1. Early Life and Background
オルソジ・ファスバは、ナイジェリアのデルタ州サペレで、オルミデ・ファスバとエヴリン・ファスバの長男として生まれました。彼には弟のカヨーデと妹のインカがいます。
1.1. Childhood and Education
彼の母親はジャマイカ人で、かつて短距離走選手として活躍しており、1976年モントリオールオリンピック男子200メートル金メダリストのドン・クォーリーのいとこにあたります。両親は幼い頃からファスバに走ることを奨励し、彼は小学生の頃からその速さで注目され、多くの中等学校から陸上競技の大会への出場を依頼されるほどでした。彼は陸上競技だけでなく、サッカー、バレーボール、バスケットボールなど多才な運動能力を持っており、その才能が認められて陸上競技奨学金を得てメリット・ミックス中等学校に進学しました。学校では短距離走のみならず、走高跳や走幅跳でも優勝し、陸上競技イベントを席巻しました。その後、オバフェミ・アウォロウォ大学に進学しましたが、学業に困難を感じ、母親の勧めで最も情熱を傾けていた陸上競技に専念するため、大学を中退することを決意しました。
2. Athletics Career
ファスバの陸上競技選手としてのキャリアは、2003年の国内選考会を皮切りに本格化しました。
2.1. Early Activities and Olympic Debut (2003-2004)
2003年、ファスバは世界陸上競技選手権大会の男子4×100メートルリレーにナイジェリア代表として出場し、チームは4位に入賞しました。同年、彼は第1回アフロアジア競技大会の100メートルで優勝を飾りました。2004年には、アフリカ陸上競技選手権大会の100メートルで優勝し、数か月後にはアテネオリンピックの男子4×100メートルリレーで銅メダルを獲得し、自身初の主要国際大会でのメダル獲得となりました。同年、世界室内陸上競技選手権大会の60メートル予選にも出場しました。
2.2. African Record Establishment and World Stage Performance (2005-2006)
2005年、ファスバは世界陸上競技選手権大会の100メートルと200メートルに出場しましたが、いずれの決勝にも進出できませんでした。また、男子4×100メートルリレーでも予選敗退となりました。
2006年初頭、彼は世界室内陸上競技選手権大会の60メートルで5位に入賞しました。同年3月20日にはコモンウェルスゲームズの100メートルで、優勝したジャマイカのアサファ・パウエルに続く2位で銀メダルを獲得しました。
2006年5月12日、カタールのドーハで行われたグランプリで、100メートルにおいて追い風1.7 m/sの好条件下で9秒85というアフリカ記録を樹立しました。これは、ナミビアのフランク・フレデリクスが1996年に樹立した9秒86の記録を約10年ぶりに更新する快挙でした。この大会では、アメリカのジャスティン・ガトリンが当時の世界タイ記録となる9秒77で優勝しています。ファスバの走りは、他の多くのスプリンターよりも背が低いにもかかわらず、その驚異的な足の速さで特筆されました。このシーズンは怪我に悩まされましたが、彼はアフリカ陸上競技選手権大会で地域タイトルを防衛しました。これらの2006年の功績により、ナイジェリア陸上競技連盟は彼を「ナイジェリア年間男子アスリート」に選出しました。
2.3. World Indoor Championship Victory and Key Achievements (2007-2008)
2007年、ファスバはアフリカ競技大会で100メートルと4×100メートルリレーの2種目で金メダルを獲得しました。しかし、この大会ではナイジェリアの旗を持って祝福しようとした際に薬物検査に呼ばれるという誤解が生じ、祝福を中断せざるを得ないという出来事がありました。
2007年8月26日、大阪で開催された世界陸上競技選手権大会の100メートル決勝では、10秒07を記録し4位に入賞しました。これは世界陸上競技選手権大会におけるナイジェリア人選手として最高の成績でした。また、同大会の4×100メートルリレーでは決勝で途中棄権となりました。同年、シュトゥットガルトで開催されたワールドアスレチックファイナルの100メートルでは、決勝で失格となりました。
2008年3月8日、スペインのバレンシアで開催された世界室内陸上競技選手権大会の60メートルスプリントで6秒51を記録し、優勝を果たしました。これはアフリカ人選手として初めて世界室内陸上競技選手権大会の60メートルを制した快挙でした。同年5月にはアフリカ陸上競技選手権大会の100メートルで3連覇を達成し、アフリカ陸上競技選手権の100メートルを3度制した史上初の選手となりました。
2008年北京オリンピックでは、100メートルに出場し、タイソン・ゲイに次ぐタイムで予選を通過しました。2次予選ではタイムを10秒21に改善しましたが、リチャード・トンプソン、ゲイ、マルシャル・ムバンジョクに次ぐ4位となり、準決勝への進出はなりませんでした。
2.4. Later Career (2009-2010)
