | 2013年3月26日 | エスタディオ・ナシオナル, サンティアゴ, チリ | ウルグアイ | 1-0 | 2-0 | 2014 FIFAワールドカップ予選 |
11. | 2017年3月29日 | モヌメンタル・ダビド・アレジャノ・スタジアム, サンティアゴ, チリ | ベネズエラ | 2-0 | 3-1 | 2018 FIFAワールドカップ予選 |
12. | 3-0 |
3. 現役引退後
現役引退後も、パレデスはサッカー界との関わりを保ち、多様な活動を展開している。
3.1. 運営・指導者としての役割
2024年2月、パレデスは選手としてキャリアを始めたサンティアゴ・モーニングのスポーツマネージャーに就任した。また、2024年12月にはチリの国立サッカー・スポーツ・体育活動研究所(Instituto Nacional del Fútbol, Deporte y Actividad Físicaスペイン語)を卒業し、サッカー監督としての資格を取得した。
3.2. その他の活動
2022年8月には、チリのスポーツ専門チャンネルTNTスポーツ・チリで、シェフのトマス・オリベラと共に料理とトーク番組「サボール・ア・ゴル」の共同司会者としてテレビデビューを果たした。また、彼はスポーツベッティングアプリ「Juega en Linea」の広報大使も務めている。
4. 私生活
エステバン・パレデスには息子がおり、息子のエステバン・パレデス・ラストラもまたサッカー選手としての道を歩んでいる。彼は父親がコロコロを退団した後、デポルティーボ・パレスティーノのユースチームに所属していた。パレデス自身の愛称はチリ語で「百獣の王」を意味する「ヌクド・パニエリ」である。
5. 栄誉
エステバン・パレデスの輝かしいキャリアは、数多くのクラブタイトルと個人タイトルによって彩られている。
5.1. クラブタイトル
- プエルト・モント
- プリメーラB: 2002
- パチューカ・ジュニアーズ
- トルネオ・デ・アセンソ: 2004
- サンティアゴ・モーニング
- プリメーラB・デ・チレ: 2005
- CSDコロコロ|コロコロ
- プリメーラ・ディビシオン: 2009クラウスーラ, 2014クラウスーラ, 2015アペルトゥーラ, 2017トランシシオン
- コパ・チレ: 2016, 2019
- スーペルコパ・デ・チレ: 2017, 2018
- コキンボ・ウニド
- プリメーラB・デ・チレ: 2021
5.2. 個人タイトル
- プリメーラB・デ・チレ得点王: 2005
- プリメーラ・ディビシオン得点王 (5): 2009アペルトゥーラ, 2011クラウスーラ, 2014クラウスーラ, 2014アペルトゥーラ, 2015クラウスーラ
- エル・グラフィコ・プリメーラ・ディビシオン年間ベストイレブン (4): 2009, 2011, 2014, 2015
- ANFPゴールデンボール年間ベストイレブン (3): 2011, 2014, 2015
- ANFPゴールデンボール・ゴールデンブーツ: 2011
- リーガMX得点王 (共同): 2012アペルトゥーラ
- エル・グラフィコ・ゴールデンブーツ: 2014
- ANFPゴールデンボール年間最優秀選手: 2015
- コパ・チレ得点王 (2): 2015, 2016
- エル・グラフィコ・ベストコパ・チレ選手: 2016
- ビセンテナリオ・メダル: 2010
