1. 概要

福島千里(ふくしま ちさと)は、北海道中川郡幕別町出身の日本の元陸上競技選手、陸上競技指導者である。専門は短距離走で、女子100mと200mの日本記録保持者として知られる。日本陸上競技界の第一人者として、北京、ロンドン、リオデジャネイロと3大会連続でオリンピックに出場した。特に2010年の広州アジア競技大会では、女子100mと200mで短距離2冠を達成し、日本女子短距離界の歴史に名を刻んだ。2022年に現役を引退し、現在は陸上競技指導者として次世代の育成に貢献している。
2. 人物・経歴
福島千里は、幼少期から陸上競技と出会い、その類稀なる才能を開花させていった。学生時代には全国大会で実績を重ね、ライバルとの切磋琢磨の中で競技力を高めていった。
2.1. 幼少期と教育
福島千里は1988年6月27日、北海道中川郡幕別町に生まれた。陸上競技は小学4年生の時に始め、同時期にスピードスケート(距離は500m)も経験している。小学校時代は道大会でやっと決勝に残る程度の実力であったが、スピードスケートの経験は、スタートダッシュ時のバランス感覚や強靭な脚力形成に大きな影響を与えたとされる。
中学時代には幕別町立糠内中学校に在学し、ジュニアオリンピックなど全国大会に出場し始める。高校は北海道帯広南商業高等学校に進学。中学3年生の2003年から高校3年生の2006年までの4年間、全中やインターハイの女子100mにおいて、同い年の高橋萌木子に常に敗れ、自身も全国大会で実績を上げていたものの、高橋や中村宝子の影に隠れる形となっていた。
高校卒業後の2007年、北海道ハイテクノロジー専門学校の情報システム学科に進学。同校の陸上競技部である北海道ハイテクACに所属し、中村宏之コーチの指導のもとで選手活動を継続した。2009年の卒業後も、そのまま同校の職員として籍を置いた。
2.2. 陸上競技との出会いと初期
陸上競技との出会いは小学校時代にさかのぼるが、本格的に全国の舞台で頭角を現し始めたのは中学時代からである。特に、同世代の選手との熾烈な競争が、彼女を日本を代表するスプリンターへと成長させる原動力となった。
3. 競技キャリア
福島千里の競技キャリアは、数々の日本記録更新と国際大会での成功によって彩られている。常に自身の限界に挑戦し、日本女子短距離界の歴史を塗り替えてきた。
3.1. キャリア初期とオリンピック初出場 (2005年-2008年)
キャリアの初期には、国際舞台での経験を積んだ。2005年世界ユース陸上競技選手権大会(モロッコ・マラケシュ)や2006年世界ジュニア陸上競技選手権大会(中国・北京)のスプリント種目に出場。
2008年には好タイムを連発し、大きく頭角を現した。4月28日、広島広域公園陸上競技場で開催された織田記念陸上女子100mで、二瓶秀子が2001年に記録した11.36 sに並ぶ日本記録タイをマークし、北京オリンピック参加標準記録Bを突破した(参加標準記録Bは11.42 s)。6月29日の日本陸上競技選手権大会女子100mでは、参加標準記録Aには届かなかったものの、11.48 sで初優勝を飾る。このシーズンでの急成長と将来性が高く評価され、日本陸上競技連盟により北京オリンピックの女子100m代表に選出された。陸上女子100mでのオリンピック代表選出は、1952年ヘルシンキオリンピックの吉川綾子以来56年ぶりの快挙であった。
しかし、北京オリンピック女子100mでは11.74 sの記録で1次予選敗退に終わる。その後、9月23日に川崎市の等々力陸上競技場で行われたスーパー陸上大会女子100mで優勝(11.7 s)し、これは日本で開催された陸上競技の国際大会における100mで、日本人女子として史上初の優勝という歴史的快挙となった。
3.2. 日本記録更新とアジアでの成功 (2009年-2011年)
