1. 個人背景

1.1. 出生および初期情報
クリスティン・ストルメル・スタイラは1981年4月30日にノルウェーのヌールラン県モー・イ・ラーナで生まれた。国籍はノルウェーである。
彼女の身長は169 cmで、IL Forsøkというクラブに所属していた。
2015年7月25日にはカナダのスキー選手デヴォン・カーショーと結婚した。
2. 選手経歴
クリスティン・ストルメル・スタイラは2002年から2015年まで、長きにわたりクロスカントリースキーのトップ選手として活躍した。
2.1. デビューと初期キャリア
スタイラは2002年にホルメンコーレンスキー大会のFISクロスカントリースキー・ワールドカップでデビューしたが、スプリントでは予選敗退、30kmでは46位に終わった。
2003年ノルディックスキー世界選手権ではパシュートで28位、30kmで25位という成績だった。
2005年1月22日、イタリアのプラジェラートで行われたパシュートでワールドカップ初優勝を果たした。同年開催された2005年ノルディックスキー世界選手権では、10kmで9位、パシュートで銅メダルを獲得し、さらにリレーでは金メダルを獲得する活躍を見せた。
2.2. オリンピック
スタイラは3度の冬季オリンピックに出場し、金メダル1個と銅メダル1個を含む2個のメダルを獲得した。
彼女は特に2006年トリノオリンピックで、10km、15kmパシュート、30kmの3つの個人種目で4位入賞という結果に終わり、リレーでも5位とメダルには届かなかった。
2010年バンクーバーオリンピックでは10kmで8位、15kmパシュートではユスティナ・コヴァルチクに0.1秒差で敗れ、またしても4位となり、4度目のオリンピックでの4位入賞を記録した。しかし、4x5kmリレーではヴィベケ・スコフテルート、テレーセ・ヨーハウグ、マリット・ビョルゲンとともにノルウェーチームとして金メダルを獲得し、オリンピックチャンピオンとなった。
2014年ソチオリンピックでは15kmスキーアスロンで22位に終わったが、最後の種目である30kmフリースタイルで個人としては唯一となるオリンピックの銅メダルを獲得した。
年 | 年齢 | 10km個人 | 15kmスキーアスロン | 30kmマススタート | スプリント | 4×5kmリレー | チームスプリント |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2006年トリノオリンピック | 24 | 4 | 4 | 4 | - | 5 | - |
2010年バンクーバーオリンピック | 28 | 8 | 4 | 8 | - | 金 | - |
2014年ソチオリンピック | 32 | - | 22 | 銅 | - | - | - |
2.3. 世界選手権大会
スタイラはノルディックスキー世界選手権で金メダル3個、銀メダル2個、銅メダル3個の計8個のメダルを獲得した。
年 | 年齢 | 10km | 15km | パシュート | 30km | スプリント | 4×5kmリレー | チームスプリント |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2003年ノルディックスキー世界選手権 | 21 | - | - | 28 | 25 | - | - | - |
2005年ノルディックスキー世界選手権 | 23 | 9 | - | 銅 | - | - | 金 | - |
2007年ノルディックスキー世界選手権札幌大会 | 25 | 4 | - | 銅 | 銀 | - | 銅 | - |
2009年ノルディックスキー世界選手権 | 27 | 6 | - | 銀 | 5 | - | 4 | - |
2011年ノルディックスキー世界選手権 | 29 | 10 | - | 9 | 5 | - | 金 | - |
2013年ノルディックスキー世界選手権 | 31 | 9 | - | 4 | 9 | - | 金 | - |
2.4. ワールドカップ経歴
スタイラはFISクロスカントリースキー・ワールドカップにおいて、個人戦で6勝、団体戦で13勝を記録し、常にトップレベルで活躍した。
2.4.1. シーズン別順位
