1. 幼少期と背景
レオネル・スアレス・ファハルドの幼少期と、彼が陸上競技を始めた背景について詳述する。
1.1. 出生と初期の訓練
レオネル・スアレス・ファハルドは1987年9月1日にキューバのオルギンで生まれた。彼の身体能力は、身長1.8 m、体重78 kgと、十種競技選手として理想的な体格を兼ね備えている。2006年からガビーノ・アソラの指導の下で本格的な訓練を開始し、競技者としての道を歩み始めた。
2. 競技キャリア
スアレス・ファハルドの陸上競技キャリアは、初期の国内大会から国際的な主要選手権での活躍まで、多岐にわたる。
2.1. デビューと初期の成功
スアレスの国際大会でのキャリアは、2005年のALBAゲームズで4位に入賞したことから始まった。2007年にはNACAC混成競技選手権大会で2位となり、同年開催されたパンアメリカン競技大会では十種競技で7936点を記録し4位入賞を果たした。
2008年にはハイポ・ミーティングで8366点の国内新記録を樹立し4位に入賞、同年のIAAF世界混成競技チャレンジでは年間総合2位という目覚ましい成績を収めた。この年の北京オリンピックでは、8527点を記録し、再び国内新記録を更新するとともに銅メダルを獲得し、その才能を世界に知らしめた。
2009年には中央アメリカ・カリブ海選手権大会で8654点の自己ベストを達成し、金メダルを獲得した。この記録は当時のキューバ国内記録およびエリア記録でもあった。同年開催された世界陸上競技選手権大会(ベルリン)では、8640点を記録して銀メダルを獲得した。
2.2. オリンピックと世界選手権での実績
スアレスは主要な国際大会で一貫して高い成績を収めてきた。2008年の北京オリンピックでは銅メダルを獲得し、オリンピックでの初のメダルを手にした。続く2009年の世界陸上競技選手権大会(ベルリン)では銀メダル、2011年の世界陸上競技選手権大会(大邱)では銅メダルを獲得し、3大会連続で世界の舞台でのメダル獲得を果たした。さらに、2012年のロンドンオリンピックでも再び銅メダルを獲得し、2度目のオリンピックメダルを手にした。
2.3. 地域・大陸選手権大会
彼は地域および大陸レベルの大会でも強さを見せた。2009年の中央アメリカ・カリブ海選手権大会では金メダルを獲得。2011年のパンアメリカン競技大会(グアダラハラ)でも金メダルを獲得し、大陸チャンピオンとなった。さらに、後期のキャリアにあたる2018年の中央アメリカ・カリブ海競技大会(バランキージャ)でも金メダルを獲得した。2019年のパンアメリカン競技大会(リマ)では5位となった。
2.4. IAAF混成競技チャレンジ
IAAF混成競技チャレンジは、十種競技選手にとって重要な年間シリーズである。スアレスは2008年に年間総合2位を記録した。2010年にはマルチスターズミーティングで2位、ハイポ・ミーティングで3位に入賞した。同年、フランスのタランスで開催されたデカスターでは、8328点を記録して優勝を果たした。

2011年のハイポ・ミーティングでは、やり投げで75.49 mという大会記録を樹立し、総合で8440点を記録して2位に入賞した。同年開催されたTNT-フォルトゥーナ・ミーティングでは、跳躍競技のポテンシャルを示し、棒高跳びで自己ベストの5 mを記録して、総合8231点で優勝を飾った。これらの安定した高得点の積み重ねにより、彼は2011年のIAAF混成競技チャレンジ年間総合優勝を達成した。

2.5. 後期のキャリア
スアレスはキャリア後期においても国際舞台で活躍を続けたが、怪我などによる影響も経験した。2010年の世界室内陸上競技選手権大会では七種競技に出場し7位となった。2013年の世界陸上競技選手権大会(モスクワ)では十種競技で8317点を記録し10位に入賞した。