2009年は、福島が本格的に日本記録を塗り替え始めた年となった。5月3日の静岡国際陸上競技大会女子200mで、当時の信岡沙希重が保持していた日本記録(23.33 s)を更新する23.14 sの日本記録をマークして優勝した。6月7日には、鳥取県鳥取市の鳥取県立布勢総合運動公園で開催されたスプリント挑戦記録会女子100mで、第一レースで11.28 s、第二レースで11.24 sと、1日で日本記録を2回連続で更新し、世界選手権の参加標準記録A(11.3 s)も突破した。6月26日の日本選手権女子200mでは、自身の日本記録を0.14 s短縮する23 sを記録して初優勝し、世界選手権の参加標準記録Aと同タイムをマークした。世界選手権女子100mでは、1次予選で11.52 sを記録し突破。2次予選では11.43 sと記録を伸ばしたが敗退したものの、世界選手権での2次予選進出は日本人女子100m史上初であり、オリンピックを含めても1932年のロサンゼルスオリンピックに出場した渡辺すみ子以来77年ぶりの快挙であった。11月11日には、アジア選手権女子100mで11.27 sを記録し、初のアジア選手権タイトルを獲得した。さらに、3日後には女子4x100mリレーでもチームメイトと共に金メダルを獲得した。
2010年も引き続き記録を伸ばし、4月29日の織田記念陸上女子100mでは自身の持つ11.24 sを0.03 s更新する11.21 sの日本記録で優勝。5月3日の静岡国際陸上競技大会女子200mでは、前年(2009年)の自身の日本記録を0.11 s更新し、日本人女子選手として初の22秒台となる22.89 s(向かい風0.2 m/s)をマークして優勝した。11月22日には広州アジア競技大会陸上女子100mで11.33 sを記録し金メダルを獲得、この種目での日本人選手の優勝は1966年バンコク大会の佐藤美保以来44年ぶりであった。大会14日目の11月25日には200mも制し、日本人女子選手として初の100m、200m短距離2冠を達成した。同年12月15日、日本陸上競技連盟のアスレティック・アワードで2010年のアスリート・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀選手)に選出された。
2011年もアジア最速の実力を維持し、日本選手権で100m、200mの2冠を達成。同年8月に韓国・大邱で行われた世界選手権では、女子100mと200mで準決勝に進出し、200mでの準決勝進出は世界選手権・オリンピックを通じて日本人女子選手として初の快挙であった。
3.3. オリンピック出場と国内での活躍 (2012年-2016年)
2012年は、本格的なトラックシーズンに先立ち世界室内陸上競技選手権大会に出場。3月10日の女子60m予選で7.29 sをマークし、自身初となる室内日本記録を樹立した。同種目で日本人女子初の準決勝に進出したが、インフルエンザのため準決勝は欠場した。同年6月の第96回日本選手権において2年連続で100m、200mの2冠を達成し、両種目でロンドンオリンピック出場を決めた。しかし、ロンドンオリンピックでは100mを11.41 s、200mを24.14 sでいずれも予選敗退。また、1964年東京オリンピック以来48年ぶりに出場した日本チームの一員として4x100mリレーにも出場したが、44.25 sで予選敗退となった。
2013年の第97回日本選手権では、3年連続となる短距離2冠を達成。アジア選手権100mで2位に入賞した。
2014年の第98回日本選手権では、5年連続の短距離2冠を達成。仁川アジア競技大会では連覇を狙ったが、100mは11.49 sで2位、200mでは3位に終わった。
2015年のアジア選手権(中国・武漢)の100mでは、追い風参考ながら11.23 sの好記録で2009年大会以来となる金メダルを獲得。第99回日本選手権で6年連続の短距離2冠を達成した。同年8月の世界選手権(中国・北京)では、100m予選で日本人国外での日本人選手記録をさらに更新する11.23 sで3着に入り、2大会ぶりに準決勝へ進出した。
2016年には怪我に苦しんだが、第100回日本選手権では6月25日の100m決勝で11.45 sを記録し7年連続優勝を、翌6月26日の200m決勝では6年ぶりに自身の持つ日本記録を0.01 s更新し、22.88 sをマークし、6年連続の短距離2冠を達成し、リオデジャネイロオリンピック日本代表入りが決定した。女子100mの3大会連続日本代表選出は史上初の快挙である。しかし、リオオリンピックでは、合宿中に左太もも裏を負傷したため100mを欠場し、200mに専念することになったが、23.21 sで予選敗退に終わった。
3.4. プロ転向と引退 (2017年-2022年)