ワールドカップの総合順位では、2009-2010シーズンと2012-2013シーズンに自己最高の6位を記録している。ディスタンス種目では2008-2009シーズンに4位と好成績を残した。
シーズン | 年齢 | 種目別順位 | スキーツアー順位 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
総合 | ディスタンス | スプリント | ノルディックオープニング | ツール・ド・スキー | ワールドカップファイナル | ||
2002 | 20 | 分類外 | - | - | - | - | - |
2003 | 21 | 42 | - | 分類外 | - | - | - |
2004 | 22 | 27 | 20 | - | - | - | - |
2005 | 23 | 12 | 9 | - | - | - | - |
2006 | 24 | 22 | 12 | - | - | - | - |
2007 | 25 | 14 | 12 | 分類外 | - | 7 | - |
2008 | 26 | 16 | 12 | 分類外 | - | 11 | 15 |
2009 | 27 | 9 | 4 | 53 | - | 9 | 4 |
2010 | 28 | 6 | - | 49 | - | 5 | 4 |
2011 | 29 | 28 | 19 | 分類外 | - | - | 8 |
2012 | 30 | 14 | 9 | 分類外 | 10 | 途中棄権 | 6 |
2013 | 31 | 6 | - | 45 | 8 | - | 25 |
2014 | 32 | 19 | 11 | 分類外 | 14 | 途中棄権 | 9 |
2015 | 33 | 53 | 33 | - | - | - | - |
2.4.2. 個人戦ポディウム
個人戦ではワールドカップで6勝、合計22回の表彰台に上がった。
No. | シーズン | 日付 | 場所 | 競技 | レベル | 順位 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2004-05 | 2007年1月28日 | Ramsau am Dachsteinラムサウ・アム・ダッハシュタインドイツ語, オーストリア | 15kmマススタートF | ワールドカップ | 2位 |
2 | 2005年1月22日 | プラジェラート, イタリア | 7.5km+7.5kmパシュートC/F | ワールドカップ | 1位 | |
3 | 2005-06 | 2006年3月19日 | 札幌市, 日本 | 7.5km+7.5kmパシュートC/F | ワールドカップ | 2位 |
4 | 2006-07 | 2007年1月2日 | オーベルストドルフ, ドイツ | 5km+5kmパシュートC/F | ステージワールドカップ | 1位 |
5 | 2007年1月3日 | オーベルストドルフ, ドイツ | 10km個人C | ステージワールドカップ | 2位 | |
6 | 2007年1月3日 | カヴァレーゼ, イタリア | 10km個人F | ステージワールドカップ | 2位 | |
7 | 2007-08 | 2007年12月8日 | ダボス, スイス | 10km個人C | ワールドカップ | 3位 |
8 | 2008年1月1日 | ノヴェー・ムニェスト, チェコ | 10kmパシュートF | ステージワールドカップ | 2位 | |
9 | 2008年1月6日 | ヴァル・ディ・フィエンメ, イタリア | 9kmパシュートF | ステージワールドカップ | 2位 | |
10 | 2008-09 | 2008年12月6日 | ラ・クルーザ, フランス | 15kmマススタートF | ワールドカップ | 1位 |
11 | 2009年1月4日 | ヴァル・ディ・フィエンメ, イタリア | 9kmパシュートF | ステージワールドカップ | 2位 | |
12 | 2009年3月22日 | ファールン, スウェーデン | 10kmパシュートF | ステージワールドカップ | 1位 | |
13 | 2009-10 | 2010年1月2日 | オーベルホーフ, ドイツ | 10kmパシュートC | ステージワールドカップ | 3位 |