2009年、ファスバは世界陸上競技選手権大会の100メートルに出場しましたが、10秒25を記録して2次予選で敗退しました。2010年のシーズンは不調でスタートし、ナイジェリア陸上競技連盟のサンデー・バダ氏によると、彼の状態が整っていなかったため、2010年世界室内陸上競技選手権大会の60メートルでのタイトル防衛には選出されませんでした。
3. Personal Life
ファスバは2003年に初めての国内陸上競技トレーニングキャンプで、400メートル走者であるンゴジ・ヌウォコチャと出会い、後に結婚しました。彼らには一人の娘がいます。
4. Post-Athletics Career
2011年4月、オルソジ・ファスバはイギリス海軍に入隊し、ロジスティクス(サプライチェーン)担当の海軍兵として新たなキャリアをスタートさせました。彼は家族のために、より安定した生活を求めてこの道を選んだと述べています。彼は今後も趣味として陸上競技を続け、イギリス海軍のために競技をすることを望んでいます。現在、彼は完全に資格を持ったロジスティクス担当者です。
5. Major Achievements and Records
ファスバは、陸上競技のキャリアを通じて数々の重要な記録と業績を達成しました。
5.1. African Records and World Rankings
彼は100メートルにおいて9秒85のアフリカ記録保持者でしたが、この記録は2021年7月に南アフリカのアカニ・シンビネが9秒84を記録して更新し、さらに同年後半にはケニアのフェルディナンド・オマニャラが9秒77を記録して更新されました。ファスバの9秒85は、現在でも100メートルにおける史上20位タイの高速記録であり、NACAC地域以外の選手としては、オマニャラ、マルセル・ジェイコブス、蘇炳添、シンビネに次ぐ5番目に速い記録です。
また、60メートルでは6秒49を記録しており、これはアフリカ人選手として歴代4番目に速いタイムです。彼よりも速い記録を持つのは、レナード・マイルズ=ミルズ、同胞のデジ・アリウ、そしてモーネ・ナーゲルだけです。彼は2006年5月12日から2021年7月6日まで、男子100メートルのアフリカ記録保持者でした。また、2006年5月12日からは男子100メートルのナイジェリア記録保持者でもありました(以前の保持者はセウン・オグンコヤ)。
5.2. Personal Bests
オルソジ・ファスバの各種目における個人最高記録は以下の通りです。
5.3. Major Competition Results
オルソジ・ファスバの主要な国際大会における成績は以下の通りです。
年 | 大会 | 場所 | 種目 | 結果 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
2003 | 世界選手権 | パリ、フランス | 4x100mR | 4位 | 38秒89 (1走) | |
アフロアジア競技大会 | ハイデラバード、インド | 100m | 優勝 | 10秒15 (-0.6) | ||
2004 | 世界室内選手権 | ブダペスト、ハンガリー | 60m | 予選1組5着 | 6秒78 | |
アフリカ選手権 | ブラザヴィル、コンゴ共和国 | 100m | 優勝 | 10秒21 (0.0) | ||
4x100mR | 優勝 | 38秒91 (1走) | ||||
オリンピック | アテネ、ギリシャ | 4x100mR | 3位 | 38秒23 (1走) | ||
2005 | 世界選手権 | ヘルシンキ、フィンランド | 100m | 準決勝1組5着 | 10秒18 (+0.5) | |
200m | 2次予選3組8着 | 21秒92 (-3.7) | ||||
4x100mR | 予選2組6着 | 39秒29 (1走) | ||||
2006 | 世界室内選手権 | モスクワ、ロシア | 60m | 5位 | 6秒58 | 4位と同タイム |
コモンウェルスゲームズ | メルボルン、オーストラリア | 100m | 2位 | 10秒11 (+0.9) | ||
アフリカ選手権 | バンブース、モーリシャス | 100m | 優勝 | 10秒37 (-2.9) | ||
4x100mR | 優勝 | 39秒63 (4走) | ||||
2007 | アフリカ競技大会 | アルジェ、アルジェリア | 100m | 優勝 | 10秒18 (+0.6) | |
4x100mR | 優勝 | 38秒91 (4走) | ||||
世界選手権 | 大阪、日本 | 100m | 4位 | 10秒07 (-0.5) | ||
4x100mR | 決勝途中棄権 | DNF (4走) | ||||
ワールドアスレチックファイナル | シュトゥットガルト、ドイツ | 100m | 決勝失格 | DQ | ||
2008 | 世界室内選手権 | バレンシア、スペイン | 60m | 優勝 | 6秒51 | 今季世界ベスト |
アフリカ選手権 | アディスアベバ、エチオピア | 100m | 優勝 | 10秒10 (+1.2) | ||
オリンピック | 北京、中国 | 100m | 2次予選2組4着 | 10秒21 (0.0) | ||
2009 | 世界選手権 | ベルリン、ドイツ | 100m | 2次予選3組6着 | 10秒25 (-0.4) |