2016年のリオデジャネイロオリンピック終了後、福島自身の去就が注目された。2017年1月20日付で北海道ハイテクACを退団し、同時に北海道ハイテクノロジー専門学校も退職。プロ活動の開始を宣言し、所属をファーストトラック株式会社に変更した。
2018年1月11日には、セイコーホールディングス本社での会見で、1月1日付で同社に入社し、所属社員選手として競技を継続することを発表した。神奈川県内に拠点を置き、仲田健トレーナーの指導の下、同社所属の山縣亮太とチームを組むこととなった。
2021年3月14日には、セイコーに籍を置いたまま順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科に進学することが報じられた。
そして2022年1月29日、現役引退を正式に表明し、その華々しい競技キャリアに幕を閉じた。
4. 日本記録と自己ベスト
福島千里は、日本女子短距離界において数々の日本記録を樹立し、自己ベストを更新してきた。
4.1. 日本記録
福島千里が樹立または更新した日本記録(リレーを含む)は、11回(日本タイ記録1回)に上る。
種目 | 記録 | 風速 | 場所 | 日付 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
60m | 7.29 s | - | イスタンブール(トルコ) | 2012年3月10日 | 室内日本記録 |
100m | 11.36 s | +1.7 | 広島市(広島県) | 2008年4月28日 | 日本タイ記録 |
11.28 s | +0.8 | 鳥取市(鳥取県) | 2009年6月7日 | ||
11.24 s | +1.9 | 鳥取市(鳥取県) | 2009年6月7日 | ||
11.21 s | +1.7 | 広島市(広島県) | 2010年4月29日 | ||
200m | 23.14 s | +1.5 | 袋井市(静岡県) | 2009年5月3日 | |
23 s | +1.7 | 広島市(広島県) | 2009年6月26日 | ||
22.89 s | -0.2 | 袋井市(静岡県) | 2010年5月3日 | ||
22.88 s | +1.8 | 名古屋市(愛知県) | 2016年6月26日 | ||
4x100mR | 43.67 s | - | 北京市(中国) | 2008年5月24日 | |
43.58 s | - | 大阪市(大阪府) | 2009年5月9日 | ||
43.39 s | - | 川崎市(神奈川県) | 2011年5月8日 |
4.2. 自己ベスト
各競技種目における福島千里の個人最高記録は以下の通りである。
5. 主要競技成績
福島千里が参加した主要な国際大会および国内大会での競技成績を、各競技種目別に詳細にまとめる。
5.1. 100m
100メートル競走における各大会での成績。
年 | 大会 | 場所 | 結果 | 記録 | 風速 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
2002 | ジュニアオリンピック | 横浜市 | 8位 | 13.03 s | 準決勝2組 | |
2003 | 全日本中学校選手権 | 札幌市 | 2位 | 12.74 s | ||
2004 | インターハイ | 出雲市 | 3位 | 11.97 s | 準決勝1組 | |
2005 | インターハイ | 千葉市 | 4位 | 12.75 s | ||
予選4組 | ||||||
2005 | 世界ユース選手権 | マラケシュ(モロッコ) | 4位 | 11.95 s | 準決勝1組 | |
2005 | 国民体育大会 | 岡山市 | 4位 | 11.94 s | ||
2006 | 日本ジュニア選手権 | 出雲市 | 1位 | 11.73 s | ||
大会記録 | ||||||
2006 | 世界ジュニア選手権 | 北京(中国) | 7位 | 12.11 s | ||
準決勝3組 | ||||||
2006 | インターハイ | 大阪市 | 2位 | 11.73 s | ||
2006 | 国民体育大会 | 神戸市 | 3位 | 11.88 s | ||
2007 | 静岡国際陸上 | 袋井市 | 5位 | 11.83 s | ||