14 | 2010年1月10日 | ヴァル・ディ・フィエンメ, イタリア | 9kmパシュートF | ステージワールドカップ | 1位 | |
15 | 2010年3月13日 | オスロ, ノルウェー | 30kmマススタートF | ワールドカップ | 2位 | |
16 | 2010年3月20日 | ファールン, スウェーデン | 5km+5kmパシュートC/F | ステージワールドカップ | 2位 | |
17 | 2010年3月21日 | ファールン, スウェーデン | 10kmパシュートF | ステージワールドカップ | 2位 | |
18 | 2010-11 | 2010年12月18日 | ラ・クルーザ, フランス | 15kmマススタートF | ワールドカップ | 3位 |
19 | 2012-13 | 2013年1月5日 | ヴァル・ディ・フィエンメ, イタリア | 10kmマススタートC | ステージワールドカップ | 2位 |
20 | 2012年12月29日 - 2013年1月6日 | ツール・ド・スキー(ドイツ、スイス、イタリア) | 総合順位 | ワールドカップ | 3位 | |
21 | 2013年2月2日 | ソチ, ロシア | 7.5km+7.5kmスキーアスロンC/F | ワールドカップ | 1位 | |
22 | 2013年2月17日 | ダボス, スイス | 10km個人F | ワールドカップ | 3位 |
2.4.3. 団体戦ポディウム
団体戦では、全てリレー種目で13勝を挙げ、合計18回の表彰台を経験した。
No. | シーズン | 日付 | 場所 | 競技 | レベル | 順位 | チームメイト |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2002-03 | 2003年1月19日 | ノヴェー・ムニェスト, チェコ | 4×5kmリレーC/F | ワールドカップ | 2位 | アニタ・モーエン / マリット・ビョルゲン / ヒルデ・G・ペデルセン |
2 | 2003年3月23日 | ファールン, スウェーデン | 4×5kmリレーC/F | ワールドカップ | 2位 | アニタ・モーエン / ヒルデ・G・ペデルセン / ベンテ・スカリ | |
3 | 2003-04 | 2003年11月23日 | バイトストーレン, ノルウェー | 4×5kmリレーC/F | ワールドカップ | 1位 | ヴィベケ・スコフテルート / ヒルデ・G・ペデルセン / マリット・ビョルゲン |
4 | 2004年1月11日 | オテパー, エストニア | 4×5kmリレーC/F | ワールドカップ | 1位 | ヴィベケ・スコフテルート / ヒルデ・G・ペデルセン / マリット・ビョルゲン | |
5 | 2004年2月22日 | ウメオ, スウェーデン | 4×5kmリレーC/F | ワールドカップ | 1位 | ヴィベケ・スコフテルート / マリット・ビョルゲン / ヒルデ・G・ペデルセン | |
6 | 2006-07 | 2006年11月19日 | イェリヴァーレ, スウェーデン | 4×5kmリレーC/F | ワールドカップ | 1位 | ヴィベケ・スコフテルート / ヒルデ・G・ペデルセン / マリット・ビョルゲン |
7 | 2007年2月4日 | ダボス, スイス | 4×5kmリレーC/F | ワールドカップ | 2位 | アストリッド・ウーレンホルト・ヤコブセン / ヴィベケ・スコフテルート / マリット・ビョルゲン | |
8 | 2007-08 | 2007年12月9日 | ダボス, スイス | 4×5kmリレーC/F | ワールドカップ | 1位 | クリスティン・ミューラー・ステムランド / テレーセ・ヨーハウグ / ヴィベケ・スコフテルート |
9 | 2008年2月24日 | ファールン, スウェーデン | 4×5kmリレーC/F | ワールドカップ | 1位 | イングリ・オウネット・ティルドゥム / アストリッド・ウーレンホルト・ヤコブセン / マリット・ビョルゲン | |
10 | 2008-09 | 2008年11月23日 | イェリヴァーレ, スウェーデン | 4×5kmリレーC/F | ワールドカップ | 1位 | マリット・ビョルゲン / テレーセ・ヨーハウグ / マーテ・クリストフェルセン |
