1. 概要
マッケンジー・リトル(Mackenzie Littleマッケンジー・リトル英語、1996年12月22日 - )は、アメリカ合衆国ミネソタ州ロチェスターで生まれ、幼少期にオーストラリアへ移住したオーストラリアのやり投選手である。身長は1.73 m。彼女は主要な国際大会で顕著な成績を収めており、2020年東京オリンピックでは8位に入賞、2023年世界陸上競技選手権大会で銅メダルを獲得、2022年コモンウェルスゲームズでは銀メダルを獲得した。また、競技活動と並行して学業にも力を入れ、スタンフォード大学で学士号を取得した後、シドニー大学医学部で医学博士号を取得している。
2. 幼少期と学業
マッケンジー・リトルの出生から青年期にかけての個人的背景、学業過程、そしてスポーツとの出会いを扱う。
2.1. 出生と幼少期
マッケンジー・リトルは1996年12月22日にアメリカ合衆国ミネソタ州のロチェスターで生まれた。幼少期にオーストラリアへ移住し、シドニーのノーザン・サバーブスで育った。6歳の時、リトルアスレティックスのプログラムに参加してスポーツ活動を始め、サッカー、ソフトボール、水球、フィールドホッケーなど、様々なスポーツを楽しんだ。
2.2. 青年期と高校時代
7年生の時、ピンブル・レディース・カレッジ(Pymble Ladies' College)で、ハードル競走の大会が中止になったことをきっかけに、初めてやり投の練習を行った。10代の頃からやり投の国内大会に出場し、七種競技や400mハードルといった種目でも国内レベルで活躍した。15歳までに50 mを超える投擲を記録。2013年には17歳でオーストラリアのユース国家代表に選出され、同年7月にウクライナのドネツクで開催された2013年世界ユース陸上競技選手権大会に出場し、61.47 mの記録でキューバのユレンミス・アギラール(Yulenmis Aguilarユレンミス・アギラール英語)やラトビアのアネテ・コチーニャ(Anete Kociņaアネテ・コチーニャ英語)を破り、金メダルを獲得した。2014年には57.6 mの記録を達成した。
3. 大学時代の競技キャリア
マッケンジー・リトル選手のスタンフォード大学在学中の競技生活と学業上の成果を詳細に扱う。
3.1. スタンフォード大学での陸上競技活動
2016年にアメリカ合衆国へ渡り、スタンフォード大学に入学した。在学中には、NCAAやり投部門で2度の優勝を飾り、Pac-12カンファレンスのタイトルを4度獲得した他、4度のオールアメリカンに選出された。大学在学中に自己最高記録を60.36 mに伸ばした。
スタンフォード大学代表 | |||||
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年 | 大会 | 開催地 | 順位 | 種目 | 記録 |
2019 | NCAAディビジョンI陸上競技選手権大会 | アメリカ合衆国 オースティン、テキサス | 1位 | やり投 | 59.44 m |
Pac-12カンファレンス選手権大会 | アメリカ合衆国 ツーソン、アリゾナ | 1位 | やり投 | 59.13 m | |
2018 | NCAAディビジョンI陸上競技選手権大会 | アメリカ合衆国 ユージーン、オレゴン | 1位 | やり投 | 60.36 m |
Pac-12カンファレンス選手権大会 | アメリカ合衆国 スタンフォード、カリフォルニア | 1位 | やり投 | 54.88 m | |
2017 | NCAAディビジョンI陸上競技選手権大会 | アメリカ合衆国 ユージーン、オレゴン | 4位 | やり投 | 55.32 m |
Pac-12カンファレンス選手権大会 | アメリカ合衆国 ユージーン、オレゴン | 1位 | やり投 | 53.02 m | |
2016 | NCAAディビジョンI陸上競技選手権大会 | アメリカ合衆国 ユージーン、オレゴン | 7位 | やり投 | 53.65 m |
Pac-12カンファレンス選手権大会 | アメリカ合衆国 シアトル、ワシントン | 1位 | やり投 | 53.71 m |
3.2. 学業上の成果
2019年にスタンフォード大学を卒業し、人間生物学の学士号(Bachelor of Science in Human Biology)を取得した。その後、シドニー大学医学部に進学し、2023年に医学博士号(M.D.)を取得した。