2007 | IAAFグランプリ大阪大会 | 大阪市 | 9位 | 11.83 s | ||
2007 | 東日本実業団選手権 | 熊谷市 | 1位 | 11.47 s | 追い風参考記録 | |
2007 | 日本選手権 | 大阪市 | 8位 | 12.87 s | 0.0 | |
2008 | 織田記念陸上 | 広島市 | 1位 | 11.36 s | 日本タイ記録 | |
2008 | IAAFグランプリ大阪大会 | 大阪市 | 3位 | 11.56 s | ||
2008 | 日本選手権 | 川崎市 | 1位 | 11.48 s | ||
2008 | 南部記念陸上 | 函館市 | 1位 | 11.49 s | ||
2008 | オリンピック | 北京(中国) | 5位 | 11.74 s | ||
1次予選 | ||||||
2008 | スーパー陸上 | 川崎市 | 1位 | 11.7 s | 0.0 | |
2009 | 織田記念陸上 | 広島市 | 1位 | 11.23 s | 追い風参考記録 | |
2009 | IAAFグランプリ大阪大会 | 大阪市 | 2位 | 11.56 s | ||
2009 | 布勢スプリント | 鳥取市 | 1位 | 11.24 s | 日本新記録 第1レース:11.28 s (+0.8) | |
2009 | 日本選手権 | 広島市 | DNS | |||
予選:11.32 s (+1.5) 準決勝:11.36 s (+1.0) | ||||||
2009 | 世界選手権 | ベルリン(ドイツ) | 7位 | 11.43 s | 2次予選 国外日本人最高記録 | |
2009 | スーパー陸上 | 川崎市 | 2位 | 11.42 s | ||
2009 | アジア選手権 | 広州(中国) | 1位 | 11.27 s | ||
国外日本人最高記録 準決記録11.29 s (+0.8) | ||||||
2010 | 織田記念陸上 | 広島市 | 1位 | 11.21 s | 日本新記録 | |
2010 | IAAFグランプリ大阪大会 | 大阪市 | 2位 | 11.27 s | ||
2010 | 日本選手権 | 丸亀市 | 1位 | 11.3 s | ||
2010 | 布勢スプリント | 鳥取市 | 1位 | 11.47 s | 0.0 | 第1レース:11.24 s (+0.3) |
2010 | 南部記念陸上 | 札幌市 | 1位 | 11.28 s | ||
2010 | Spitzen Leichathletik Luzern | ルツェルン(スイス) | 3位 | 11.3 s | ||
2010 | Memorial Humberset 2010 Swiss Meeting | フリブール(スイス) | 1位 | 11.32 s | ||
2010 | 46th Palio Citta della Quercia | ロヴェレート(イタリア) | 1位 | 11.65 s | ||
serieB(race B) | ||||||
2010 | IAAFコンチネンタルカップ | スプリト(クロアチア) | 6位 | 11.42 s | ||
2010 | スーパー陸上 | 川崎市 | 2位 | 11.48 s | ||
2010 | 国民体育大会 | 千葉市 | 1位 | 11.26 s | 大会新 | |
2010 | アジア大会 | 広州(中国) | 1位 | 11.33 s | ||
2011 | 日本選手権 | 熊谷市 | 1位 | 11.39 s | ||
2011 | 布勢スプリント | 鳥取市 | 1位 | 11.16 s | 追い風参考記録 第1レース:11.24 s (-0.3) | |
2011 | 世界選手権 | 大邱(韓国) | 8位 | 11.59 s | ||
準決勝3組 予選4組11.35 s (+0.1)2着通過 | ||||||
2011 | 国民体育大会 | 山口市 | 1位 | 11.24 s | 大会新 | |
2012 | 織田記念陸上 | 広島市 | 1位 | 11.34 s | 予選11.36 s (+0.6) | |
2012 | ゴールデングランプリ川崎 | 川崎市 | 3位 | 11.39 s | ||
2012 | 日本選手権 | 大阪市 | 1位 | 11.45 s | 0.0 | 3年連続優勝 |