2015年にはパンアメリカン混成競技カップおよびパンアメリカン競技大会に出場したが、両大会で途中棄権となった。しかし、2016年のリオデジャネイロオリンピックでは8460点を記録し6位に入賞するなど、再び高いパフォーマンスを見せた。2017年の世界陸上競技選手権大会(ロンドン)では再び途中棄権となったが、2018年の中央アメリカ・カリブ海競技大会で金メダルを獲得し、依然として競技のトップレベルにいることを証明した。
3. 自己ベストと記録
レオネル・スアレス・ファハルドの主な自己ベスト記録は以下の通りである。
- 十種競技:8654点 - 2009年7月4日、ハバナ(当時キューバ国内記録およびエリア記録)
この他に、2008年の北京オリンピックで銅メダルを獲得した際の8527点も当時のキューバ国内記録であった。
4. 主要大会成績
年 | 大会 | 開催地 | 順位 | 種目 | 記録 |
---|---|---|---|---|---|
2005 | ALBAゲームズ | ハバナ、キューバ | 4位 | 十種競技 | 7048点 |
2007 | NACAC混成競技選手権大会 | サントドミンゴ、ドミニカ共和国 | 2位 | 十種競技 | 7843点 |
パンアメリカン競技大会 | リオデジャネイロ、ブラジル | 4位 | 十種競技 | 7936点 | |
2008 | オリンピック | 北京、中華人民共和国 | 3位 | 十種競技 | 8527点 NR |
2009 | 中央アメリカ・カリブ海選手権大会 | ハバナ、キューバ | 1位 | 十種競技 | 8654点 NR AR |
世界陸上競技選手権大会 | ベルリン、ドイツ | 2位 | 十種競技 | 8640点 | |
2010 | 世界室内陸上競技選手権大会 | ドーハ、カタール | 7位 | 七種競技 | 5764点 |
2011 | 世界陸上競技選手権大会 | 大邱、韓国 | 3位 | 十種競技 | 8501点 |
パンアメリカン競技大会 | グアダラハラ、メキシコ | 1位 | 十種競技 | 8374点 | |
2012 | オリンピック | ロンドン、イギリス | 3位 | 十種競技 | 8523点 |
2013 | 世界陸上競技選手権大会 | モスクワ、ロシア | 10位 | 十種競技 | 8317点 |
2015 | パンアメリカン混成競技カップ | オタワ、カナダ | - | 十種競技 | DNF |
パンアメリカン競技大会 | トロント、カナダ | - | 十種競技 | DNF | |
2016 | オリンピック | リオデジャネイロ、ブラジル | 6位 | 十種競技 | 8460点 |
2017 | 世界陸上競技選手権大会 | ロンドン、イギリス | - | 十種競技 | DNF |
2018 | 中央アメリカ・カリブ海競技大会 | バランキージャ、コロンビア | 1位 | 十種競技 | 8026点 |
2019 | パンアメリカン競技大会 | リマ、ペルー | 5位 | 十種競技 | 7799点 |
5. 功績と評価
レオネル・スアレス・ファハルドは、2000年代後半から2010年代にかけて、世界の十種競技界を代表する選手の一人であった。特にオリンピックで2つの銅メダル、世界陸上競技選手権大会で銀メダル1つと銅メダル1つを獲得したことは、彼の並外れた才能と一貫性を示している。彼の自己ベスト8654点は、キューバの国内記録およびエリア記録であり、同国の陸上競技史における重要な功績として評価される。
彼はIAAF世界混成競技チャレンジで年間総合優勝を果たすなど、シーズンを通じて高いレベルのパフォーマンスを維持する能力も持ち合わせていた。怪我による一時的な活動停止や途中棄権も見られたが、その度に国際大会の舞台に復帰し、メダル争いに加わる強さを見せた。スアレスの長きにわたるキャリアと数々のメダル獲得は、彼が十種競技において真の多才さと精神的な強さを持つ選手であったことを証明しており、キューバの陸上競技界に大きな影響を与えた。