4. 主な国際大会出場経歴
マッケンジー・リトルがナショナルチームの一員として参加した主要な国際大会での活躍と成果を時系列で整理する。
4.1. 代表デビューと初期の国際大会
2017年にオーストラリア国家代表選手に選出された。同年8月には台湾台北で開催された2017年夏季ユニバーシアードに出場し、52.09 mの記録で予選16位となった。2019年6月には自国オーストラリアのタウンズビルで開催された2019年オセアニア陸上競技選手権大会に参加し、57.74 mの記録でチームメイトのケルシー=リー・バーバー(Kelsey-Lee Barberケルシー=リー・バーバー英語)に次ぐ銀メダルを獲得した。同年7月にはイタリアナポリで開催された2019年夏季ユニバーシアードで55.37 mの記録で8位に入賞した。
4.2. オリンピック出場
2021年8月、日本東京で開催された2020年夏季オリンピックに初出場した。やり投予選A組では、当時の自己最高記録である62.37 mを記録し、ポーランドのマリア・アンドレイチェク(Maria Andrejczykマリア・アンドレイチェク英語)に次ぐ2位で予選を通過。全体では4位で決勝に進出した。決勝では59.96 mを記録し、8位で大会を終えた。彼女は2024年パリオリンピックでもオーストラリア代表として出場している。
4.3. 世界陸上競技選手権大会
2022年7月、アメリカ合衆国ユージーンで開催された2022年世界陸上競技選手権大会に出場し、当時の自己最高記録となる63.22 mを投擲して5位に入賞した。2023年8月、ハンガリーブダペストで開催された2023年世界陸上競技選手権大会では、63.38 mの記録で日本の北口榛花とコロンビアのフロル・ルイス(Flor Ruizフロル・ルイス英語)に次ぐ3位となり、銅メダルを獲得した。
4.4. コモンウェルスゲームズ
2022年8月、イギリスバーミンガムで開催された2022年コモンウェルスゲームズに出場した。この大会では64.27 mという自己最高記録を樹立し、ケルシー=リー・バーバーに次ぐ銀メダルを獲得した。
4.5. その他の国際大会
2022年6月には、オーストラリアのマッカイで開催された2022年オセアニア陸上競技選手権大会で、ニュージーランドのトリ・ピーターズ(Tori Peetersトリ・ピーターズ英語)とケルシー=リー・バーバーを破り金メダルを獲得した。2023年5月には日本横浜で開催されたセイコーゴールデングランプリ陸上で優勝。同年6月にはスイスローザンヌで開催されたアトレティシマ大会で優勝し、ポーランドホジュフで開催されたカミラ・スコリモフスカ追悼大会では準優勝を果たした。
5. 自己最高記録
マッケンジー・リトル選手がやり投種目で達成した自己最高記録を年別に整理し、それぞれの記録の意味を説明する。
マッケンジー・リトルのやり投における自己最高記録は、2022年のコモンウェルスゲームズで記録した64.27 mである。これは彼女のキャリアにおける最高到達点の一つを示している。また、2013年の世界ユース陸上競技選手権大会では61.47 mを記録して金メダルを獲得した。2020-21シーズンには61.42 mを記録し、オーストラリア歴代6位の好成績を収めている。これらはいずれも彼女がトップレベルの選手として成長していく過程で達成された重要な記録である。
6. 評価
マッケンジー・リトルは、世界トップクラスのやり投選手として、その競技能力と学業における卓越した成就の両面で高く評価されている。やり投における安定したパフォーマンスは、主要国際大会での複数回のメダル獲得に結びついており、特に2022年コモンウェルスゲームズでの銀メダルと2023年世界陸上競技選手権大会での銅メダルは、彼女が世界の強豪選手としての地位を確立したことを示している。また、スタンフォード大学での学士号取得と、シドニー大学医学部での医学博士号取得という異色の経歴は、彼女の多才さと学業に対する真摯な姿勢を浮き彫りにしている。競技と学業の両立は稀有な例であり、彼女の強い意志と disciplined な性格を物語っている。将来に向けて、彼女はスポーツ界においてさらなる高みを目指すことが期待されている。