2012 | オリンピック | ロンドン(イギリス) | 5位 | 11.41 s | 予選5組 | |
2012 | 国民体育大会 | 岐阜市 | 1位 | 11.55 s | 3年連続優勝 | |
2013 | 織田記念陸上 | 広島市 | 2位 | 11.36 s | ||
2013 | ゴールデングランプリ東京 | 東京都 | 4位 | 11.56 s | ||
2013 | 日本選手権 | 調布市 | 1位 | 11.41 s | 0.0 | 4年連続優勝 予選:11.38 s(+1.9) |
2013 | アジア選手権 | プネー(インド) | 2位 | 11.53 s | ||
2013 | 国民体育大会 | 調布市 | 1位 | 11.66 s | ||
4年連続優勝 | ||||||
2014 | 日本選手権 | 福島市 | 1位 | 11.69 s | ||
5年連続優勝 | ||||||
2014 | デカネーション | アンジェ(フランス) | 4位 | 11.62 s | ||
2014 | アジア競技大会 | 仁川(韓国) | 2位 | 11.49 s | ||
2014 | 国民体育大会 | 諫早市 | 1位 | 11.41 s | ||
5年連続優勝 予選:11.3 s(+0.3) | ||||||
2015 | アジア選手権 | 武漢(中国) | 1位 | 11.23 s | 準決勝:11.28 s(+1.4) | |
2015 | 日本選手権 | 新潟市 | 1位 | 11.5 s | ||
6年連続優勝 | ||||||
2015 | マドリード・ミーティング | マドリード(スペイン) | 5位 | 11.25 s | 予選1組、国外日本人最高記録 | |
2015 | Spitzen Leichathletik Luzern | ルツェルン(スイス) | 6位 | 11.34 s | 0.0 | A組 |
2015 | ナイトオブアスレチックス | ヒュースデンゾルダー(ベルギー) | 2位 | 11.37 s | ||
2015 | 世界選手権 | 北京 | 7位 | 11.32 s | 準決勝 予選7組3着11.23 s(-0.5)国外日本人最高記録 | |
2015 | 国民体育大会 | 和歌山市 | 1位 | 11.39 s | 6年連続優勝 準決勝記録11.38 s(+0.0) | |
2016 | 日本選手権 | 名古屋市 | 1位 | 11.45 s | ||
7年連続優勝 | ||||||
2016 | 全日本実業団 | 大阪 | 1位 | 11.57 s | 初出場、初優勝 | |
2016 | 希望郷いわて国体 | 北上 | 1位 | 11.66 s | 7年連続優勝 | |
2017 | 日本選手権 | 大阪 | 2位 | 11.58 s | ||
2017 | 南部記念陸上 | 札幌市 | 1位 | 11.36 s | 7年ぶり3回目の優勝 | |
2018 | アジア大会 | ジャカルタ、インドネシア | 20位 (h) | 11.99 s | ||
2019 | アジア選手権 | ドーハ、カタール | 16位 (sf) | 12.02 s |
5.2. 200m
200メートル競走における各大会での成績。
年 | 大会 | 場所 | 結果 | 記録 | 風速 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
2003 | 全日本中学校選手権 | 札幌市 | 2位 | 25.48 s | ||
2003 | 国民体育大会 | 袋井市 | 4位 | 25.61 s | ||
準決勝1組 | ||||||
2004 | インターハイ | 出雲市 | 4位 | 25.21 s | ||
準決勝3組 | ||||||
2005 | 世界ユース選手権 | マラケシュ(モロッコ) | 7位 | 24.87 s | 準決勝2組 | |
2006 | インターハイ | 大阪市 | 3位 | 23.81 s | ||
2007 | 東日本実業団選手権 | 熊谷市 | 2位 | 23.74 s | 追い風参考記録 | |
2007 | スーパー陸上 | 横浜市 | 4位 | 24.3 s | ||