11 | 2008年12月7日 | ラ・クルーザ, フランス | 4×5kmリレーC/F | ワールドカップ | 3位 | クリスティン・ミューラー・ステムランド / テレーセ・ヨーハウグ / ベティ・アン・ビエルクレイム・ニルセン | |
12 | 2009-10 | 2009年11月22日 | バイトストーレン, ノルウェー | 4×5kmリレーC/F | ワールドカップ | 2位 | ヴィベケ・スコフテルート / テレーセ・ヨーハウグ / マリット・ビョルゲン |
13 | 2010年3月7日 | ラハティ, フィンランド | 4×5kmリレーC/F | ワールドカップ | 1位 | マーテ・クリストフェルセン / テレーセ・ヨーハウグ / マリット・ビョルゲン | |
14 | 2010-11 | 2010年11月21日 | イェリヴァーレ, スウェーデン | 4×5kmリレーC/F | ワールドカップ | 1位 | ヴィベケ・スコフテルート / テレーセ・ヨーハウグ / マリット・ビョルゲン |
15 | 2010年12月19日 | ラ・クルーザ, フランス | 4×5kmリレーC/F | ワールドカップ | 1位 | ヴィベケ・スコフテルート / テレーセ・ヨーハウグ / マリット・ビョルゲン | |
16 | 2011-12 | 2011年11月21日 | シュショーエン, ノルウェー | 4×5kmリレーC/F | ワールドカップ | 1位 | ヴィベケ・スコフテルート / テレーセ・ヨーハウグ / マリット・ビョルゲン |
17 | 2012-13 | 2013年1月20日 | ラ・クルーザ, フランス | 4×5kmリレーC/F | ワールドカップ | 1位 | ハイディ・ヴェング / テレーセ・ヨーハウグ / マリット・ビョルゲン |
18 | 2013-14 | 2013年12月8日 | リレハンメル, ノルウェー | 4×5kmリレーC/F | ワールドカップ | 1位 | ハイディ・ヴェング / テレーセ・ヨーハウグ / マリット・ビョルゲン |
2.5. 引退
クリスティン・ストルメル・スタイラは2015年4月20日にプロスキー選手からの引退を発表した。
3. 個人生活
スタイラはオスロ近郊のドローバクに住んでいる。2012年12月から交際していたカナダのスキー選手デヴォン・カーショーと2015年7月25日に結婚した。
4. 評価とニックネーム
クリスティン・ストルメル・スタイラは、その輝かしい競技成績とともに、ある特徴的なニックネームで知られている。
4.1. 「永遠の4位」というニックネーム
スタイラは、そのキャリアを通じて数多くの大会で4位入賞を果たしたことから、ノルウェーのメディアから「永遠の4位」という象徴的なニックネームをつけられた。特に2006年トリノオリンピックでは、10km、15kmパシュート、30kmの個人3種目で4位に終わった。また、2010年バンクーバーオリンピックの15kmパシュートでは、銅メダルをわずか0.1秒差で逃して再び4位となるなど、メダルに手が届かない悔しい経験を繰り返したことがこのニックネームの由来となっている。このニックネームは、彼女の安定した高いパフォーマンスを示す一方で、あと一歩でメダルに届かない惜しい状況をユーモラスに表現している。
4.2. キャリア全体に対する評価
クリスティン・ストルメル・スタイラは、その「永遠の4位」というニックネームにもかかわらず、クロスカントリースキー界において非常に高く評価されている選手である。オリンピックで金メダル1個と銅メダル1個、世界選手権で金メダル3個、銀メダル2個、銅メダル3個を獲得した実績は、彼女が世界のトップアスリートであったことを明確に示している。特にリレー種目での貢献は大きく、ノルウェー女子チームの黄金期を支えた重要な一員であった。個人戦での惜しい結果が多い一方で、ワールドカップでは個人戦6勝を挙げるなど、着実な実力と安定感を兼ね備えていた。彼女の粘り強い競技スタイルと、常に上位に食い込む能力は、長年にわたりファンを魅了し、ノルウェーのクロスカントリースキー界に多大な貢献をしたとされている。