2008 | 静岡国際陸上 | 袋井市 | 1位 | 23.13 s | 追い風参考記録 | |
2008 | 東日本実業団選手権 | 熊谷市 | 1位 | 23.6 s | ||
2008 | 国民体育大会 | 大分市 | 2位 | 23.62 s | ||
2009 | 静岡国際陸上 | 袋井市 | 1位 | 23.14 s | 日本新記録 | |
2009 | 日本選手権 | 広島市 | 1位 | 23 s | 日本新記録 | |
2009 | 世界選手権 | ベルリン(ドイツ) | 4位 | 23.4 s | 1次予選 | |
2009 | 国民体育大会 | 新潟市 | 1位 | 23.4 s | ||
2010 | 静岡国際陸上 | 袋井市 | 1位 | 22.89 s | ||
日本新記録 | ||||||
2010 | 日本選手権 | 丸亀市 | 2位 | 23.57 s | ||
2010 | アジア大会 | 広州(中国) | 1位 | 23.62 s | ||
2011 | 静岡国際陸上 | 袋井市 | 1位 | 23.13 s | ||
2011 | 大邱国際選手権 | 大邱(韓国) | 4位 | 23.21 s | 大邱スタジアム | |
2011 | 日本選手権 | 熊谷市 | 1位 | 23.44 s | ||
2011 | アジア選手権 | 神戸市 | 1位 | 23.49 s | ||
予選:23.44 s | ||||||
2011 | 世界選手権 | 大邱(韓国) | 8位 | 23.52 s | ||
準決勝1組 予選1組23.25 s(-0.1)5着、全体23位通過 | ||||||
2012 | 静岡国際陸上 | 袋井市 | 2位 | 23.12 s | 0.0 | 1位A.Montsho(BOTボツワナ英語)22.89 s |
2012 | 日本選手権 | 大阪市 | 1位 | 23.35 s | ||
2012 | オリンピック | ロンドン(イギリス) | 7位 | 24.14 s | 予選3組 | |
2013 | 静岡国際陸上 | 袋井市 | 2位 | 23.32 s | ||
2013 | 日本選手権 | 調布市 | 1位 | 23.25 s | 3年連続優勝 | |
2013 | アジア選手権 | プネー(インド) | 4位 | 23.82 s | ||
2013 | 世界選手権 | モスクワ(ロシア) | 5位 | 23.85 s | 0.0 | 予選4組 |
2014 | 日本選手権 | 福島市 | 1位 | 23.79 s | 4年連続優勝 予選:23.66 s(+1.6) | |
2014 | アジア競技大会 | 仁川(韓国) | 3位 | 23.45 s | 0.0 | 予選:23.35 s(+1.2) |
2015 | 織田記念陸上 | 広島市 | 1位 | 23.54 s | ||
2015 | ゴールデングランプリ川崎 | 川崎市 | 4位 | 23.11 s | ||
2015 | 日本選手権 | 新潟市 | 1位 | 23.23 s | 5年連続優勝 | |
2015 | 世界選手権 | 北京 | 34位 (h) | 23.3 s | ||
2016 | Spitzen Leichtathletik 2016 | ルツェルン | 2位 | 23.13 s | タイムレースB決勝2位 | |
2016 | 日本選手権 | 名古屋市 | 1位 | 22.88 s | 日本新記録、6年連続優勝 | |
2016 | オリンピック | リオデジャネイロ(ブラジル) | 5位 | 23.21 s | 予選7組 | |
2017 | 日本選手権 | 大阪 | 5位 | 24.01 s | ||
予選記録3組1着23.69 s(-0.4) |
5.3. その他の個人種目
60mや400mなど、100m、200m以外の個人種目における主要な競技成績。
年 | 大会 | 場所 | 種目 | 結果 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
2012 | 世界室内選手権 | イスタンブール | 60m | DNS | ||
準決勝3組、予選:7.29 s(日本記録) | ||||||
2013 | 国民体育大会 | 調布市 | 400m | 5位 | 56.26 s | 予選3組 |
5.4. リレー
4x100mリレーなど、リレー種目における各大会での成績。
年 | 大会 | 場所 | 種目 | 結果 | 記録 | チーム | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2002 | ジュニアオリンピック | 横浜市 | 4x100mR | 4位 | 49.39 s | 北海道選抜 | 準決勝3組、3走 |
2004 | インターハイ | 出雲市 | 4x100mR | 5位 | 49 s | 帯広南商業高校 | 予選5組、4走 |
2004 | 国民体育大会 | 熊谷市 | 4x100mR | 1位 | 45.43 s | 北海道選抜 | 大会新、3走 |
2005 | 世界ユース選手権 | マラケシュ(モロッコ) | メドレーR | 6位 | 130.66 s | 日本選抜 | 2走 |
2005 | インターハイ | 千葉市 | 4x100mR | 3位 | 48.23 s | 帯広南商業高校 | 予選6組、4走 |
2005 | 国民体育大会 | 岡山市 | 4x100mR | 1位 | 45.28 s | 北海道選抜 | 大会新、3走 |
2006 | 世界ジュニア選手権 | 北京(中国) | 4x100mR | DQ | |||
日本選抜 | 予選、3走 | ||||||
2006 | 国民体育大会 | 秋田市 | 4x100mR | 1位 | 46 s | 北海道選抜 | 3走 |
2007 | IAAFグランプリ大阪大会 | 大阪市 | 4x100mR | 6位 | 45.55 s | ジュニア日本選抜 | 3走 |
2008 | IAAFグランプリ大阪大会 | 大阪市 | 1位 | 44.05 s | 日本選抜 | 3走 | |
2008 | オリンピックプレミート | 北京(中国) | 4x100mR | 1位 | 43.67 s | 日本選抜 | 日本新記録、予選、3走 |
2008 | オリンピックプレミート | 北京(中国) | 2位 | 44.11 s | 日本選抜 | 決勝、3走 | |
2009 | IAAFグランプリ大阪大会 | 大阪市 | 4x100mR | 1位 | 43.58 s | 日本選抜 | 日本新記録、2走 |
2009 | 世界選手権 | ベルリン(ドイツ) | 4x100mR | 4位 | 44.24 s | 日本選抜 | 予選、1走 |
2009 | 国民体育大会 | 新潟市 | 4x100mR | 2位 | 45.51 s | 北海道選抜 | 4走 |
2009 | アジア選手権 | 広州(中国) | 4x100mR | 1位 | 43.93 s | 日本選抜 | 3走 |
2010 | 国民体育大会 | 千葉市 | 4x100mR | 3位 | 45.85 s | 北海道選抜 | 4走 |
2010 | アジア大会 | 広州(中国) | 4x100mR | 3位 | 44.41 s | 日本選抜 | 4走 |
2011 | ゴールデングランプリ川崎 | 川崎市 | 4x100mR | 1位 | 43.39 s | 日本選抜A | 日本新記録、3走 |
2011 | アジア選手権 | 神戸市 | 4x100mR | 1位 | 44.05 s | 日本選抜 | 2走 |
2011 | 世界選手権 | 大邱(韓国) | 5位 | 43.83 s | 日本選抜 | 予選3組、3走 | |
2011 | 国民体育大会 | 山口市 | 4x100mR | 1位 | 45.39 s | 北海道選抜 | 4走 |
2011 | 日本選手権リレー大会 | 横浜市 | 4x100mR | 1位 | 44.64 s | 北海道ハイテクAC | 4走 |
2012 | 静岡国際陸上 | 袋井市 | 4x100mR | 1位 | 43.79 s | 日本選抜 | 大会新、3走 |
2012 | ゴールデングランプリ川崎 | 川崎市 | 4x100mR | 1位 | 44.29 s | 日本選抜A | 3走 |
2012 | オリンピック | ロンドン(イギリス) | 4x100mR | 8位 | 44.25 s | 日本選抜 | 予選1組、3走 |
2012 | 国民体育大会 | 岐阜市 | 4x100mR | 7位 | 49.73 s | 北海道選抜 | 準決勝2組、4走 |
2012 | 日本選手権リレー大会 | 横浜市 | 4x100mR | 2位 | 45.46 s | 北海道ハイテクAC | 4走 |
2013 | 国民体育大会 | 調布市 | 4x100mR | 3位 | 45.24 s | 北海道選抜 | 4走 |
2013 | アジア選手権 | プネー、インド | 4x100mR | 2位 | 44.38 s | ||
2014 | アジア大会 | 仁川(韓国) | 4x100mR | 3位 | 44.05 s | 日本選抜 | 4走 |
2014 | 国民体育大会 | 諫早市 | 4x100mR | 3位 | 46.32 s | 北海道選抜 | 2走 |
2015 | 世界リレー | ナッソー(バハマ) | 4x100mR | DQ | |||
日本選抜 | 3走 | ||||||
2015 | ゴールデングランプリ川崎 | 川崎市 | 4x100mR | 2位 | 43.61 s | 日本選抜 | 3走 |
2015 | アジア選手権 | 武漢(中国) | 4x100mR | 2位 | 44.14 s | 日本選抜 | 3走 |
2016 | ワールドチャレンジミーティング | 北京(中国) | 4x100mR | 2位 | 43.81 s | 日本選抜 | 4走 |
2016 | 希望郷いわて国体 | 北上 | 4x100mR | 3位 | 45.64 s | 北海道選抜 | 4走 |
2018 | アジア大会 | ジャカルタ、インドネシア | 4x100mR | 8位 | 45.1 s |
6. エピソードと人物像
福島千里の競技生活や私生活には、彼女の人間性を垣間見せる様々なエピソードが存在する。
同じ女子短距離の北風沙織は、大学卒業後に北海道ハイテクノロジー専門学校に職員として就職。当時、福島はまだ生徒であったため、学校では職員と生徒、クラブではチームメイトという関係であった。その後、福島が卒業後に同校に就職したことにより、職場でも同僚となった。
中学3年の全国大会で知り合い、互いに鎬を削るライバルであった高橋萌木子とは、競技生活を通じて「チイ」「モモコ」と呼び合う友人関係を築いた。
2008年年末に放送された北海道文化放送の特別企画「スポーツワイド Fの炎~SPORT HOKKAIDO~」では、当時コンサドーレ札幌に所属していた藤田征也と100m対決を行い、手動計時で11.44 sを記録し、0.1 s差で勝利した(藤田は11.54 s)。
2011年に公開されたボクシング映画「あしたのジョー」では、北海道地区のアスリートを代表して「あしたのジョー応援団北海道支部長」に任命された。これは全国5地区のうち、ボクサー以外の競技者から選ばれた2人のうちの1人であった。
スピードスケートのバンクーバーオリンピック日本代表である髙木美帆は、福島と同じ幕別町出身で、高校の後輩にも当たる。地元で開催されたロンドンオリンピック壮行会では、髙木が福島への花束贈呈役を務めた。
7. 受賞と評価
福島千里は、その輝かしい競技キャリアを通じて、陸上競技界から高い評価と数々の賞を受けている。
2008年には、日本陸上競技連盟のアスレティック・アワードで新人賞を受賞した。
2010年には、同アワードにおいて、年間で最も活躍した選手に贈られるアスリート・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀選手)に選ばれた。
8. 引退後の活動
現役引退後も、福島千里は陸上界との関わりを持ち続けている。
2024年1月23日には、日本陸上競技連盟により、2025年世界陸上競技選手権大会のロゴ選定委員を務めることが発表された。これは、引退後も彼女が陸上競技の発展に貢献し続ける意思を示している。
9. 関連書籍
福島千里のトレーニング方法や、彼女の競技哲学について解説した書籍が出版されている。
- 『日本人が五輪100mの決勝に立つ日 (日文新書)』(中村宏之(著)、日本文芸社、2011年7月、ISBN 978-4537258547)
- 『福島千里の走りを身につける! 中村式 走力アップトレーニング』(中村宏之(著)、洋泉社、2011年9月、ISBN 978-4862487926)